管理会社のフロントに関する相談あれこれ、皆さんは大丈夫ですか?

毎月の相談業務で必ずある相談。
「管理会社が・・・、これって酷いと思いませんか」
一方的な話ではありますが、全部が誇大表現とも思えません。
質問の内容は大きく2つに分かれます。

表の左にある網掛けが管理を委託している業務になります。
すべての委託の実施は理事会の要請で始まりますが、実務サイクルについては契約書に履行内容が書かれているため、理事会の指示がなくても管理会社が行う業務です。(徴収、出納、点検、清掃、管理員の派遣)
この業務の特徴は、法律で定められたルール下で行われる為、管理会社として差がなく、どの管理会社も同程度の実力と言う点です。
そのため、価格競争になる部分です。
これに対してサポートサイクルは、マンション内で何かが起きた時に発生する業務です。
例えば、騒音、住民間トラブル、モラル問題、喫煙問題が代表的です。
これ以外にも管理費、修繕積立金の値上、駐車場・駐輪場の抽選や振分け、長期修繕計画の見直し、大規模修繕のサポート業務、滞納者対応も含まれます。
この業務の特徴は、普段は業務として発生しないことです。
さらに言えば管理会社、フロントの真の実力が試される部分です。
質問は実務サイクルについては法定解釈、ルールの違法性の確認が主な質問内容になります。
これに対してサポートサイクルはフロントのスキル、やる気、知識、経験を問う質問が多く「使えないフロント」へのクレームが多くなります。
フロントが管理組合をなめている(実務・サポ)
「総会はセレモニーみたいなものです。適当で大丈夫です。」
とある管理会社のフロントが総会前の理事会で役員の皆さんに話した言葉です。
驚きです。
これで国家資格取得者です。
でも、この人が特別なわけではなく、このような考えを持っているフロントは相当数いるのも事実です。
マンション管理組合の議決機関は「総会」です。
もっとも重要な会議です。
その総会をセレモニーと言い話すフロント。
管理組合自体を軽んじていると言っていいでしょうね。
原因の一端は理事達にもあります。
こんなこと言われたら「ふざけるな!」と一括すればフロントも少しは考え直すことでしょう。
次回、次回を繰返す(実務)
「来月の理事会までに用意します」を繰返すフロントです。
頼んだことは後回し、「すみません、今月は忙しくて、来月までには・・。」
そんな言い訳を繰返すフロント。
「忙しいのはあなたの事情です。
あなたの事情で私たち管理組合に不利益を与えないでください。」
理事長を含めた理事会として「委託契約の債務不履行」としてフロントの上席に相談しますと伝えれます。
少しはやる気になるかもしれません。(ほとんどは期待できませんけど)
このような時は、各管理会社が設置している住民相談電話にクレームとして申入れることもひとつの手ですが、多くの場合はフロントも上席も同じ穴のムジナですから、これもあまり期待できません。
こんな時に便利なマンション管理士の存在です。
当事務所でもこれまで数度、無料訪問相談で理事会に出席を依頼され、このような事態に遭遇したことがあります。
フロントにしてみれば理事会と言う閉鎖された中に第三者が出席すると言うだけで緊張します。
その上、マンション管理士は平気で苦言を言います。
同時にこれまでの管理会社の運営にダメ出しもします。
「理事長にリプレースを検討されては如何がですか、同じ価格でもっと良い会社はありますよ」などと言われればフロントは大騒ぎです。
同席するだけでもかなりの効果はあります。
もともと、このような事態になる原因は、フロントに「どうせ、この人たちに何かを起こす力も団結力もない」と思っているからです。
理事会、役員をなめている人たちです。
それ程、経験のマンション管理士は、出来の悪いフロントにとっては厄介な存在です。
ちなみに、無料相談で訪問した後の管理会社の対応はかなり変わったと聞いていますし、何かあれば相談してくださいと理事会には伝えてあります。
フロントの上席も役立たず(サポ)
サポートサイクルで多い相談は、使えないフロント、その上、上席に相談してもまったく解決しない事態に陥った理事長からになります。
「フロントの上司に相談はされましたか」
「はい、それでも効果がありませんでした。」
