教育費のおさらい

11月に開催される予定のFP協会、東京支部にフォーラムに参加予定。
そこで、ファイナンシャル基本項目を整理することにしました。
どこにでも書いてある内容を自分のために再確認するだけなので・・・。
教育費は子供が生まれると親としてはどうしても考えることなります。

かわいいですよね。
わが子にためにがんばろう!!と思わずにいられない気持ち、わかります。
ファイナンシャルプランナーが教育費として把握する数値には、社会人になるまでに親が負担する資金に関するデータです。
代表的な資料は文部科学省が公開している「子供の学習費調査の結果について」が良く用いられます。
2年毎の調査なのか・・わかりませんが、最近では平成30年の調査結果が最新です。
こちらから資料は入手できます。
教育費総額

公立、私立で大きく金額を違うことはすぐにわかりますが、私立の小学校に入学することの大変さはこのグラフからも一目瞭然ですよね。
この金額は塾、家庭教師、部活等の子供の教育に関する費用がすべて含まれています。
公立 | 私立 | |
幼稚園 | 約65万円 | 約158万円*1 |
小学校 | 約193万円 | 約960万円 |
中学校 | 約146万円 | 約422万円 |
高等学校 | 約138万円 | 約290万円 |
合計額 | 約541万円 | 約1,830万円 |
大学はちょっと別に考えましょう。
皆さんはこの金額をどう思いますか?

子供ひとりに最低でも541万円が高校卒業、大学入学前までに必要になる金額になります。
目の前にこの金額を見せられるとなかなか二人目、三人目とは考えにくい状況にあることは理解できます。
子供のころ、母親が「高校までは公立でお願いね!」ってよく言っていたことを思い出しますね。
もう、50年ぐらい前でも親はお金のかからない学校への進学を望んでいたのでしょう。
えっ・・・せっかめは期待外れの子供です。
その頃とは学費も大きく違いますが。
その分、親の皆さんが不安になり気持ちはわかります。
また、親としては子供が望む教育はできる限り叶えたいと思うのは当然です。
各学年別総費用も全国平均で、地域性があります。
都市部の様に私立学校の選択肢は地方では多くない場合があります。
都市部では私立、公立で学力ランク的選択肢がありますが、地方では公立が一般的であり、私立は受け皿としての役目のケースが多いように感じます。
教育費の地域性
人口規模別(市区町村)の公立学校(幼稚園を含む)別、幼稚園~中学校までの教育費の関係です。

政令都市、人口規模が大きい程教育費が高いことがわかります。
また、幼稚園~中学校に年齢が高くなるほど教育費も高くなることがわかります。
都市部ほど教育費が高く中学校では年間で15万円近く、毎月1万円強余計に用意する必要があります。
文部科学省の報告書では「世帯の年間収入段階別の学習費」も詳しく報告しています。
興味のある方は読んでみては如何でしょうか。
統計的な情報はこの程度でしょう。
FPとしてのアドバイス
さて、ファイナンシャルの教科書では、子供の進学先が公立、私立がわからない以上、可能な限り計画的にお金を貯めましょう!!と言うことになります。
本当にそうなのか~と思いつつも話を続けます。
FPではよくキャッシュフロー表(略してCF表と言います)が用いられます。
収入と支出を年単位で収支として計算した表です。
教育費の以外のすべてを考えずに3年保育~高校まで公立のケース、総額541万円を赤ちゃんが生まれた年から高校卒業する年まで、月幾ら積立てれば教育資金がショート(赤字)にならずに過ごせるかを計算した表です。
下段には3年保育~高校まで私立のケースを算出しました。

公立のケースでは月2.6万円、私立では8.7万円を毎月積立てれば計算上成立することがわかります。
と言うことは親の選択肢としては、子供のためにどこまで資金を貯めるか?
その金額の幅は月2.6~8.7万円がひとつの目安になります。
尚、金利等は一切考慮していません。
CF表は中学校から私立やパターンはすぐに作ることがAFPやCFPであれば可能です。
二人目、三人目の計算もすぐにできます。

幼稚園から私立は親が選択することがほとんどでしょう。
私立の小学校も親の希望、願望が強い方が多いようです。
中学受験、高校受験で苦労するより小学校から入学した方が子供のためと言う意見も聞いたことがあります。
良い悪いの話ではありません。
ただ、周囲が受験しているからと言った流され受験にはいささか疑問はあります。
公立、私立のどちらでも親の愛情の深さとは関係ないことだけは確かです。
貯め方は人それぞれ
目安となる金額が決まれば、あとはその金額をどのように家計から捻出するかを考えることになります。
一般的なFP教科書では次のような方法が掲載されています。
貯蓄方法 | ポイント |
学資保険 | 金利の魅力は少ないが、イベント(卒業や入学)毎にお祝い金がでる 保護者の死亡時への保証がある(振込免除) 各社、いろいろな商品がありバリエーションが豊富 |
積立・積立信託 | 個人が子供のために積立てを行う 積立定期預金・投資信託が一般的 ジュニアNISA |
学資ローン | 国、民間それぞれに商品がある 国のローンは低金利、固定金利で利用者が多い 民間は地方銀行、信用組合の商品が比較的低金利で利用者が多い |
これ以外の裏技としては「おじいちゃ、おばあちゃん口座」がある(笑)

