最近、奥さんからの質問が多い扶養の話

今月から社会保険の適応範囲拡大が始まったことは皆さんも知っていると思います。
ここ1ヵ月ほど、マンションを訪ねると必ずと言って小中学校のお子さんがいる奥さんから「扶養の話」を聞かれます。
旦那さんはサラリーマン。
子供が学校に行っている間だけパートで働いている奥さんはマンションではよく見かけます。
その多くは130万円の壁の範囲内で働き、旦那さんの扶養内にいることのメリットを考えられています。
社会保険の改正 (cabcs.website)(制度の説明はこちらを確認してください。)

扶養内のメリット
社会保険(健康保険、年金保険)に入らなくて済む・・・・⇒保険料負担がない
ところが10月からは一定の条件を満たした場合は、130万円の壁が106万円の壁に代わると言う制度です。
国としては厚生年金や健康組合の原資(収入/保険料)を増やして安定的な運用を考えての政策なのでしょう。
これに合わせて、国民年金と厚生年金の融合などと言う話まで税制調査会では話合われると言うことも聞きます。
国には国の考えがあるのでしょうが、子育て世代にとっては大変な問題です。
子供の成長には大きな資金が必要になり、出来るだけ幼い時から蓄えを準備する必要があります。
1,000円、500円でも収入のアップを希望する気持ちはよくわかります。
今回は実際にここ数カ月で受けた質問から制度を理解して頂きたいと思います。
相談例1・・会社の規模を確認
分譲マンションに住む4人家族の奥様。
子供は小学生が二人。
旦那さんはサラリーマンで、住宅ローンは30年、変動金利で8年前に購入。
現在は奥様が子供の帰宅時間に間に合うように建築会社の事務として週5日勤務、10時~16時(5時間労働)までパートとして働いています。
概ね稼働日は月20日程になります。
時給は1,250円、月の手取り額は13万円前後(交通費は別)です。
やはり月の手取額が88,000円を超えるため、106万円の壁で今回の制度改正で社会保険に入る必要があるのかを心配されていました。
アドバイス
建設会社の社員数は80名ほどということでした。
今回の改正による影響はなく、これまで通りの働き方でも社会保険は扶養内で大丈夫と回答しました。
今回の改正で該当する要件は5つありますが、そのすべてに該当する必要があります。

相談者が務める会社は80人前後と言うことで要件が当てはまりません。
そのため、従来通り130万円の壁が適用されます。
「会社にもう一度、会社の従業員数が501人以下であることを確認してください。」とアドバイスをしました。
更に2024年10月には適応範囲が51人以上に拡大すること、現在の会社に勤め続けると2024年10月には扶養を外れて社会保険契約になることを説明しました。
相談例2・・・会社の規模
分譲マンションに住む3人家族の奥様。
子供は中学生が一人。
旦那さんはサラリーマンで、住宅ローンは35年、全期間固定金利で21年前に購入。
現在、奥様は知合いの税理士事務所に事務員として勤め中。
給与は月10万円。
知合いと言うこともあって雇用契約書はなく、10万円、賞与が2万円年に2回支給されている。
交通費は自転車通勤のためなし。
月の手取額が88,000円を超えるため、106万円の壁で今回の制度改正で社会保険に入る必要があるのかを心配されていました。
アドバイス
この相談も税理士事務が6名の事務所と言うことで会社の規模が適応外なのでこれまでと変わらないこと、2024年10月の適用範囲の拡大でも影響しないことを説明しました。
ただし、雇用契約書を交わしていないことは良くありません。
この機会に雇用契約書の作成を雇用主に依頼するようにアドバイスしました。
相談例3・・・月給の計算方法・実績の連続性の判断
分譲マンションに住む3人家族の奥様。
子供は小学生が一人。
夫の両親と同居中。
旦那さんはサラリーマンで、住宅ローンは32年、変動金利で5年前に購入。
現在は奥様はスーパーで年収が103万円を超えない範囲で働いています。
所得税、住民税を考えて103万円を選択されています。
手取りで交通費込みで7万円前後、ただし、忙しい月は9万円になることも。
交通費は自転車通勤のためなし。
月の手取額が88,000円を超える月があるため、今回の制度改正で社会保険に入る必要があるのかを心配されていました。
アドバイス
年収は103万円の範囲内で収まっているが、月手取額が88,000円を超える月があるだけで対象になるかどうかを気にされています。
勤務先の会社は大手スーパーのため、従業員数は501人以上であることは間違いありません。

