住宅ローン繰上げ返済(返済額減額型)を理解する

前回は住宅ローン繰上げ返済(期間短縮型)について説明しました。

今回は返済額減額型を実例を用いて繰上げ返済のを考えてみましょう。(すべてこの条件で説明をします。)

例:ローン条件

借入金 3,000万円

金利タイプ 全期間固定金利

利率 1.42%(年利)

借入期間 35年

元利均等方式

ボーナス併用なし

期間短縮型との違いを理解する

ローン開始10年後に200万円を繰上げ返済した場合で比較します。

借入金グラフを比較すると借入金の効果を確認することができます。

繰上げ返済・返済額減額型を行うと支払う利息の減額が388,370万円、月の返済額は7,961円減額されていることがわかります。

ローン完済までの期間に変わりはなく、420回(35年払い)です。

では期間短縮型と比較します。

支払う利息の減額は、期間短縮型の効果が大きいことがわかります。

支払う利息の減額効果だけを比較した場合、返済額減額型の倍以上の違いがあります。

繰上げ返済タイプ
(10年後返済額200万円)
総支払利息(円)差額(円)支払利息減少率
(%)
月返済額返済回数短縮効果
なし8,332,63691,268420
返済額減額型7,944,266388,3704.783,3074200カ月
期間短縮型7,504,463828,1739.991,2683902年6ヵ月
返済額減額型と期間短縮型の比較

しかし、返済額減額型は、毎月の返済額を7,961円減らす甲があり、家計の負担を少なく効果はあります。

例えば、200万円を繰上げ返済をせずに返済残期間(35-10年)300回で分割すると6,667円です。

これを家計に加えたとしても支払利息の減額効果を得ることはできません。

支払利息の減額分388,370円の効果を考えると家計の負担を減らすことを目的にする繰上げ返済を行うのであれば有効な方法とも言えます。

ただし、支払う利息額を減らすと言う点ではやはり、期間短縮型が得と言えるでしょう。

返済額減額型の特徴

期間短縮型でも説明しましたが、繰上げ返済による支払利息額を減額する効果は、出来るだけ早い時期に少額でも繰上げ返済を繰返すことが優位です。

これは返済額減額型でも同じです。

ただし、利息を減らす効果では期間短縮型が効果が2倍以上あるがわかります。

次に返済額減額型の目的である月の返済額の効果です。

意外にも遅い時期に実施した方が差額が大きく、効果が大きいと言う計算結果でしたが、これは元利均等払いは支払い開始直後がもっとも利息を支払う割合が大きくなり、後半になるほど元金の返済額が多くなります。

その影響です。

至極、当たり前の結果ですが、多くの方はこの点を認識されていません。

計算結果をまとめたのでご覧ください。

繰上げ返済時期
(返済額200万円)
総支払利息(円)差額(円)支払利息減少率
(%)
月返済額月返済額
差額
期間短縮型
支払利息減少率(%)
なし8,332,63691,268
5年7,861,579450,3905.484,4046,86412.5
10年7,944,266388,3704.783,3077,9619.9
15年8,025,232307,4043.781,6549,6147.6
20年8,104,421228,2152.778,89012,3785.4
繰上げ返済時期と繰上げ効果(返済額減額型)

繰返す繰上げ返済の効果

期間短縮型で確認した繰返し繰上げ返済は返済額減額型ではどのような効果が出るのでしょうか。

繰上げ返済時期
(返済額200万円)
総支払利息(円)差額(円)支払利息減少率
(%)
月返済額月返済額
差額
期間短縮型
支払利息減少率(%)
なし8,332,63691,268
5年毎50万円返済7,983,868348,7684.21回目 89,552
2回目 87,562
3回目 85,158
4回目 82,064
1回目 1,716
2回目 3,706
3回目 6,110
4回目 9,204
8.9
10年毎100万円返済8,024,335308,3013.71回目 87,288
2回目 81,098
1回目 3,980
2回目 10,170
7.7
10年後200万円7,944,266388,3704.783,3077,9619.9
20年後200万円8,104,421228,2152.778,89012,3785.4
繰上げ返済時期、繰上げ回数と繰上げ効果

