こどもエコすまい支援事業を利用してマンション管理組合ができること

前回はエコすまい支援事業の概要を説明しました。

今回はマンション管理組合がこの制度を利用するにはどうすべきかを説明します。

必須工事の必要性

こどもエコすまい支援事業の補助金を利用するためには必須工事が必要になります。

必須工事は3つから1つを選択する必要があります。

マンション共用部分で採用できる改修工事は限定的で利用は難しそうですが、これまでに事業運営に問合せをした結果、明らかになったことは次の点があります。

マンション管理組合が任意工事の中の宅配ボックスの更新(交換)、新規設置を想定して質問をしました。

開口部の断熱改修

工事の対象は各専有部分の窓で、断熱ガラスへの交換、サッシ交換、内サッシの増設です。

共用部分の窓については断熱効果の点で採用されるケースは難しいようです。

管理組合が共用部分である各専有部分の窓を区分所有者の意志で交換することを認める判断が出来れば、区分所有者は各自の判断で改修工事を行うことができますが、これを行うには最低でも総会の普通議決、規約に共用部分の変更を禁止する旨の定めがあれば特別議決により規約改定が必要になります。

外壁の修繕の耐熱塗料は補助対象外

大規模修繕工事時に外壁の塗装に省エネ性能がある塗料を使用する改修は工事は今回の事業の対象外です。

確認しましたが外断熱、内断熱のどちらでも断熱材を使用することが条件になります。(事業コールセンターで確認済み)

マンション管理組合の場合、組合単位で専有部分の断熱材を使った改修工事は難しく、断熱改修は利用できないことがわかりました。

管理室の給湯、トイレを改修する

次のような例です。

管理室は共用部分です。

管理室にはトイレが設置されていることがほとんどでしょう。

また、マンションによっては給湯システムが配置されているマンションもあります。

この部分を必須工事として改修することで、任意工事ができる権利を得る方法です。

この方式で例えば、共用部分に設置されている宅配ボックスの交換、新規取付は任意工事になるかについては確認しましたが可能と言う回答を得ています。

共用トイレの改修

次のような例です。

共用トイレを設置しているマンションは多くあります。

このトイレを節水型に変更する工事を管理組合が発注元となり行うケースです。

これにより必須工事はクリアーしたと認められます。(事業コールセンターで確認済み)

同時に共用設備である宅配ボックスの交換を発注すると補助金の対象になります。

管理室と違って区分所有者が全員使用するトイレであれば管理組合の合意形成も容易ではないでしょうか。

その上、老朽化した宅配ボックスの交換や新規設置に補助金を利用することができます。

管理組合が専有部分(区分所有者)の改修工事の発注者になる

次のような例です。

管理組合が組合員に対して自費でこどもエコすまい事業の必須工事を希望する区分所有者を募ります。

1軒でも実施したい組合員がいればその工事を管理組合が発注元として業者に依頼します。

管理組合は任意工事を同時に業者に依頼します。

専有部分の改修工事費用はそれぞれの工事を行う区分所有者が支払います。

任意工事については管理組合が修繕費で支払います。

事業コールセンターで確認しましたが、宅配ボックスの交換工事への補助金の対象になると言う回答でした。

この方法であれば、開口部の断熱改修も利用することができます。

この方式が可能であれば、ほとんどのマンションで宅配ボックスの交換や新規設置が可能になります。

補助金の申請は施行業者が行うため、管理組合は発注元として依頼するだけです。

補助金は施工業者から給付されますが、管理組合がそれぞれに修繕工事を行った区分所有者に渡すことで会計上の問題はありません。

当事務所が調べた限りもっとも便利に使うことができる方法です。

区分所有者が代理することはだめ

次のような例です。

管理組合ではなく区分所有者が自身の専有部分の改修工事と管理組合で管理する宅配ボックスの交換、新規設置工事を代表して行うケースです。

これについては、事業運営に確認しましたが、対象にはならないと言う回答でした。

マンションの区分所有者が共用部分に設置する宅配ボックスの工事を発注しても補助金の対象にはなりません。

事業運営からの話では個人が購入する宅配ボックスは各戸の玄関脇に設置する宅配ボックスになります。

マンション管理組合では、各戸の玄関脇は共用廊下になります。

この場合、設置は規約に抵触する可能性があります。


以上が現在まで確認ができている内容になります。

かなりマンション管理で利用が出来るイメージが沸いたのではありませんか?

今回、導入を仮定した宅配ボックスは耐久年数が10年~15年程度です。

その意味で交換を検討している組合も多いと見られます。

また、共稼ぎが増える中、コロナの影響もあり宅配は一般的になりました。

再配達、マンション内への配送業者の立入、玄関戸への置き配などセキュリティー上の問題もあり設置を希望される組合は増加すると思われます。

今回のこどもエコすまい支援事業は、必須工事が必要ですが管理組合が宅配ボックスを設置することを想定して制度設計されています。

是非、各マンションに置いては検討してみてください。

尚、FJマンション管理士事務では、宅配ボックスを含めたこどもエコすまい支援事業に関する説明を聞きたいご要望があれば訪問相談(無料)の一環として行っています。

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