修繕積立金とマンション売買価格の関係(2)

前回に引き続き大規模修繕とマンション売却価格の関係についてです。
今回取り上げるテーマは既存マンションの価格は大規模修繕工事前後で変わるか?
CマンションとDマンションは立地条件も含めてすべて同じとした時、同じ階の同じ間取りの同じ位置関係の部屋が売りに出されるとしたらどちらが高く売れるでしょう。
売手としては外観も綺麗、防水工事も終了しているCマンションの方が高く売れると考えたいですよね。

両マンションを比較してみましょう。
比較項目 | Cマンション | Dマンション |
大規模修繕工事の時期 | 3年前に実施済み | 3年後に実施計画 |
見た目の善し悪し | 良い | Cより劣る |
総修繕積立金 | 320万円 | 4220万円 |
その他の管理状況(財政を含む) | 同じ | 同じ |
不動産売買への影響は次のように考えられます。
比較項目 | Cマンション | Dマンション |
売り易さ | 売り易い | 売り難い |
売却価格 | 高い | Cより安くなる |
財政評価 | 高い | 評価が分かれる(リスクがある) |
売り易さについて
外観等の見た目で言えば修繕工事を終了したCマンションが優位です。
マンション購入者の多くは外観も選択肢のひとつに入れます。
売却価格
Cマンションに高値が付く理由としては2つ考えられます。
1、外眼等の修繕を終了したことによる建物の価値の上昇
2、大規模修繕工事を終了しているメリット
1、外眼等の修繕を終了したことによる建物の価値の上昇
固定資産税とは関係ありませんが、新しいことが高く評価されることは不動産業界の常識です。
外観等がきれいであることも新しいことと同じです。
その意味でDマンションより高値で売れる可能性が高いと言えます。
しかし、修繕工事費を加味した分だけの差があるかと言うとそこまでは差はないでしょう。
2、大規模修繕工事を終了しているメリット
大規模修繕工事には大きな不安要素があります。
工事が無事終了すること。
工事費が予算通りに収まること。
実際に工事が終了しているCマンションはこのリスクがありませんが、3年後に行う計画のDマンションではリスクがあることになります。
インフレにより材料費や人件費の高騰があるかもしれません。
もしかすると、施工会社が倒産して修繕工事に予算を超えることになるかもしれません。
そのリスクの有無の差は大きな評価の差になります。
また、修繕工事の期間は3~6カ月程度が一般的です。
その間の住民生活環境への影響は大きいと言えます。
ベランダに洗濯物、布団を干すこともできません。
また、騒音や塗装の臭気の問題もあります。

このような要因によって、大規模修繕工事が近い将来行われるマンションの売買契約上の評価はあまり高くなく、購入する側も積極的になれないことを覚えておきましょう。
財政面
大規模修繕工事が終了しているメリットと数年後に工事を行う財政面のリスクをマンション購入者が知ることは多くありません。
その理由として、仲介業者がマンション管理組合の財政に関する知識を知らないことが一番にあります。
特に大規模修繕工事はやり方次第で工費に大きな差が出る工事です。
どの程度の修繕積立金があれば安心できるのか?
このあたりの情報を知るにはマンション管理の専門家の意見を聞く必要があります。
今回は修繕工事とマンションの売買価格のお話をしました。
既存マンション購入を検討している方は是非、対象マンションがいつ大規模修繕工事を実施しているかを確認することをお勧めします。
次回は、安心な修繕積立金額をどうやって確認するかについてお話しします。
また、皆さんからのご質問や相談をお受けしています。
お気軽にお問合せください。
最後までお読み頂きありがとうざいます。
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