契約の取り消しと無効の違いって知ってますか?

最近、○○協会が行っていた悪質な献金・寄付を防止するための法律とこれまでに被害に遭った方を救済する法律が国会で議論されていますよね。
報道を聞いていても「?」
取消、無効のどっちなの?
救済法の骨子案は次の通りです。
特定の勧誘行為を禁止を明記、違法な勧誘行為で行われた場合、寄付の取り消し権を行使することができる
寄付をした本人以外にも扶養家族の生活費等を本人に代わり取り消し権を行使することができる
取り消し権の行使は寄付の意思表示から10年間とする
民法には契約の解除について、取り消しと無効のいずれかを規定しています。
皆さんはこの違って知っていますか。
無効はだれでも主張できる
無効は締結した契約が最初からなかったこと(契約の事実そのものを無かった)にすることになります。
無効を請求することが出来るケースは、契約の意思表示に問題がった(正しい判断ができない)、公序良俗に違反、強制規定(脅迫など)で契約をさせる、契約が現実的に不可能な内容だった場合になります。
最大の特徴は無効の請求は契約者本人以外からも行うことが出来ます点です。
そもそも契約する意思に問題があったり、法律違反で契約したため、契約そのものの成立を否定しています。
そのため、無効は時効がありません。
取り消しは本人に限定される
これに対して取り消しは契約そのものは成立しています。(違法性や正当な意思表示はあったと言うことです)
そのため、契約を取り消しが出来る人は、契約を行った本人に限定されます。
本人以外の第三者から契約の取り消しを請求することが出来ません。
本人が「取り消し」を請求した時に初めて無効(契約が無かったこと)になります。
取り消しの効果は契約をした時間にまでさかのぼります。
取り消し権は時効がある
無効は契約そのものに問題があったため、時効はなくいつでも無効を主張できます。
取り消しは契約そのものは成立しています。
当事者間の意志の問題になり、一定期間(一般的に20年)を過ぎると取り消しが出来なくなります。
20年も契約を放置しているわけですから、本人に取り消す意志はないと判断されるわけです。
結果は同じ
どちらも結果的に契約が最初からなかったこと(契約の事実そのものを無かった)になる点は同じですが、請求権を誰でも使えると無効、契約者本人しかできないと取り消しと区別しています。
今回の問題
寄付は法律に認められているため、寄付を禁止することはできません。
そのため、宗教法人に寄付すること自体を無効することはできません。
ただし、意思表示に問題があったとなれば、無効を請求することが出来ます。
ここで「マインドコントール」が重要になります。
マインドコントロールの状態にあったと認められると意思表示自体に疑問が生じます。
無効が請求できる対象になります。
無効は時効がありません。
被害に遭った多くの方を救済することができます。
ただし、マインドコントール状態にあったことを科学的に証明する必要がありますが、これは非常に難しい問題です。
政府や与党は、マインドコントロールの状態を条文化することは難しいと考えています。
野党は可能だと主張しているわけです。

また、政府案では取り消し権を契約者以外の扶養家族についても認めています。
この点は従来の法律がかわることになります。
ただし、請求額は生活費に限定しています。
さらに取り消し権の時効を10年に限定しています。
と言うことは、10年以上前に寄付した場合は救済法の適用外になります。
救済できる人が限定されてしまう訳です。
そのため、被害者団体や野党は修正を求めています。
最後に
無効と取り消しの違いがわかると政府・与党と被害者・野党の意見の違いがよくわかりますよね。
マインドコントロールを条文化することは難しいと思いますが、せめて時効を20年にするなどの修正はあっても良いのかな~
本人は宗教に救われる部分もあって寄付をしたのでしょう。(マインドコントロールの有無は考えないで・・。)
それにつけ込み多額な寄付を求めるのはNGです。
これはこれとして規制する法律が必要だと思います。
家族が寄付の影響で貧困になったり、将来の道を閉ざされた事実があるなら、ひとりでも多くの人が救済されるような救済法になって欲しいと思います。
でも、過去にさかのぼっても、過ごした時間は消えないのも事実です。
たぶん、これについては損害賠償請求ができるのではないかと・・・
過ぎた時間はお金には代えられませんが、せめて、これからを生きるための資金にして欲しいと思います。
最後に無効と取り消しは日常生活の中にもよくあります。
ちょっとした違いですが、大きな違いです。
今回の件を機に是非とも覚えてください。
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