分譲マンション管理組合の監事って何するの?(2)

監事に与えられる強い権限

平成28年標準管理規約の改定が行われ、監事の役割が強化されたことは知っていますか?

区分所有法に理事会の規定はなく、理事会制度の運用については標準管理規約に定められています。

その中で監事は次のように定められています。

標準管理規約(赤字は解説で追加した部分、太字・下線部は重要な部分です)

第41条 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。
2 監事は、いつでも、理事及び第38条第1項第二号に規定する職員(理事会が雇用した人、管理会社も含まれると考えてください)に対して業務の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることができる。
3 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる。
4 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない
5 監事は、理事が不正の行為をし、若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、使用細則等、総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない。
6 監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる。
7 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられな
い場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる。

条文より監事に与えられた権限と義務は次のようになります。

監事に与えられた権限

1、理事、管理会社への調査権

2、臨時総会招集権

3、理事会における発言権

4、理事会招集権

監事が課せられる義務

1、監査と報告義務

2、理事会への出席義務

3、陳述権

4、理事会への報告義務

理事値に与えられた権限と義務に匹敵するほどの強い権限と義務があることがわかります。

理事が運営上に法律に違反する行為、規約、使用細則、総会の議事(組合員が決めたこと)に違反した運営を行っている場合には、理事会に報告する義務があり、理事には当然、理事長を含んでいます。

具体的な違反例としては次のような相談を受けています。

  • 修繕積立金を総会の承認なく使用した修繕工事の実施
  • 規約や総会で与えられていない権限を理事会の議決を得ずに理事長が独断で行った決定事項
  • 理事長が「監事は理事会に出席しなくていいから」と言って出席を受付けなかった
  • 監事の承認を受けずに総会で決算報告を行う
  • 監事に理事会の開催通知を送っていない
  • 理事会議事録の署名人に監事を入れている
  • 理事会の開催を行わない

マンション管理の法律やルールかなり勉強した人でも誤解していることもあり、組合員の方がそのすべてを理解して運用することは難しいことです。

特に監事は、組合員から選任され、同じ組合員から選任された理事の組合運用を監査する立場です。

同じ場所に住む組合員同士としては、かなり孤独感の強い職務と言えるでしょう。

また、マンション管理のルールに精通する必要もあると言えます。

最近では監事の重要性が認識され、監事にマンション管理士を利用する組合や顧問契約により理事会、監事を含めた助言を行う方法を利用する組合も増えています。

それ故と言う訳ではないのでしょうが、監事の重責に耐えられず「辞めたい」と言う方も多くなっています。

特に生真面目な方には負担が大きい職務と言えます。

次回は監事(理事を含めた)の選任、解任、辞任について説明します。


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