分譲マンションの喫煙被害の話

昨日は東京都マンション管理士会、世田谷支部の勉強会と相談会、その後に世田谷区マンション交流会が開催されました。
ブログでもTwitterでもお知らせしました。
あいにくの雨の中でしたがたくさんの方が会場に来られました。
これ以外にもオンラインで参加されています。
マンション管理士会の講師は弁護士でマンション管理士の資格もお持ちの方です。
講演内容は面白かったです。
ただ、マンションの現場をあまり知らない方なのかな~と思える説明があり、参加者の方から鋭い突っ込みもありました。
今日、お伝えするのは講演の中でも説明があった分譲マンションの喫煙問題です。
世の中の流れとして公共施設や多くの方が利用する施設での禁煙が一般化しました。
喫煙者にとっては肩身の狭い時代になっています。
ゆっくりとタバコを吸える場所はやはり自宅になるわけです。

しかし、家族の中にはタバコの煙や臭いがだめ!と言う方もいますよね。
そうなると「お父さん、外で吸って!!」「パパ!タバコやめて」と家族にも嫌われる始末。
結局、ベランダに出て吸う「ホタル族」なんて言葉も生まれました。
マンションではベランダのタバコの臭いが臭い!!
近隣の部屋から煙が部屋に入ると言うクレームが起き、管理規約で共用部分の禁煙を決めた管理組合も多いはずです。
ベランダは共用部分です。
これによって、喫煙者にとって自宅の大切な喫煙場所も禁止されることになりました。
この辺からマンションの駐車場や周辺で喫煙をする方が問題になっています。
以前、相談を受けたマンションでは役員の方が全員喫煙者で規約に共用部分の禁煙の設定には否定的でしたが、各役員の奥様からの強い!説得で実行できた例がありました。(奥様は強い!)
こんな背景から今回の講演でも住民トラブルの位置ㇾとして弁護士さんに相談したケースの紹介がありました。
弁護士の見解は概ね次の点です。
1、原則、組合員(又は入居者)間での個人的な法律問題
2、複数戸に影響を及ぼしている場合はマンション全体の共同利益に反する行為として管理組合の問題として扱うことも可能
3、注意喚起や規約への設定は管理組合の考え方で決定される
実際、2番の管理組合が取上げ、規約の追加によって「共用部分の禁煙」を定めるケースが多いと言う訳です。
面白かったのは裁判の判例の紹介でした。
名古屋地裁平成24年12月13日判決。
以下、この裁判を紹介した記事があったので転記します。
名古屋地裁は住民に配慮しない喫煙は違法だとして、マンションのバルコニーで喫煙を続けた男性に慰謝料5万円の支払いを命じました。
これはマンションの下の階に住む男性(61歳)がバルコニーで吸うたぱこの煙で体調を崩したとして、居住者の女性(74歳)が150万円の損害賠償を求めたものです。女性にはぜんそくの持病があり、下から流れてくる煙にストレスを感じ、帯状疱疹(ほうしん)を発症したといいます。扇風機や空気清浄器を付けても煙が気になり、手紙や電話で喫煙をやめるよう男性に求めましたが応じなかったため訴えをおこしたそうです。
被告の男性は、女性の体調悪化と煙の因果関係はなく、管理規約等でバルコニーでの喫煙は禁じられていないことや、たばこを吸いながら景色を眺める楽しさや私生活の自由を理由に「違法性はない」と反論しましたが、判決は近隣住民に配慮しない喫煙の違法性を認めました。その一方で、女性にも一定の受忍義務があるとして、賠償額は5万円が相当としました。
令和5年と平成24年で時代背景も異なるので今、同じ裁判が行われてもこの判決になるかはわかりませんけど。
驚いたのは「女性にも一定の受忍義務がある」と受忍義務が認められている点です。
今では受動喫煙の健康被害は一般的な常識です。
体調悪化と煙の関係は当時の裁判よりは研究も進んでいます。
特に小さな子供がいるご家庭では気になるのは当然です。
管理組合は、共用部分、敷地の禁煙の条文を規約に記載するべきだと思いますが、専有部分で吸われた場合は、規制することが出来ず、窓を開けて吸えば近隣にはベランダと同様の事態が起きる訳で換気扇でも同じです。
何とも悩ましい問題です。
喫煙をされる方には室内に空気清浄機等を設置するなどの配慮をお願いしたいと切に思います。
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最後までお読み頂きありがとうざいます。
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