既存マンション売却を検討しています。媒介契約って何ですか?

分譲マンションの売手の方からの相談です。
中古マンションの売却を検討しています。
先日、何となく不動産屋に行ったところ媒介契約の勧誘をされました。
まだ、売却は先だと考えていたのですが、媒介契約をすべきなのでしょうか。
よろしくお願いします。
回答
売却時期が決まっていない状況で媒介契約をする必要はないと思います。
売却したい理由が書かれていないので、はっきりしたことは言えませんが、良い物件であれば簡単に買手はみつかります。
焦る必要はありません。
売却後に住む家のことや売却によって得たお金の使い道などいろいろ考えた上で、売ると決心してからでも遅くはありません。
将来、不動産屋さんに売却の仲介をお願いする時にために媒介契約を理解しておきましょう。
解説
媒介契約とは
媒介契約は不動産会社(以下仲介業者と言います)に売買の仲介をお願いする時に行う契約です。
一般的には売主が「自分の不動産を売ってください。」と仲介業者に依頼する契約です。
ただし、媒介契約は売る時だけではなく、買う時、借りる時も契約することができます。
例えば「こんなマンションがあったら買いたいので探してください。」
「こんなマンションを借りたいので探してください。」
と言う時に仲介業者にお願いする契約です。
売却についての媒介契約は宅建業法で厳しくルールが決まっています。
賃貸借契約はこのルールを準用しているだけでそこまでルール化はされていません。
レインズを知る
媒介契約を知るためには不動産流通機構(通称レインズ)の存在を理解する必要があります。
レインズは全国を4つの地域分けて売りたい不動産の情報が集約されたシステムです。

このシステムがあるため、不動産会社はたくさんの物件情報を得ることができ、効率的に売手を探すことが出来るわけです。
ただし、大手不動産会社ではこのレインズを使用せずに独自で物件情報を持っている会社もあります。
媒介契約の種類
媒介契約には種類があります。
媒介契約 | 一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 |
契約できる不動産会社 | 幾つでも可能 | 1社に限定 | 1社に限定 |
販売活動 | 積極的に行う | 積極的に行う | 積極的に行う |
不動産流通機構への登録義務 (レインズ) | なし | 7日以内 | 5日以内 |
活動報告義務 | なし | 14日一度 | 7日一度 |
契約期間 | 定めなし 一般的には3カ月 | 最長3カ月 | 最長3カ月 |
自分で購入者を探した場合 | 直接売買可能 仲介とする必要なし | 直接売買可能 仲介とする必要なし | 直接売買禁止 仲介とする必要あり |
一般媒介契約
売主が幾つもの不動産会社に「売ってください!」と契約することが出来ます。
同時に購入希望者が現れた時は選択することができます。
たくさんの不動産会社から同じようなことをたくさん聞かれ、その度に答える必要があり多大な労力が必要になります。
レインズに登録義務はありません。
売主が購入者(知人、友人、親戚等)を探した場合は、仲介業者を通さずに直接売買が可能です。
専任媒介契約
ひとつの不動産会社に「売ってください!」と契約します。
複数の仲介業者と同時期に契約はできません。(違反すると違約金等を取られます。契約書にもその旨記載があります。)
すべてを1社に任せるため売主の労力は少なくて済みます。
媒介契約後、7日以内にレインズに登録する義務があります。
また、14日に一度、売買状況を報告する義務があります。
媒介契約中に売主が購入者(知人、友人、親戚等)を探した場合は、仲介業者を通さずに直接売買が可能です。
専属媒介契約
基本的には専任媒介契約と同じですが、より厳しいルールがあります。
媒介契約後、5日以内にレインズに登録する義務があります。
また、7日に一度、売買状況を報告する義務があります。
その代わり、媒介契約中に売主が購入者(知人、友人、親戚等)を探した場合は、必ず契約した仲介業者を通して売買が行われます。
バブル時代の悪しきルールとして存在している契約ですが、素人同士が直接売買契約をすると発生するトラブルを回避できる点では利用方法もありますが、現在ではこの方法で契約するケースは稀と言われています。(ないわけではありません。)
どれが良いの?
当然、気になりますよね。
一般の方の専属専任契約にメリットはありません。
選択肢としては「一般媒介契約」と「専任契約」です。
一長一短です。
その理由は、不動産業界特有の「囲い」と言う売買法があることなのですが、それについては別な機会に説明します。
ここでは、正攻法として「専任契約」をお勧めします。
物件によっては「一般媒介契約」の方が高値で売れすケースがありますが、その判断は素人では難しく失敗しないためには「専任契約」がリスクが少ないと言えます。
専任契約をする場合の注意点は次の2つです。
1、必ずレインズへの登録を確認すること
専任媒介契約を締結する時に「レインズの登録証明書」を取得すること
悪質な不動産会社は登録しないケースがあります。(これは違反行為です。)
自社で買主を見つけて売主、買主の両者から手数料を獲得しようとする方法で「囲い」と言われます。
少なくともレインズに登録されていれば「囲い」を防止することは一定程度できます。
*レインズに登録しないことは違法ですが「囲い」は違反ではありません。
不動産売買では認められていることですが、道義的に問題が多い取引方法です。
2、自分でも確認すること
レインズに登録されると売主専用の確認用IDと確認用パスワードが発行されます。
「レインズの登録証明書」に記載されています。
ここにアクセスして登録内容や取引状況の履歴を確認でき、これにより不動産会社がルールを守っていることを確認できます。
媒介契約の更新はすべきか?
3カ月経っても売れない時に不動産会社を変えるべき?と言う質問も多いのですが、不動産売買はタイミングです。
いつ買いたい人が現れるかは運です。
レインズに登録してあれば、不動産会社は確認しています。
売れる物件だと思えば積極的に宣伝はしてくれます。
物件自体が高額な取引です。
買主も簡単に「買った!」と決断することは難しいと思います。
少なくとも6ヵ月程度は任せた不動産会社にお願いしても良いのではないでしょうか。
それでもだめなら「一般媒介」に変更して数社にお願いすることも検討すべきでしょう。
また、皆さんからのご質問や相談をお受けしています。
お気軽にお問合せください。
最後までお読み頂きありがとうざいます。
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