住宅ローンの借り換えは今の流行なのか?

FJマンション管理士事務所では住宅ローンの基本知識を説明しています。

これまでに扱ったテーマはブログ内検索で「住宅ローン」で検索するといろいろなテーマを扱っていることがわかります。

初歩的なことが中心になりますが、他のサイトとはちょっとだけ違う視点で実例をもとに説明しています。

 

今回のテーマは最近はやり?と言われる住宅ローンの借り換えです。

前回まで説明していた繰上げ返済とは違い、住宅ローンを一括返済すると同時に金利の安い住宅ローンを契約する方法です。

一般的に金利差1%以上で有効な方法と言われています。

具体的な借り換えについては後述しますが、今回のテーマはマスコミやネットで言われるとおりに借換えは流行しているのかを確認します。

借換え貸付額は減少傾向

住宅ローンの借り換えについては国土交通省住宅局が毎年統計結果を公開しています。

令和3年度
民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書より出典
Nは金融機関の数

グラフは借換え向けに融資された金額を棒グラフで表示しています。

借換えに貸出しされた金額の推移から平成29年以降、貸出額は減少していることがわかります。(ただし、個人の借換え件数を知ることができるデータはありませんでした。)

住宅ローンへの貸出し金額がほぼ横ばいの推移に対して借換えに使用された金額がここ数年は減少傾向にあることもわかります。

このデータを見る限り借換えが流行しているとは考えずらいと言えるでしょう。

では、なぜ借換えが流行していると言われるのでしょうか?

住宅取得への融資額は頭打ちの状態

今年、全期間固定型の金利の値上げが話題になりました。

住宅取得に悪影響などど報道されて「早く買って良かった」「変動金利も上がるのか!」と様々な方が今後の金利の動向に安堵や不安を感じたのではなでしょうか。

先ほど示した統計からは各金融機関が毎年住宅購入者向けに貸し出すお金の総額はここ数年横ばい傾向です。

各金融機関は貸し出したお金から生まれる利息が利益になります。

と言うことは貸出す額が横ばいとなると金利が変わらなければ利益も横ばいです。

皆さんもご存じの通り金利に大きな変動はなく、固定金利、変動金利とも低レベルで推移しています。

このような状況下で金融機関が利益を伸ばすために契約件数を増やす以外に方法はありません。

現在の住宅ローン市場はひとつのパイを金融機関が奪い合う状態になっていると言うことです。

低金利を争う競争

フラット35は全銀行が同じ条件で貸す出すため、貸し付け条件に差を付けることができません。

また、フラット35の貸付の割合は全体から見れば数%です。

2022年住宅ローン利用者実態調査
住宅金融試験機構公開

ここ最近は住宅ロン利用者の7割が変動金利を利用している実態がわかります。

各金融機関はそれぞれで独自の住宅ローン商品を発売、結果として金利を下げる争いになっています。

特に店舗を持たないネット銀行は経費を圧縮することで都市銀行等に比べて大幅に低い金利の商品を発売しています。

これらの状況は利用者からすればありがたい競争です。

金利タイプに関わらず、金利が安い商品に乗り換える絶好の機会です。

銀行も他銀行から乗り換えを歓迎します。

結果、「住宅ローンの借換え」は今がチャンスと言った風潮がネットや報道に上がったのではないでしょうか。

これが住宅ローンの借換えが注目された原因ですが、統計を見る限り各金融機関の思惑通りにはいっていないように感じます。

住宅ローン利用者の心理

金融機関の思惑を上手に利用して住宅を購入した方の金利への意識について2022/6/28に住宅金融支援機構が2022年4月に住宅ローンにより住宅を取得した方に対しての調査を行った結果を報告しています。

この調査の中で住宅ローン契約者の金利に対する意識がわかるデータがあります。

2022年住宅ローン利用者実態調査より作成
住宅金融試験機構公開

見当がつかないと答えた強者は論外として、1年後には金利が上昇している考える方が増加する傾向にあり、ほとんど変わらないと思う方は逆に少なくなっていることがわかります。

やはり多くの方は、海外の金利政策が大きく変わったことで円安が進んでいる状況に日銀もいずれは金利政策の変更をせざるを得ないと考えているのでしょう。

2022年住宅ローン利用者実態調査より出典
住宅金融試験機構公開

金利タイプに関わらず、今後1年間の住宅ローンの金利への見通しは上昇すると考えられている方が多いことがわかります。

金利上昇に伴うへのリスクへの意識

今年住宅を取得した方の金利への見通しは上昇でしたが、当然、上昇を予測していればそのリスクへの対策も考えられているはずです。

これについても実態調査では明らかにしています。

もっとも金利上昇のリスクを受けやすい変動金利タイプ契約者への調査結果です。

2022年住宅ローン利用者実態調査より出典
住宅金融試験機構公開

この結果を皆さんがどのように捉えるかはわかりませんが、ファイナンシャルプランナーとしては恐怖を感じてしまいます。

リスクへの意識はわかりましたが、実際の対策としてどのような方法をイメージしているかについても報告があります。

2022年住宅ローン利用者実態調査より出典
住宅金融試験機構公開

金利上昇に自摸なう返済額増加への対応としては資金力に余裕がある4割程度の方を除けば、4割程度の方は何らかの手立てをお持ちのようです。

2割は残念ながらローン破綻の可能性を伺わせる結果です。

具体的な対策としては、返済額圧縮、一部繰上げ返済、借換を考えているこがわかり、前回調査よりも借換えを対策としている方が大きく増加していることがわかります。

変動金利は下がる傾向

このような状況を金融機関もいち早く感じ取った結果が借換えを勧める背景になっています。

事実、ここ数カ月、変動金利の商品を中心に金利は下がる傾向にあります。

先日、テレビでもネット銀行が0.3%を下回る住宅ローン商品を発売したことが報道されました。

おそらくこの傾向はしばらく続くようで、大手銀行がどこまで変動金利を下げるかは注目です。

また、この金利傾向はこれから住宅の取得を検討中の方にも悪くない環境になっていると感じています。

まとめ

住宅ローンの借換えは報道がされているような傾向にはないようですが、金利の上昇は住宅ローン契約者のほとんどが予想していることであり、実際に金利が上昇した時の対策として返済額圧縮、一部繰上げ返済、借換えを考えています。

特に借換えを対策に考えている方は昨年から増加傾向にあります。

現時点では金利の上昇はなく、借換えの実施に使われた融資額は減少傾向ですが、金利の上昇が始まれば利用者数は大きく増加することが予測されます。

金利上昇時のリスクへの対策は、健全な対応です。

住宅ローン契約者は自分にあった対策が借換え、一部繰上げ返済、返済額圧縮のどれなのか?

これを事前に確認することで金利リスクに対応することが重要です。

また、リスクを意識していない方も2割程度いることがわかり、金利上昇によるローン破綻は一定数増加する懸念があります。

次回は、先日2022/10/11に住宅金融支援機構が今年5月に住宅ローンの借換えを実行した方999名に行ったアンケート結果が報告されました。

この結果から借換えの実態を考えます。


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