管理会社は実務サイクルのプロです。しかし、サポートサイクルはフロントでも未経験者も多く、ほぼ素人集団と思った方が良いかもしれません。
騒音、モラル、トラブルも注意喚起の掲示が限界、それ以上は業務範囲外と考えているフロントがほとんどでしょう。
理事会は解決を望みますが、管理会社はお決まりの対応に終わる。
その結果が、フロントへの不満、役に立たない、上司も同じと言った言葉になります。
「理事会運営の補助業務」「総会運営の補助業務」
これは標準管理委託契約書に記載される契約内容です。
この拡大解釈が、マンションのトラブルの解決に助力することになるわけですが、フロントとしては「そんなの知らないよ」と考えています。
両者には「マンション管理」に求める意識の差がはっきりあると言うことです。
「高い金を払っているんだからそれも業務だろ」これが区分所有者の気持ち。
これに対して「それは知りません」
しかし、フロントはこれを認めると無能であること、スキル不足であること、経験不足であることを認めることになります。
その結果が先送り、無視、言い逃れになります。

仕事を選ぶフロント(サポ)
フロントは面倒で業務が増える仕事を避ける傾向にあります。
これが所謂「管理会社は守りの営業」と言われる所以です。
実務サイクルを淡々と行い、サポートサイクルが起きないことを願う姿勢のことを総称しています。
面倒な業務につながるような提案はしませんが、管理会社の儲けになる提案は積極的に提案します。
これは会社の方針にもよるのですが、委託業務は定額制です。
フロントは担当する管理組合を逃さないことがもっとも重要な仕事と考えています。
会社として売り上げを伸ばすためには、修繕や金の取れる提案を行う必要性があります。
理事長が「管理会社は金を使う提案しかしない」と嘆くのはこんなことに由来しています。
理事会を仕切るフロント(実務)
本来理事会は、理事、監事で構成される役員の会議です。
フロントの立場は理事長の承諾を得て出席するオブザーバーです。
理事会の進行に「管理会社からの月次報告」はありますが、理事会を仕切る権限はありません。
開催告知、会場の確保、会場の設営、後片づけは業務ですが、司会までする権利はありません。
これも理事長がはっきりと立場を理解させなければいけません。
このような事態が起きる原因は、サポートサイクル業務の発生を出来るだけ避けたいと思うフロントの思惑があります。
余計な話題は離さない、毎月の報告を行うことに徹する。
さっさと終わらせて次の仕事をしたい。
「総会はセレモニー」もこれと同じです。
理事会を形骸化させ、フロントのコントロール下に置きたいと考えているわけです。
理事長とだけ話をするフロント
「フロントが理事長とグルになっている」と嘆く相談も実際良くあります。
悪質な理事長がいない訳ではありませんが、多くの理事長は輪番制で選ばれています。
任期中にトラブルは発生して欲しくありません。
平穏に淡々と任期を務め、次の理事長に引継げば良いと考えている方が多いのではありませんか。
・・・フロントと利害が一致します。
「管理会社に任せておけば大丈夫」そんな考えがフロントに伝わればフロントしては大歓迎です。
傍から見るとこの関係が「癒着、グル」に見えるのでしょう。
管理組合の代表者は理事長です。
理事会が合議制と言っても理事長が「これでいいんじゃない」と言えば決まるケースは多く、理事長歴が長いほどこのような運営がされている組合も多いようです。
それに乗じる訳ではないのでしょうが、理事から質問があると「その件は理事長と話しています」と内容の説明を避けるフロントがいます。
理事長、フロントの利害関係が一致しているので互いに助け合う関係が自然に発生してしまいます。
間違った運営をしているフロント
管理業主任者に資格を持つと言っても「区分所有法」や「マンション管理適正化法」に精通しているとは限りません。
実務サイクルは机上の管理です。
理事会運営や総会運営は区分所有法を始めとする法律で規制されていますが、それを熟知している区分所有者は少ないでしょう。
「管理会社は専門家、間違えるはずがない」と考えるのも当然です。
しかし、区分所有法は組合が独自にルール化することができる部分が多く、それぞれの組合の管理規約に反映されています。
これまでに相談された中には修繕積立金を理事会の決定だけで使用しているケースがありました。
