自宅売買のオークション制度は本格的になるのか?

最近CMかなんかで、自宅の売買を売主がオークションで落札してもらう制度が本格的に始まったことを知りました。

このオークション制度は以前から不動産売買の新たな方法して考えられていました。

タイムリーなことに先週日曜部に千葉県浦安市で「日本不動産学会」が開催されていました。

その講演の中に「マンション購入者の維持管理に対する良否認識を考慮した内的参照価格形成プロセスに関する研究」〇小松広明 (明海大学)と言う興味深いテーマがあったのでオンラインで聴講しました。

この意味不明な論文は「不動産売主の売却における満足度と販売価格の研究」と言い換えると分かり易いと思います。

内容を簡単に説明するとマンションの売却をされた売主さんに売却価格への満足度についてアンケートを行った結果を色々と分析した研究で、売却価格の満足度は希望価格から値下げされるごとに低下する傾向が確認できた言うことでした。

*たぶん、もっと学術的な意味があるのでしょうが、深くはわかりませんでした。

一般的にマンションの売買は仲介業者と媒介契約を締結して販売を依頼します。

この時、仲介業者は売主さんの希望価格と業者が物件を査定した価格を相談しながら売買希望価格を決めます。

仲介業者としては売主さんを獲得したいため、出来るだけ高値の査定をします。(実際、査定の裏付けを説明する必要があります。)

売主さんにしても希望価格より高い査定価格を付けた会社に仲介をお願いしたいと思うのは当然です。

 

査定価格通りに売れれば、売主さんの大満足で満足度は高くなります。

しかし、現実はそうはいきません。

マンションについての2019年までの希望価格と成約価格について公益財団法人東日本不動産流通機構(レインズ)が公開しているデータをみれば明らかです。

*レインズは仲介業者が媒介契約をした時に登録が義務化されている不動産ネットワークの事です。(一般媒介契約を除く)

公益財団法人東日本不動産流通機構
首都圏不動産流通市場の動向(2019年)より

売主さんは思ったような価格で売れなければがっかりします。

当然、満足度は下がります。

これは概念的には誰でもわかることですが、これを統計的にはっきりさせたことが今回発表された論文の面白いところです。

では、なぜ?こんなことが起こるのでしょうか。

売主は期待してしまう

誰でも自分のマンションを売りたいと考えた時、高く売りたいと思います。

少しでも高く、だから後々値引きするとしても一旦は高値で売りに出そう!!

誰もが思いますよね。

その結果、仲介業者に「幾らぐらいで売りたいですか?」と聞かれた時、自分の思う額よりも高く値付けをする傾向があります。

仲介業者は査定を高くつける傾向にある

一方、仲介業者は媒介契約を締結できれば顧客の獲得になり、物件が売れれば仲介手数料が入ります。

そのため、少しでも高値の査定をしたいと考えます。

売主は勘違いをする

仲介業者が査定をすると売主は「この価格で売れるんだ!!」と思い込みますが、これは勘違いでどんなに良い物件でも適正価格があります。

査定時にどんなに高い査定をしても買手が付かなければ放置されるだけです。

結果として値下げ以外に方法はなくなってしまい、査定価格より低い成約価格になります。

売主の心理

売主は専門家が付けた価格を売れる価格と思い込み、そこから値引きの回数を重ねるごとに満足度も低くなります。

それだけ仲介業者の査定価格を信用してしまうわけです。

不動産の目利きは宅建士でも難しく分野です。

最近は簡単に立地、築年数、部屋のタイプ、延床面積を入力するだけで査定額がでるシステムがありますが、不動産の価値はそれだけでは決まりません。

専門家が付けた価格と言うだけで信用する心理と、この値段で売れると期待する気持ちが大きければ大きいほど実際の成約価格との差が満足度の低下を招いてしまいます。

オークション、競売、不動産売買の違い

オークションはYahooを始めとして多くの方が簡単に参加できるようになり、身近になっています。

一般的なオークションでも落札者がいなければ、価格を再設定して売りに出します。

一方、人気があれば価格はどんどんと上昇します。

しかし、不動産売買は元々が最高値で販売します。

また、その物件を気に入った人がいれば、その場で購入(落札)されてしまいます。

要するに高値で競り合うことをもともと放棄した販売方法です。

そのため、以前からオークションの販売に期待がありました。

オークションとは違いますが競売の不動産の入札的な手法です。

競売は最低価格があり、それ以上の価格で各個人が入札を行い、最高額入札者が権利を落札します。

不動産とオークション

不動産売却をオークションで販売する時の問題は、物件を事前に確認する手間と正しい評価が出来るかと言う点です。

恐らく、この方法が確立するとオークション専門の鑑定を仕事にする不動産関係者が現れるでしょうね。

例えば・・・うちの事務所のような。

有名なオークションではバイヤーは購入者と契約した人が行うことが一般的です。

あれと同じようになるのでしょうね。

事前の打合せで「○○○〇円までなら出す!」と決めてからオークションに参加と言った具合です。

また、オークションの雰囲気に興奮して思った以上の額で買ってしまうケースもあるでしょうね。

その逆もあるでしょう。

値が付かず、値下げがされて売りたくもない価格で落札されるケースです。

いずれにしても売主にとっては決して悪い話ではありません。

これは仲介業者も同じで落札価格が高ければ手数料も多くなります。

最後に

不動産のオークション方式による売却方法が確立するかはまだわかりませんが、今までのような売り方が変わっていくことは間違いないと考えています。

数年後、数10年後、メルカリやヤフオクのようにネット上で不動産オークション情報が当たり前にあって、クリック一つで家が買える時代が来るのかもしれません。


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