マンションの台風対策(雨編-1)

台風14号の被害は大きかった。
ここ数年、台風の強さの目安の中心気圧が驚くほど低く、風速も聞いたことがない台風が多くありませんか。
管理員時代、いろいろなマンションで台風に遭遇していますが、ここ最近の台風とは違いマンション全体で対策をすることはあまりなかったと記憶しています。
今年の秋も異常気象の影響で14号並みの大型で猛烈な台風が来る可能性もあります。
そこで、マンション全体として出来る台風対策を管理員の経験を含めてまとめることにしました。
1回目は雨編です。
雨は台風に限らず、ゲリラ豪雨のような「経験したことがない雨」の発表が毎年のように聞かれます。
この自然現象に対してマンション全体でどのように取組をすべきかが今回のテーマです。
マンションのある場所の特性
都市部にあるマンションと郊外、特に丘陵地に建てられているマンションでは水害に対する考え方はまったく違います。
それは皆さんも感覚的にわかると思います。
都市部にあるマンションではその地域に設置されている下水道の排水能力が大きく関係しています。
都市部の多くは舗装された道路です。
各道路には排水溝が一定間隔で設置されています。
雨水はそれらを通り地下に設置されている下水道を通して海や処理場に流されます。
下水道は大きなパイプです。
そのため、降った雨の量によってはすべての雨水を流しきれずに地表に雨水が溜まります。
これが浸水を巻き起こす原因です。
これについてマンションが出来ることはありません。
自治体が実施すべき災害対策になります。
では、マンションでは何ができるのでしょうか。
水は低いところに流れます。
これは誰でも知っていますよね。
では、皆さんのお住いのマンションは高い場所にありますか、低い場所にありますか。
「うちは、坂の上にあるから大丈夫だよ」
残念ですがそれはあくまでも人間の感覚です。
広域地域として高低差、各地域内の高低差が影響します。
水が溜まり易い場所かを知ることが重要です。
これを知るには各自治体が公表しているハザードマップの中で内水ハザードマップが重要になります。
洪水ハザードマップは近隣の河川が氾濫した際のマップです。
内水ハザードマップより災害がワンランクアップした状況と考えると良いでしょう。
台風やゲリラ豪雨は排水能力を超える雨が地域に降った場合の浸水を知るには内水ハザードマップの情報を知ること重要です。
しかし、内水ハザードマップは地域によっては作成されていません。
例えばFJマンション管理士事務所がある墨田区では区のホームページに次のような記載があります。
内水(雨水出水)のハザードマップは水防法に基づかないのですか。
墨田区には水防法第14条の2に規定された「雨水出水浸水想定区域」に指定された区域がないため、水防法に基づく内水のハザードマップの作成対象となっていません。
水防法の規定とは別に東京都が独自に作成している「浸水予想区域図」をもとに作成し、区内での大雨への備えに役立てていただくために掲載しているものです。
墨田区ホームページより出典
このように地域によっては「浸水予想区域図」を元にマンションの浸水をあらかじめ知っておく必要があります。
それでは具体的にどのように地図を確認すれば良いのでしょうか。


地図では雨水による浸水の高さが色分けされています。
同じ区内でも高低差があることがわかります。
ページ右上に住所を入力するとご自身のマンションの位置にフラグが立ちます。
FJマンション管理士事務所の所在地を入力した結果は次のマップになります。

このマップを見る限り、事務所所在地が雨水により浸水の心配がないことを確認できます。
しかし、浸水地域が墨田区にも点々とあることがわかりますが、もう少し詳細を確認してみましょう。
墨田区内にある比較的浸水の可能性が高い地域の水害マップです。
地図上に一辺60mの枠を書き込みましたが、道路ひとつ挟むと浸水の状況が異なることがわかります。

10m位置が異なるだけ浸水0mと3m未満の違う地区もあります。
国や自治体は皆さんが住んでいる地域の状況の情報を公開しています。
これを利用する、しないは皆さんの自由です。
是非、この機会に自分が住みマンションは大雨の時にどの程度の浸水リスクがあるかを確認することが必要です。
この結果によって台風やゲリラ豪雨が発生した時の雨の対策が大きく異なります。
次回は浸水、電気設備についてお話しします。
また、皆さんからのご質問や相談をお受けしています。
お気軽にお問合せください。
最後までお読み頂きありがとうざいます。
記事の内容はいかがでしたか?
「せっかめブログ」はブログ村に登録しています。
オンライン・電話相談

マンション管理組合役員の皆さんからの相談を受けています。
事前予約制です。
開催日ごとにテーマと相談対象者を設けて開催しています。