質問には2つのポイントがあります。
ひと月だけでも手取額が88,000円を超えたら要件を満たすことになるのかと言う点、もうひとつが手取額に残業やボーナスなどが含まれるかどうかと言う点です。
いずれも答えはNOです。
今回の社会保険の拡大の対象になる方は、契約段階で106万円以上の給与額が確定しているケースと実績として月88,000円以上の給与を一定の期間稼いでいる人が対象になります。

ここで気になる一定期間についてですが、これは働いている会社が所属する社会保険組織により変わります。
そのため、変更の基準実績が2カ月、3カ月などいずれで変更対象になるかを確認する必要があります。(連続性も同じです)
これは重要な点です。
是非、確認しましょう。
次に交通費や残業代の扱いですが、残業を含まない時給×労働時間が88,000円以内であれば対象にはなりません。
残業、ボーナス・賞与・特別手当、交通費は除いて計算されます。

給与明細の総支給額ではなく時給と労働時間から計算された「給与」を確認することが大切です。
相談例4・・・学生・パート・アルバイト・派遣社員
分譲マンションに住む3人家族の奥様。
子供は大学生。
去年から派遣会社に登録してコロナのワクチン接種のアルバイトをしています。
割の良いアルバイトらしく月に10万円程の収入があります。
現在は夫の扶養内ですが、子供は今回の制度で対象になるのでしょうか。
アドバイス
今回の扶養内の拡大では5つの要件にすべて該当する場合が対象です。
学生は対象外になるため心配する必要がないことを伝えました。

コロナのワクチン接種のアルバイトってそんなに良いですか。と素朴に感じましたけど。
アルバイト・派遣社員の注意点
今回の相談は学生でしたが、最近は卒業業も卒業せずにアルバイトや派遣登録で働くことも多いようです。
この場合、父親の扶養内で処理している例が多いようです。
この場合は注意が必要です。
学生は学校に所属していることが絶対条件になります。(休業は学生ではありません。)
学生以外のアルバイトを含む派遣登録者はすでに社会人です。
アルバイトや派遣登録でも契約の締結は行っています。
そのため、今回の制度変更の対象になります。
アルバイトや派遣は仕事があるなし(シフト)によって月の給与が大きく変わります。
各要件ごとの注意点です。
会社の規模ですがアルバイトや派遣会社で働く方は次の点に注意してください。
働いている会社 | 契約対象の判断 |
大手コンビニ | 多くのコンビニは個人経営です。 そのため、今回の事業規模の対象からは外れますが、直営店ではコンビニ会社が雇用主になります。 |
派遣会社 | 派遣契約の場合の雇用契約は派遣会社です。 勤め先の会社の規模ではなく、派遣会社の規模によって判断されます。 |
ファーストフード | ほとんどお店は直営店です。 雇用契約書の契約者(雇用主)の会社の規模により決まります。 |
派遣は派遣先が固定されている契約とその時々でスキルにあった仕事をするケースがあります。
そのため、契約書に雇用期間は明記されていないことが一般的です。
そこで重要になるのが「実績」です。
金額ばかりを気にされている方が多いようですが、一か所の職場で週20時間、2カ月以上の実績がなければ対象にはなりません。

その上で月の給与が88,000円を超える月が複数ある場合は注意してください。
繰返しになりますが、今回の扶養拡大の対象は5つの要件のすべてに該当する人です。
また、複数のアルバイトや派遣会社で働いている場合は、各箇所の給与が対象になります。
このような場合はトータルの収入ではないことも覚えておきましょう。
今回は4つの例で説明しました。
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