区分所有法では修繕積立金の使用は総会の議決で決めるとありますが、別途定めることも可能です。
総会、規約で「修繕積立金の使用を理事会の決定で行うことができる」と定めればそれがルールになります。(国土交通省に確認済みです)
このような法律の解釈はマンション管理士でも勉強していなければわかりません。
結果、細かなルールを守っていないと言うか知らないフロントの話もよく聞きます。
例えば、理事会や総会の周知が「1週間前」というのは当たり前の話ですが、1月22日が理事会であれば告知は1月14日が期限になります。
理事会開催日当日は日数に数えません。
そんなことも知らないフロントがいるのも事実です。
もっと酷い例だと総会議事録には監事の監査を添付することが一般的ですが、それがない総会議事録を平気で配布するフロントもいます。
このような事態を避けるためには、区分所有者が勉強するか、マンション管理士のような専門家に顧問等をお願いする必要があります。
会計の知識に乏しいフロント
管理業務主任者試験にはマンション管理に必要な会計の知識も出題されます。
問題数は2~3問程度です。
残念なことですが、試験だけでは実務を乗り切れる実力は付きません。
これはマンション管理士でも同じです。
総会で皆さんに配布される収支計画書や収支決算報告書、賃借対照表、収支決算報告書を正しく読み切るには試験とは別に勉強する必要があります。
せめて簿記の3級や収支決算のセミナー等で独学で学ぶ必要があります。
特にマンション管理組合の会計は株式の会計処理とは異なる「発生原理」で処理します。
フロントが会計に弱い理由にシステム化された管理システムがあります。
管理会社が行うマンション管理の会計ソフトはフロントとは別な組織が管理します。
フロントは日々の出納を入力すればシステムがすべてやってくれるため、機械的に総会議事録資料に添付しています。
そのため、少し複雑な質問をすると「え~、その~・・・」と答えられません。
そんなフロントですから総会で組合員から質問があるともう大変です。
結果、「あの管理会社は大丈夫か?」という話になります。
大抵、総会には上司も参加するので事なきは得ますが何とも悲しい現実です。
上から目線のフロント
最近、偉そうなフロントが多くなっているようです。
管理会社にとって管理組合はお客様です。
それにも関わらず「うちが管理してやってる」と言わんばかりの態度のフロントがいます。
確かに最近、採算が合わない管理組合が委託契約を切られる話は聞きますが、それはそれできちんとルールがあっての話です。
委託と受託の関係をきちんと理解した上で、管理組合に接する必要があります。
「契約を切られたら困る」と理事達も弱気なことも原因ですが、上から目線のフロントは大手管理会社でも見かけたことがあります。
管理会社の経営者が知れば大騒ぎでしょうが、あまりにもフロントの仕事に口を出したり、クレームを言うと切れて暴言を吐くこともあるようです。
マンションの管理室には「お客様第一」や「礼儀正しく、挨拶」など管理人さんに対する教育をする掲示を見かけますが、本当に教育すべきはフロントなのかもしれません。
このような上から目線はサポートサイクルへの経験不足、スキル不足が根底にあると思っています。
このようなフロントが担当している管理組合は不幸です。
元々、マンション管理は、管理会社の精度の高い実務サイクルとサービスを含めた住民の住環境の維持、向上を含めたサポートサイクルの両輪が適正に稼働させることで成立します。
近年、管理会社は実務サイクルだけが会社の評価と考えている様で、サポートサイクルの低下が相談に反映されていると考えています。
最後に
FJマンション管理士事務所に寄せられた相談を中心にまとめました。
いずれの場合も当事務所のマンション管理士がアドバイスを行うことで解決の糸口はお伝えしています。
ご要望があれば直接出向くこともあります。
些細なことでもまずは相談してください。
相談は無料で対応しています。

また、皆さんからのご質問や相談をお受けしています。
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最後までお読み頂きありがとうざいます。
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