父方、母方の両方からも可能。
ただし、資産があることが前提、また親御さんに兄弟がいると期待ができない。(差はつけられません。)
贈与方法 | ポイント |
生前贈与 | 毎年非課税内(110万円)で受ける |
教育資金贈与 | 孫一人当たり1,500万円まで非課税 |
結果として表1を選択する方がほとんどです。
代表的な方法
教育資金の貯め方にはひとつの原則があります。
「支出の少ない時に出来るだけ多く貯める」
児童手当は基本的に貯蓄する
2022年10月から支給額に所得制限が設けられますが、子供のための手当です。
出来るだけ、貯蓄することが大事と言うこと。
教育費は年齢と共に増加しますが、0歳~13歳未満では児童手当が支給されます。
この期間は比較的支出が少ない期間となりこの期間にできるだけ貯蓄を増やすことを考えます。

CF表を使用して児童手当をすべて貯蓄した場合を計算すると月額積立目標額は次の様に結果になる。
貯蓄条件 | 公立 | 私立 |
積立のみ | 2.6万円 | 8.7万円 |
児童手当を全額貯蓄 | 1.7万円 | 7.8万円 |
月1.7~7.8万円であれば、オール私立はハードルが高いとしても高校は私立の選択肢も考慮できるかもしれません。
月1.7万円は統計上の最低金額です。
プラスαをどの程度準備できるかは皆さんの家計と子供への準備への考え方で決めて頂くことになります。

児童手当が2022/10から変更になります
良いのか悪いのかはさておいて、庶民はお上が決めたことに従う他ありません。
両親のどちらかの年収が1200万円以上の家庭は児童手当がなくなります。
両親のどちらかの年収が960万円以上、1200万円未満では子供一人あたり5000円です。
皆さんのお手元にはすでに通知が届いているはずです。
月額1.7万円をどうするか?
高校まですべて公立のケースを基本に算出しています。(大学のことは計算外です)
では、選択肢は何を選ぶべきか。
これも実はほとんどの専門家が同じ方法を薦めています。
貯蓄方法 | ポイント | 金額 |
積立定期 | 中学卒業まで目途にする | 1~2万円 |
児童手当 | 高校卒業まで貯蓄する(定期預金等) | 総額200万円 |
学資保険 | 中学卒業まで振込商品を選択 高校は支出が大きい | 15,000円前後 |
積立信託 | 利率(1~3%)で運用する 高校卒業まで | 月額5,000円前後 |
紹介したケースは15歳までは月4万円程度を貯蓄に回す。
高校からは月5,000円の積立信託だけになります。
しかし、それぞれに家庭の事情があります。
皆さんの家庭ごとにCF表の作成すること、あるいは専門家に依頼することで子供が18歳になるまでの大まかなお金の流れを見える化すること重要です。
CF表は「いざと言う時」に有効なツール
18年は長い期間です。
この間、平穏にすべてが順調であれば良いのですが、人生、なかなかそう思い通りには進みません。
家族の事故や病気、それ以外にも予想していない支出があることはよくあることです。

そんな時にCF表は、予定外の支出による「不足金額」「不足時期」を一目で確認できることが魅力です。
これにより何を幾ら削減するとどの程度、家計のバランスが保たれるのかを目で見れることで実感できやすくなります。
所謂、シミュレーションをしながら家計を運用できることが最大のメリットです。
大学進学への準備
今回大学を別枠とした理由は、大学進学の計算は金額を左右するファクターが多すぎることにあります。
大学に関する教育費はいろいろな金額が公開されています。
概ね大学進学費用は国立・公立、私立の選択、併せて理系・文系・医科歯科系によって費用が異なります。
短大、専門学校の選択肢もあります。
選択肢 | 概算費用(初年度) | 次年度以降(単年) | 合算額 |
国立・公立 | 190万円 | 120万円 | 550万円 |
私立理系 | 290万円 | 190万円 | 860万円 |
私立文系 | 250万円 | 150万円 | 700万円 |
医科歯科系(6年) | 630万円 | 450万円 | 2880万円 |
短期大学 | 110万円 | 90万円 | 200万円 |
専門学校(1~4年まで) | 35万円 | 20万円 | 35~100万円 |
WEB上から調査、独自計算
大学進学に備えるためには子供が18歳になるまでに準備する必要があります。
また、自宅と下宿では費用の内容も大きく変わります。

4年間仕送りをすると学費以外に440万円が必要になります。
自宅から通う場合でも自宅で過ごす生活費は必要になります。
CF表を用いて生まれた月から教育費の積立を始めると仮定、高校まではすべて公立を選択した時の月額積立額になります。
大学・短大・専門学校 | 仕送りなし | 仕送りあり |
国立・公立 | 3.7万円 | 5.6万円 |
私立理系 | 4.9万円 | 6.8万円 |
私立文系 | 4.3万円 | 6.2万円 |
短大 | 2.4万円 | 3.4万円 |
専門学校(4年計算) | 1.8万円 | 3.8万円 |
児童手当をすべて貯蓄、残金を均等積立方式で計算した結果では、仕送りあり、私大理系を想定すると月6.8万円を積立てる必要があります。
毎月6.8万円を22年間積立てることです。
ただし、大学生には奨学金やアルバイトで仕送りの一部を自身で負担することも出来ます。
18歳は成人年齢です。
社会で生きていくために、自分のために稼ぐ経験はすべきでしょうが親としては強制ができるものではありませんからね。
期待はしても家計の計算には入れるべきではないでしょう。

親としてどの程度まで資金援助を考えることにするかはご夫婦で相談して決めることになります。
また、皆さんからのご質問や相談をお受けしています。
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最後までお読み頂きありがとうざいます。
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