繰返しの効果はやはり早い時期に繰上げ返済を実施すると支払う利息額は少なくなります。

(10年後の200万円を省くと傾向がわかります)

返済額が早くから繰上げ返済を実施しても減額効果は少なく、出来るだけ後半に繰上げ返済を実施した方が減額の効果は大きいようです。

ただし、支払う利息額を減らす効果は小さくなります。

繰上げ返済が出来る人とは

確かに返済額減額型は、期間短縮型に比べて大きなメッリトに欠ける繰上げ返済方法のようです。

まず、繰上げ返済が出来る人は家計に余裕がある人です。

この前提で考えると貯蓄しておくより、利息の支払額を減額したいことが目的になります。

特に最近の定期預金の利率を考えると用途が決まっていないお金であれば貯蓄するより返済に充当した方が大きな利益を生みます。

その意味では繰上げ返済では期間短縮型が優位な方法です。

では、返済額減額型を選択するケースとはどのような場合なのでしょうか。

月の返済額を減らす必要がある人です。

うぅ~ん

考えにくいですね。

繰上げ返済が出来るだけの貯蓄がある以上、みすみす利息を減らす効果がもっとも多い期間短縮型を選ばないわけがありません。

なかなか返済額減額型を上手に利用できる人のイメージが沸きません。

 

世帯収入が大きく減額してしまった人は、恐らく、ローンの組換えを選択するはずです。

ローン返済期間を延ばすことで月の返済額を減らすことができます。

ただし、この場合、支払う利息額は多くなります。

いろいろ考えた結果、次のようなケースでは利用が出来るのかもしれません。

ただし、確信があるわけではありません。

持金に余裕があるが将来に大きな不安のある方

支払利息を減らす効果も得ながら月の返済額を少なくして、将来に見込まれる家計の圧迫に備えたいと考えている方です。

旦那さんが転職や失職してしまったケースで退職金を得ることはできたが、次の仕事はまだ決まっていない。

または定年の退職金で借入金の全額返済はできないケースです。

コロナの影響で給与のアップが望めず、全体として収入が減少する中で物価高騰は実質的に給与の目減りです。

その中で支払う利息額も減らしたいが、毎月の返済額も減らしたい。

返済期間を短縮するメリットよりは、多少の支払利息の減額の効果を少なくしてでも毎月の返済額を減らすメリットを感じているような場合ではあれば返済額減額型もひとつのアイデアではあると思います。

ただし、このケースもファイナンシャルプランナーとしては別の提案をします。

退職金で期間短縮型の繰上げ返済を行い、その後ローンの組換えで苦しい時期を乗り越え、余裕ができた段階で期間短縮型の繰上げ返済を行い、組換え(あるいは借換え)によって増加した支払う利息の減額をする方法です。

組換えも全期間固定金利であれば、金利の状況によっては変動金利への借換も視野に入れます。

繰上げ返済(返済額減額型)も回数制限、最低金額、手数料は期間短縮型で説明した時と同じです。

何度でも1万円単位から手数料なしに行うことが出来ます。(出来ない場合もあるので契約書を確認してください。)

当事務所で相談を受けた中には返済額減額型の繰上げ返済を勧めたことはないと記憶しています。

まとめ

繰上げ返済の目的は支払う利息額を圧縮することです。

期間短縮型と言いますが期間を短くすることを目的する方でも利息の圧縮が最大の効果になります。

支配利息を減らすことはある意味で利益です。

このことを考慮すると返済額減額型は特に事情がある場合を除いては効果を敢えて過少に利用する方法です。

利息の圧縮効果はありますが、家計の事情が許す限り期間短縮型を選択すべきだと考えています。

次回は繰上げ返済に充当すべきお金とはどんなお金なのでしょうか。

これを理解せずに繰上げ返済を行うと大きなリスクとなることがあります。


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