借換えに見るリスクの変化 変動金利の借換え

素朴な疑問ですが、借換えを決断するにはそれなりの理由があったはずです。

今回のテーマは「借換えを決めた理由」からリスクの変化について考えます。

参考にする情報は住宅金融支援機構が今年公開した調査結果です。

2021年度、住宅ローン借換えの実態調査報告

この報告書には「借換え後の金利タイプ別の借換理由」のアンケート結果が示されています。

一見、何でもないアンケート結果ですが、この結果を細かくみると借換えをした人の心理を知ることが出来ます。

このデータは、住宅ローンの借換えをした後に選んだ金利タイプごとに、借換えを行った理由を集計した結果です。

この結果を理解するために、金利タイプごとの特徴を知る必要があります。

金利タイプ特徴返済利息額金利変動のリスク
変動金利契約時の金利は他のタイプより低いが半年ごとに見直しが行われる計画時はもっとも低い大きい
固定期間選択タイプ契約時に固定金利(金利が一定)期間を設定、その後、金利タイプを選択できる固定期間後の金利タイプにより増減中間
全期間固定金利タイプ契約時の金利が返済期間で変化しない安定しているが返済額は大きい小さい
各金利タイプの特徴

金利タイプの特徴からもわかるように選択した金利で契約者が住宅ローンの返済計画への考え方がわかります。

変動金利は金利の上昇リスクは大きいが利息支払額を少なくできることを重視している。

固定期間選択タイプは一定期間は安定した固定金利にするが、その後は世の中の動きを見ながら金利タイプを選択したいと考えるバランスを重視している。

全期間固定金利タイプは金利上昇のリスクを嫌い、安定な返済計画を重視している。

このようにタイプ分けできます。

借換後の金利タイプ別の「金利が安くなるから」の回答結果は次のようになります。

金利上昇のリスクがあっても支払利息を少なくできる変動金利を選んだ方が多いことがわかります。

次が金利上昇のリスクを嫌い、返済計画の安定を選択した全期間固定を選んだ方です。

バランス型はもっとも少ない3番目です。

ここで注目したのは、借換え前後で金利タイプを変更したかどうかと言う点です。

例えば、変動金利タイプから全期間固定金利タイプに変更された方は、金利上昇のリスクを嫌い安定を求めたことになります。

逆に全期間固定金利タイプから変動金利タイプに変更され方は、支払利息の減額を求め安定的な返済をやめ、金利上昇のリスクがあっても返済額の圧縮を優先させた方です。

悪い言い方をすれば「安定より実を選択した」と言えるでしょう。

では、実際にどのように金利タイプの変更が行われたのでしょうか。

変動金利タイプの借換え前後の変化

アンケートの設問は「金利が安かったから」です。

現在の変動金利を考えた時、かなり違和感を感じる結果です。

変動金利から変動金利(30.7%)は金利が安い変動金利タイプの商品に乗換えたことがわかります。

この割合は30.7%で、これは変動金利タイプの利用者の75%、4人に3人が低い金利の同じ金利タイプに借換えたことを示しています。

現状優先の考え方は変わらず、さらに支払利息を少なくするため借換えを選択された方です。

 

借換え後、固定期間選択タイプに変えた方は21%、おおよそ5人に1人の割合です。

不思議に思うのは変動金利より安い固定期間選択の商品があるのかどうかです。

調べる限り確認できませんでした。

ただ、設問は「○○に比べ金利が安かったから」とは書かれていません。

変動金利タイプの金利上昇のリスクと固定期間選択商品の金利を相対的に比較した時に、固定期間選択商品の金利に割安感を感じた結果として「金利が安かったから」と答えたのであれば理解が出来ます。

特に変動金利の上昇リスクは今後、高くなると予測する方は多く、警戒感を持って言います。

そう考えれば、固定期間選択タイプが住宅ローン開始時の金利と比較、あるいは推定される変動金利の上昇と比較した時に安いと感じ、リスクを減らす効果も含めて選択したと考えられば合点がいきます。

しばらくは、金利上昇のリスクがない固定金利で様子を見て、経済状況や社会情勢から金利の挙動を伺い、固定期間が終了した時にもう一度、選択できる時に判断することを選んだ方です。

変動金利から一定期間の固定金利への変更は多少の支払額が増加してもリスクを減らすことを選んでいる点が特徴です。

 

借換え後に全期間固定金利タイプに変えた方は1.3%です。

これは借換前変動金利タイプで契約していた方の3%です。

かなり少数派です。

全期間固定金利は多少の利上げはありましたが、低い金利で推移していますが、変動金利に比べら高い金利水準です。

それにも関わらず、金利上昇のリスクがない全期間固定金利を選択された方が1.3%いたことには驚きました。

先ほども書きましたが、金利がアップしても相対的に全期間固定金利がローンを組んだ頃からすると安くなっていれば相対的な割安感があります。

金利上昇の不安を感じながら生活することが嫌になったのでしょうね。

リスクの考え方はひとそれぞれ

変動金利で返済をしている方が借換えを機に金利タイプを変更されて皆さんについて説明しました。

もし、あなたが借換えをするとしたらどうですか。

それぞれの家庭で事情が違うため、正解、不正解があるわけではありません。

 

金利は生き物です。

上がることも下がることもあり、将来を予測することは難しいことです。

住宅ローンの契約した時の考えと変わることも普通にあります。

子供が生まれたり、出世したり、給与が増えたり、減ったりする中で皆さんにあった金利タイプを選ぶべきです。

将来、多少の後悔があるかもしれませんが、それも仕方がないことです。

 

住宅ローンと向き合い、借換えを選択されただけで良い選択だった思います。

次回は、ローン開始時に固定金利選択型を選んだ方の借換え後の金利タイプとその心理を考えてみます。


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