マンション管理委託料の値上要請が来た時に理事会がやるべきこと その2

物価上昇に伴い管理委託料の値上の動きが2023年は起きる可能性についてお話ししました。

理事会が管理会社から値上げの要請を受けた場合にやるべきことを契約内容からお話ししました。
今回は続きになります。

委託契約は全部委託、一部委託、自主管理の3つに大別されますが、自主管理は別にして一部委託では管理費等の徴収、清掃業を委託するケースが多く、管理組合の支援は自分たちで行うのが一般的です。

全部委託は丸投げする方法です。

もっとも理事会にとっては楽な方法ですが、その分委託料が高くなります。

当然、これだけ物価高騰、賃上げムードが高まっているため、管理組合の委託費も値上は必須になることでしょう。

そんな時に理事会がすべきことについて引き続くお話します。

管理事務を再点検する

委託契約では各期末、総会が終了後、速やかに管理した書類を組合に引渡すことが記されています。

総会議事録は添付資料と共に理事長に渡され、そのまま管理室に保管されることが一般的です。

しかし、法定点検の報告書やメンテナンスの記録はどうでしょうか。

理事長を始め、理事の皆さんは年に1度でもきちんと整理されて保管していることを確認したでしょうか。

訪問サービスや点検サービスでマンションを訪問するとこの点が実施されていないマンションをかなりの数を見かけます。

管理会社に指摘すると「会社にあります。問題ありません。」

「へぇ~」

「理事長それを許可していますか?」

こんなやり取りはよくあることです。

では、次回までに揃えてくださいとお願いするとさー大変です。

保管期間は5年ですが、それはあくまでもマンション管理組合の保管期間であり、破棄を決めるのは管理組合です。

管理会社が勝手に破棄などしたら大変です。

・・・契約期間内の資料が見つからないことは良くあります。

管理会社が紛失してしまう。

これが実に多い、5年を過ぎれば破棄できると管理会社が決めることはできません。

酷い場合は理事会議事録の原本がない、コピーもないケースもあります。

この原因のひとつが管理会社、フロントの変更です。

十分な引継ぎをせずに担当者が変わる。

 

このような管理会社が値上げの請求をしてくること自体が間違いです。

委託契約内容を履行している会社が委託費の値上請求をするならまだしも、不完全な履行で値上請求は論外です。

議事録、帳簿、各報告書は管理組合の財産

委託費の値上要求があった時、管理会社が記録を疎かにしていないことを確認してください。

各年度、管理会社が仕事を請負った間の記録が管理室に保管されていることを確認してください。

「管理会社に保管してあります。」と回答があれば、値上げの話をする前に一度、確認したいと請求してください。

本来であれば、いずれの書類も各期末に管理組合に提出が必要な書類です。

特に毎年、再契約をしている場合は、委託契約の大原則である「契約後に成果物を引渡すこと」を履行していない可能性が大きくなります。

種類の保管を管理会社にお願いしているケースは除くますが、それでも一度確認すべきでしょう。

 

各記録は将来のマンション管理組合運営には必要になる情報です。

理事長や役員は毎年、数年で入れ替わります。

規約の改定の経緯、修繕積立金の値上の経緯、合意形成の進め方、修繕の中身、滞納者への対応など、どれ一つとっても将来の理事会にとってはマンションの歴史と過去の事例を読みとるための参考になる貴重な財産です。

この記録を残す仕事も管理会社に求められる管理業務のひとつです。

これが履行されていないと言うことはマンション管理の適正な運営をフォローしていると言えません。

値上げ請求に「No!」と答える大きな理由のひとつになります。

まず、値上げの前に過去の不履行の完全履行を求めるべきです。

値上の話題はそれが終わった後でも十分です。


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2022年4月から始まった「管理計画認定制度」はこれから徐々に広まります。

これから各自治体の制度運用が始まります。

認定を取得することはマンション管理が適正に行われている証です。

また、認定取得による優遇措置も徐々に公開されています。

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