住宅ローンの借換えを理解しよう

前回のブログで住宅ローンの借換えの利用者は2022年は減少傾向であるが、金利が上昇傾向に転換した時に借換えを対策として考えているローン利用者が増加していることを説明しました。
今回のテーマは今後金利の上昇に伴い利用されることが多くなる住宅ローンの借換えを理解しましょう。
現在、住宅ローンを契約されている方の中で変動金利タイプ、期間選択型固定金利タイプを選択されている方は金利の動向は気になります。
金利が上昇した時にどうすれば良いのか?
何が最良の対策なのか?
これを知る手助けになる情報です。
まずは、住宅ローンの借換えの仕組みをしっかり理解してください。
借換えって何?
住宅ローンの借換えは現在契約している住宅ローンを一括返済した後に新規住宅ローンを再契約することです。

ここで重要になる点は2つです。

では、ポイントを説明します。
一括返済をするとは
例えばローン残高が2,000万円とします。
借換え当時の残金をを一括で返済することです。
ではその財源はどこから工面するのでしょうか。
新しく別な銀行で異なる住宅ローン商品と契約することで財源を確保します。
同一銀行内での借換えはできません。(金利引き下げの相談はできますがこれは別な機会に紹介します)
借換えのフローイメージは次のようになります。

借換えは新規住宅ローンの申込がスタートになります。
各金融機関は借換え用の住宅ローン商品を用意しています。
このローンに申込、審査を経て借入が認められると従前住宅ローンの返済に充当、完済されます。
借換え住宅ローンの返済は、新しい返済計画に基づいて行います。
新規住宅ローンの契約と従前ローンの完済は同時履行になります。
同時履行とは同時に契約が履行されることです。
皆さんの経験では住宅ローン契約時に抵当権の設定が同時履行で行われたはずです。
皆さんは新しい住宅ローンの返済計画に従って返済を行うことになります。
これが一括返済を行うことです。
家計の悪化後は借換えは厳しい
借換えフローでも確認したように新しい住宅ローン契約には審査があります。
そのため、借換えは家計の状態が悪化した状態で申込んでも審査を通過できない可能性が高くなります。

相談者に中には借換えは住宅ローンの返済が厳しくなってからで大丈夫と考えている方がいますが、大きな間違いです。
家計が苦しくなってからの申込は審査が通らない可能性が高くなるだけです。
借換えは、遅くとも金利の上昇の兆候が見える段階、あるいは家計の先行きに不安がある段階で行う必要があります。
非常に重要なポイントです。
是非、覚えてください。

金利が上がれば借換え金利も上昇
金利の上昇が確認できた時点で借換え商品の金利も上昇します。
金利はほとんどの金融機関が同じ傾向で動きます。

その理由は金利を決定する要因が政府の金利政策、景気、社会情勢(長期国債、プライムレート)に連動しているためです。
また、金利の上昇に連動して住宅ローン商品の様々な制約事項も変更されます。
金利の上昇は金融機関にとって利益の増加を見込める代わりに焦げ付き(返済不履行者)の確率も高くなるため審査基準が規模しくなる傾向になります。
皆さんの中には現在契約中の住宅ローンの金利が上がっても他の商品の金利は上がらないと思われている方がいます。
これは間違いです。
政府の金利政策が変更されればそれに連動して住宅ローンの金利は金融機関全体が上昇方向に動くと考えてください。
借換えは何のために行う
そもそも住宅ローンの借換えを行う目的とは何か?
これについては住宅金融支援機構が2022年、実際に借換えを行った人に調査を行った結果が公開されています。
調査は変動金利タイプ、期間選択型固定金利タイプ、全期間固定タイプの利用者で借換えを行った方を対象に行われているますが、興味のある方はご覧ください。(2021年度住宅ローン借換の実態調査報告)
ここでは変動金利利用者の借換えを行った理由について結果を編集した表を示します。
順位 | 借換えを実施した理由 | 割合(%) |
1 | 金利が低くなるから | 61.9 |
2 | 返済額が少なくなるから | 40.7 |
3 | 適用金利が上昇し返済額が増加するから | 14.1 |
4 | 今後の金利上昇や返済額増加が不安になったから | 10.8 |
2021年度住宅ローン借換の実態調査報告より
1位は金利が低くなることで支払利息額を圧縮することができると考えた方です。
2位は毎月の返済額が少なくなる(全体の返済額の減額の意味も含まれていると推測できます)と考えた方です。
3位は適用される金利の上昇による返済額の増額を嫌った方です。
4位は金利の将来の動向に不安を感じた方です。
一時繰上げ返済も同様の効果を期待できますが、原資が必要になりますが、借換えは原資を用意する必要がありません。
金利の低い、あるいは返済期間を延ばすことができれば、毎月の返済額を減らすこともできます。
借換え利用者のほとんどが支払い利息の軽減と月の返済額の減額を目的としていることが判ります。

