
昔から「マンションは管理で買え」と言われています。
区分所有者の皆さんが日頃から苦労されているマンション管理はマンションそのものの評価として公開されることはなく、あくまでも自身の資産を守るため、日々の生活を良好に過ごすために行っていることです。
特に理事長を始めとした役員に選任された皆さんはプレッシャーを感じる方も多いようです。
実際、多くに理事長から「決められた通りにやっているけど、これで良いのか不安感はいつもある」とお聞きします。
そこで区分所有者(管理組合)の自主性に依存するマンション管理している(委託管理も含む)管理状況を第三者が公平な視点で評価する方法が創設されることになりました。
制度名 | 実施機関 | 特徴 |
管理計画認定制度*1 | 国・地方自治体 | 合否判定 合格組合は任意でネット上で公開することもできる 5年毎に更新が必要になる 新築マンションではフラット35の金利の優遇 住宅金融支援機構の大規模修繕への融資の優遇 ➡マンション管理センター |
マンション管理適正評価制度*1 | マンション管理業協会 | 6段階のランク評価 ランクをネット上で公開すること出来、不動産売買情報にリンクを計画中 ➡マンション管理業協会資料 |
マンション管理適正化診断サービス | マンション管理士会連合会 | レポートによる評価 優秀な組合には火災保険の優遇割引 無料で受けることが出来る ➡マンション管理士会連合会資料 |
2022年から国、地方自治体がマンション適正化法の改正に伴い実施した管理計画認定制度は、マンション管理組合の管理状況を一定のレベル以上に引き上げることを目的に創設された制度です。

また、同様な制度を皆さんが委託しているマンション管理会社の業界団体であるマンション管理業協会が制度の運営を始めました。
これ以外にも以前からマンション管理士協会連合会(通称、日管連)もマンション管理適正診断サービスを実施ています。
それぞれの制度はマンション管理の運営状況を多方面から評価することでは一致していますが、評価項目、評価方法(ランク)も異なり、それぞれの制度にメリット、デメリットがあります。
また、各業界団体が行う評価制度は管理計画認定制度と同時に申請を行うことも出来、それぞれに単独に評価を受けることもできます。
いずれにしても各制度は皆さんが運営する管理組合の通信簿であり、評価制度は義務ではなく、管理組合が自主的に行う制度です。
焦ることはありませんが、今後の制度の普及状況によっては、不動産価値として大きな損失を受ける可能性もあり、組合役員の皆さんだけでなく区分所有者の皆さんにも知っておいて頂きたい制度です。

国土交通省の狙い
2022年4月から始まった管理計画認定制度ですが、目的は適正な管理が出来ていないマンション管理組合を炙り出し、改善することが目的です。従来から似た制度はありましたが違いは、法的拘束力はありませんが、国、自治体が勧告ができることです。
築年数が40年を過ぎるマンションは今後、増加することは明らかでその中には杜撰な管理を行い、修繕工事も行わず、修繕積立金も不足する組合があり、放置するとマンションが廃墟化する危険性があることに歯止めをかけたいと考えています。
現時点で築年数が短いマンションや管理会社が委託管理を行っている組合であれば、勧告を受けることはないと考えています。
各制度のメリット
管理計画認定制度、マンション管理評価制度はいずれも市場に向け管理組合の運営状況を公表することが出来ます。(公開しない選択も出来る)新築マンションは現在でも増加傾向にありますが、販売価格はバブル期の最高値以上になかなか一般の方には手に入りにくくなっていますが、一方中古マンションの売買は順調に増加しています。
コロナ禍や紛争による収入の激減、円安、物価高騰の影響により自宅を手放す人は増加、またリモートワークが定着したことで所有するマンションを売却し、郊外や地方に生活拠点を移す方も増加することで売に出されるマンションが増えています。
一方、分譲マンションは各マンション組合が共用部分の運営を行う特殊な管理が行われ、外見からは見えない適正な管理運営を評価する必要がありますが、不動産市場ではこの点に関する情報公開が進んでいないために、購入後に予想しない金銭的負担が発生するトラブルがあります。この点を改善することも今回の管理計画認定制度の目的のひとつです。
制度が普及し、多くのマンションの管理状況(財政、修繕の状況)が公開されるようになれば、購入者も判断材料のひとつになると考えられています。
売る気がない区分所有者にとっては魅力はない制度かもしれませんが、マンション全体として考えた時空家対策や資産価値が高いマンションであることを市場に公開する意味はあると思います。
また、マンション管理士会連合会が実施ている「マンション管理適正化診断サービス」は実績もあり、火災保険の保険料の優遇と言う確実なメリットがあり、希望すれば管理計画認定制度と同時に申請することもできます。
制度についての見解
各制度の細かな内容については当サイトの特集記事で説明しています。そちらをご覧ください。

管理計画認定制度、マンション管理適正化評価制度とも制度が始まったばかりで今後どのように各制度が普及するかも定かではありません。
しかし、どちらの制度も不動産市場に評価結果を公開することを今後実施することを示しています。
評価項目については専門家からも色々な意見が出ており、制度の定着化を疑問視する人もいますが、マンション管理の状況を専門家に安価に評価させることができると考えるとそれほど悪い制度とも思えません。

