分譲マンションのサポートサイクルって知ってますか?

聞き慣れないですよね。
昔、標準管理委託契約を勉強していた頃に思いついて、その後、相談会や勉強会、お客さんとの打合せでも使用しているFJマンション管理士事務所が勝手に使っている名称です。

「何?」って話ですが、管理委託契約書を読むとわかるのですが、委託契約する業務は、事務管理業務、管理員業務、清掃業務、建物・設備管理業務に分類されます。
各業務は左図に示したように各項目があり、それぞれに詳しく契約内容が定められています。
思っていたより業務が細分化されていることがわかります。
事務管理業務は組合員の皆さんから管理費、修繕積立金、共有部分使用料を徴収し、そのお金の使い道を記録する出納する会計業務、それ以外に理事会や管理組合の業務を支援する業務、設備の検査や故障個所等のメンテナンスを提案する業務があります。
区分所有者の皆さんは日々の生活の中で、管理員さんと接する機会が多いと思いますが、各マンションの恐恐設備の状況にもよりますが、いろいろなマンション内の業務を直接担当しています。
小規模なマンションでは、管理員さんの業務はゴミ出し、日常清掃だけでそれ以外は管理会社の担当者(フロント)に直接、駐車場、駐輪場の契約などを申込んでいるケースもあります。
清掃業務は日常清掃とは違い3~6か月に一度、専門業者が廊下を中心に清掃する業務の事です。
建物・設備の管理業務には法定点検を含む躯体、設備の検査の日程調整や検査後の結果の処理などが含まれます。
事務管理業務にある設備業務との違いは、事務管理業務が適正な時期に検査を企画して管理組合(理事会)に提案する業務のことを示し、建物・設備の管理業務は実際の検査を実施に際して発生する業務のことになります。
皆さんは「基幹業務」って知っていますか。
これは国土交通省が定めていることで、事務管理業務で分類されている3つの項目の中で、基幹業務は「会計業務」「設備業務」の2つのことです。
管理費等の徴収、出納がもっとも重要な項目ですが、管理組合の予算、決算等の収支の調定を行う会計業務と躯体や設備については法定点検の実施の企画、メンテナンス、修繕提案、故障時の対応の(維持又は修繕に関する実施の企画と調整)を行う「設備業務」があります。
そのため、事務管理業務には基幹業務とそれ以外に業務に分かれています。

会計業務はマンション適正化法で厳しくルールが決まっています。
そのため、管理会社はそのルールに従って理事会の指示を受けることなく、管理費等の徴収、出納業務を行います。
また、設備業務は建築基準法、消防法などの法律によって定められた方法で行う業務がほとんどです。
この2つの業務の特徴は、理事会の意思決定を経ずに法律に従って行う業務になります。
管理会社の理事会に対する仕事は、毎月(組合の規模によって異なります。)業務が正しく行われ、適正に運用されている報告が業務の中心にります。
FJマンション管理士事務所では、このように理事会の意思決定を経ずに「実務」➡「報告」➡「指示」(報告により理事会が業務を指示する)行われる基幹業務に関する業務を「実務サイクル」と表現しています。

実務サイクルの特徴は
1、マンション適正化法、区分所有法、標準管理規約でルールが決められている
2、法定検査を含む施設の維持に関する業務も関係法令で検査回数、検査期間、検査方法が決まられている
3、理事会は指示をしなくても管理会社が行い、報告が中心になる業務である
4、管理業に登録している会社であれば、管理手法(収支決算書や賃借対照表の書式)に違いがあっても成果物に差が発生しにくい
5、報告内容によって理事会から指示がある(サポート業務)
これに対して、基幹業務以外の委託契約で定めている支援業務は管理会社の業務へのサービスが大きく関わる業務になります。
理事会、総会の開催準備、議事進行の補助、議事録の作成と言った内容が思い浮かびますが、実はそれだけではなく、理事会の運営を支援する業務になります。その中身は様々です。

言葉にすると何となく「あ~そうなんだ」って感じですが、これは契約書内の定めであり、実情は大きく異なります。例えば、マンション内でクレーム等が発生した時は理事会に管理会社から報告が上がります。(管理員➡フロント➡理事長(理事会))
そこで理事会で話合いが行われ解決方法を管理会社に指示がされます。

このように委託契約書に文面として支援業務に相当する業務をFJマンション管理士事務所ではサポートサイクルと呼んでいます。
例としてはトラブルが発生した時の対応が分かり易いですね。
設備等の故障もこれに該当します。
一般的には管理会社から適切なアドバイスを受け、理事会で話合いが行われ対処方法が決められます。その中には駐輪場問題や違法駐車問題などもあり、場合によっては住民アンケートなどの必要があるケースもあります。
管理業務主任者(フロント)の腕の見せ所になります。逆に言えば資格は持っているがスキルがないフロントは実力が露呈することになります。
サポートサイクルの特徴は
1、案件や問題が発生した時には発生する業務の総称としてFJマンション管理士事務所が命名
2、管理会社の対応能力によって大きな差が生まれる
3、同じ管理会社でもフロント(管理業務主任者)、管理人(現場スタッフ)のスキルによって差が生まれる
4、管理会社の変更の原因になりやすい
5、役員が肌で感じる管理会社(フロント、管理員)の評価に直結する
実務サイクルとサポートサイクルについて説明しましたがわかりましたか。
実務サイクルはルールが決まっているため、管理会社による優劣が分かりにくく、そのため、委託費の安さに注目されがちですが、ルールを守らない管理会社も多くあり、この場合、管理会社の変更は必須になります。
一方、サポートサイクルは管理会社、フロント、管理員のスキルに依存するため管理会社の総合力がはっきりとわかり、優劣もはっきりとわかり、理事はもちろん、区分所有者にも評価がし易い業務になります。
事実、管理会社の変更(リプレース)の要因として上位に上がります。
サポートサイクルが充実しているマンション管理組合は運営状況も良好で管理会社との信頼も厚い関係であるケースが多いと言えます。

いずれにしても管理会社を評価する時にサポートサイクルを意識することが重要です。
詳しくは特集記事でも取り上げているので読んでみたください。
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最後までお読み頂きありがとうざいます。
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