そのため、借換えの原則は現在の住宅ローンより低い金利の商品を選択することです。
金利の差額が支払う利息額を減額します。
金利差が大きいほど効果は大きくなります。

借換えは新しくローンを組むことになります。
月の返済額や返済期間を考えながらローン条件を決定することが出来ます。
新規契約には手数料等が必要
確かに借換えが出来ると住宅ローンを圧縮すること、毎月の家計負担を軽減することができますが、借換えには新規ローン契約と言うハードルがあります。
先ほど話しましたが、借換えローンの審査を通過する必要があることともうひとつが新規住宅ローンを契約する時に発生する手数料等の諸経費です。
皆さんははじめて住宅ローンの契約をされた時、手数料を支払った経験があるはずです。
借換えは新規住宅ローンで従前の住宅ローンを返済する方法です。
そのため、新規に契約する住宅ローンについて手数料の支払が発生します。
仲介手数料、不動産取得税等は必要ありません。
具体的には次ような項目になります。
諸経費の内訳 | 支払先 | 内容 |
保証料 | 金融機関 | ローン返済不履行時の保障会社への支払(支払がない金融機関もある) |
事務手数料 | 金融機関 | 事務手続きにかかる費用 |
返済手数料 | 金融機関 | 一括返済を行うための手数料 |
印紙税 | 国 | 新規ローンの契約書 |
登録免許税 | 国 | 従前ローンの抵当権の抹消 新規ローンの抵当権の登録 |
司法書士手数料 | 司法書士 | 登記登録の代行手数料 |
団体保険加入費用 | 保険会社 | 死亡や病気による返済不履行時の債務の免責 (無料のケースが多い) |
金額は借入金の額や新規借入先の金融機関の条件によって変わりますが、概ね40~80万円程度になります。
従前ローンの保証料はどうなるの?
住宅ローンの契約で保証料の支払いを条件にしているローンがあります。(金融機関によってはないケースも多い)
支払いは一括や毎月の返済額に上乗せする方法があります。
一括払いをしていた場合は、一括返済で残りの期間の保証料の返還がされますが、支払った額の30~50%程度です。
あまり期待をせずに諸経費の費用はご自身で準備されることをお勧めします。
借換えの検討
大分借換えのイメージは理解できたのではありませんか。
金融機関のホームページや借換えを解説するサイトでは借換えを検討する時の一定の目安を提案しています。

と言ってもあくまでも一般論です。
シミュレーションは誰でもどんな現状でも効果を確認できます。
あまり気にせずにサイトや店頭で借換えを検討してみることです。
おわりに・・
いかがでしたか。
住宅ローンの借換えのイメージは理解できたでしょうか。
借換えはローンの審査と諸経費の工面さえつけば、簡単に住宅ローンを圧縮することができる方法です。
効果は金利差です。
現在の住宅ローンが全期間固定金利タイプ、期間選択型金利タイプ、変動金利タイプのどのタイプでも借換えは可能です。(フラット35でも可能)
借換え時に金利のタイプを変更することもできます。
何度も借換えを行うことも可能です。(効果があるかどうかはわかりません)
でも、実際借換えの検討を始める時、気になるのは他人の動向ですよね。
そこで次回は、借換えを実際に行った998名に方々の調査結果を確認しながら、皆さんがどのような考えに基づいて借換えを実施したのかを確認することにしましょう。
それからでも借換えのシミュレーションは遅くはありません。
FJマンション管理士事務は分譲マンション生活に係る様々な情報を発信しています。
また、皆さんからのご質問や相談をお受けしています。
お気軽にお問合せください。
「せっかめブログ」はブログ村に登録しています。

また、皆さんからのご質問や相談をお受けしています。
お気軽にお問合せください。
最後までお読み頂きありがとうざいます。
記事の内容はいかがでしたか?
「せっかめブログ」はブログ村に登録しています。
オンライン・電話相談

マンション管理組合役員の皆さんからの相談を受けています。
事前予約制です。
開催日ごとにテーマと相談対象者を設けて開催しています。