2022年4月から実施された制度についての当事務所としての考え方は、焦ってすぐに制度を取入れる必要はありませんが、いざ利用しようとしても不合格になったり、低いランクで評価されることは避けたいはずです。
特に今回の管理計画認定制度がフラット35の金利が優遇されることを受け、不動産業界もいち早く制度利用を検討しています。(今はフラット35の優遇は新築マンションで認定を受けたマンションに限定)また、マンション管理業協会も不動産仲介業者への働きかけを行っており、今後、中古マンションの売買時に購入を決める大きな要素になることが予想されます。
このような環境の中で現在の自分たちの管理組合が各制度においてどのような評価(合否、ランク)になるかを確認した上で、改善点は明確にしておくべきと考えています。(改善するかどうかは区分所有者の皆さんの意志で決めるべきことです。)
また、一気に改善することは時間的、費用的に理事会に負担が大きくなります。
制度の普及までの時間も考慮しながら数年を掛けて専門家を招いて評価を高めていく方法が良いと考えています。
各制度の評価資格者
各制度の申請には各制度ごとに専任の資格者がいます。
制度 | 評価資格者 | 備考 |
管理計画認定制度 | 事前確認講習マンション管理士 | 事前評価を資格者が行う 国、自治体への申請は行政書士が行う 役員等の職務者にあるマンション管理士は評価できない |
マンション管理評価制度 | 評価制度講習を受け認定された マンション管理士・管理業務主任者 | 評価資格者が申請を行う マンション管理業協会が任命 管理組合の担当者である管理業務者は評価できない |
マンション管理適正化診断サービス | 診断マンション管理士 | 日管連が独自の講習会で任命 |
当事務所のマンション管理士は、管理計画認定制度、マンション管理評価制度の評価資格者です。
注意する点は第三者管理の立場でマンション管理組合に在籍する当事者(理事長、理事、監事の役職を持つマンション管理士)が評価資格を持っていても評価を行い申請を行うことはできません。(評価実施者が利害関係のマンション管理士になることを防止するためです。)
説明会
区分所有者の皆さんには、メリット、デメリットを含めてわかりにくい制度ばかりですが、無知でいることは皆さん自身の不利益につながります。

区分所有者(組合員)を対象にした説明会を希望される組合の方には、当事務所のマンション管理士が皆さんのマンションを訪問して説明するサービスを無料で行っています。
説明会は2時間程度です。質疑応答時間も設けています。
お問合せや申込希望はお問合せよりお願いします。(ページの下部にあります。)
また、WEB会議による説明会も企画しています。(2022年7月頃を予定)
役員の皆さんだけではなく、出来るだけ多くの区分所有者の皆さんに参加して頂ける機会を作ることをお勧めします。(評価制度を利用する場合には総会の普通議決の承認が必要になるため、制度を区分所有者に広く周知させることが重要になります。)
マンション管理評価制度の導入
当事務所では現在のところ評価制度の導入に特化した業務は用意をしていません。
しかし、将来的にマンション評価制度の導入を考えている管理組合の皆さんには当事務所が行っている2つのサービスを利用して評価制度導入に関する指導・助言を行うことが可能です。
支援業務 | 内容 | 特徴 |
管理定期点検サービス | 期毎に管理組合の運営状況を確認することを目的にしたサービスです。 管理業務以外にマンション内の良好な住環境についてもサポートします。(管理員の対応や清掃状況も含む) 年4回までの理事会参加、および総会参加が含まれます。 | 1年間に限定した顧問契約です。 月当たり500円/戸の負担額でサービスを受けることが出来ます |
短期顧問契約 | 顧問契約の目的を限定、期間も限定した顧問契約です。 規約の改定、滞納金の徴収指導、マンション内トラブルなどに利用されています。 管理組合の運営状況に関する現状把握が可能です。 | 管理定期点検サービスに比べ割高ですが、期間を限定することで費用は抑えることが出来ます。 |
各サービスを利用した評価制度を導入するフローは次のようになります。(各サービスの詳細は別途ご確認ください。)

訪問相談(無料)を利用頂き評価制度の説明を行います。
その後、理事会で評価制度の導入、それに伴う顧問等の必要性をご検討いただきます。
理事会で必要と判断すれば総会に上程頂き、承認を得た上でサービスの契約となります。
契約後、管理規約、総会議事録、理事会議事録、長期修繕計画、修繕積立金を中心にマンション管理について現状把握を実施します。
この時点で合格基準を満たしていれば、臨時総会を開催、管理計画認定制度への申請について承認を受け、事前確認申請作業になります。
また、基準を満たさない項目がある場合は、改善作業を行いますが、規約の改定や修繕積立金の増額等が必要になる場合も考えられます。
その場合、区分所有者の同意形成も必要になり時間が必要になります。
質問・お問合せについて
マンション管理評価制度についてのご質問、説明会の要請、訪問説明等のお問い合わせはこちらよりお願いします。