マンションの台風対策(風対策・専有部分編)

前回は雨対策をお話ししました。
浸水に備える | FJマンション管理士事務所 (cabcs.website)
今回のテーマは風対策です。
風対策の特徴は被害者にならないための対策と加害者にならないための対策に分かれることです。
被害者になるとは風により資産が破壊されることを防ぐ対策です。
これに対して加害者にならない対策は風によって私物が飛ばされ第三者に被害を与えないための対策です。

この違いを頭に入れてください。
台風等の強風による他人への損害賠償責任について
色々調べました。
法律的な難しい話は他のサイトにお任せするとして、ベランダに置いてあったものが強風により第三者の所有物、あるいは人に怪我等を負わせた場合の損害賠償についての話です。
ケースバイケースのようです。
ほとんどのケースは「台風等の自然災害は予見の可能性が極めて限定されるため、回避することが不可能であると考えら不法行為(故意・過失)にあたらない」とされ法律上の賠償責任は生じないことが多いようです。
とは言え自分が他人の物を壊したり、怪我をさせてしまったら呵責は感じます。
法律上の責任はないかもしれませんが、道義上の責任を感じてしまいます。
そうならないために対策をすべきです。
マンションの風被害の主な原因
マンションの建物は非常に頑丈に作られています。
建物の倒壊等の心配をすることはありませんが、外壁の破損や野外駐輪場の屋根等が破損することはあります。
しかし、それらの防風対策は管理組合(理事会)の業務になります。
ここで取上げるのは専有部分の対策です。
一部、専有部分以外に置かれた所有物の責任にも触れますが、基本は専有部分が対策の対象になります。
窓対策(被害者にならないための対策)
専有部分でもっとも対策すべき部分は窓です。
ガラスが割れる風圧は20~25mと言われていますが、風圧で割れるケースは稀でほとんどは風で飛ばされた飛翔物が衝突して被害を起こします。
風による被害 | 破損の原因 |
構造物の破損 | 屋根が飛ばされる、窓ガラスに物がぶつかる |
所有物の破損 | 高所からの落下、衝突による破損、自転車の転倒 |
飛翔物を避ける方法はシャッターを付ける、雨戸を付ける等が効果的な対策ですが費用が大きくなります。
特に防犯の必要がない上階のお部屋ではシャッターや雨戸の設置はないことが一般的です。
そこで、風対策としては万が一、何かがぶつかってガラス窓が破損した時に室内を風や雨から守る方法になります。
管理組合の台風対策(風編)でも記載しましたが2点です。
1、ガラスの破片が室内に飛び散ることを防ぐ
2、被害の広がりを防ぐ
対策は同じで窓ガラスが割れた際にガラス片が室内に散乱しないことが一番の対策になります。
一般的には養生テープを使用してガラスに図の様にテープを貼ります。
新聞や段ボールを貼る方法もありますが、外の様子を確認できなくなるため、あまりお勧めはしません。
さらにカーテンで覆います。
これで万が一ガラスが割れた場合でも室内へのガラス片の散乱は防止することが出来ます。

しかし、穴が開いた窓からは雨風が吹き込みます。
その結果、カーテンは水を含むと重量が増し、カーテンレール等を破損する可能性が高くなります。
そこで割れた個所を塞ぐ作業が必要になります。
速やかにカーテンを畳み、割れた部分を段ボールやプラスチック板、あるいは牛乳パックで塞ぎ、テープでしっかり止めます。
*牛乳パックはかなりお勧めです。(内側を外側にします)
段ボールを使用する場合は一工夫します。
段ボールは水を吸います。
そこで段ボールをラップで包んだ上で塞ぐと良いでしょう。
その上から木の板等を貼るとより丈夫になります。
これが基本的なガラス窓の風対策です。
ベランダ対策(加害者にならないための対策)

ベランダは生活の中では色々な用途で使用されています。
物置場、観葉植物置場、洗濯物の干場などが主な使い方ではありませんか?
ベランダ対策として重要なポイントは3つあります。
ベランダの整理
ベランダに置いたものが風で飛ばされることはありますが、ご自宅の窓を破損することケースや飛ばされた物が他人に被害を与えるケースもあります。
いずれにしてもベランダを整理しておく必要性が高いと覚えてください。
具体的には次の2つは重要です。
物干し竿の床置き
物干し竿そのものが飛ばされる被害は全国で報告されています。
ベランダ仕切り板の破損が最も多い報告です。
もともと仕切り板は災害時の避難では避難路になることから簡単に壊れる素材で作られています。(足で蹴れば壊れます。)
その板に物干し竿がぶつかれば簡単に壊れます。
「えっ、物干し竿って飛ぶの?」と言う方がいますが、実際ネットで物干し竿、台風で検索すると実例は簡単に見つけることが出来ます。
この対策としては、床に置くことです。
ベランダは壁で囲まれている、フェンス型であっても床には多少の壁があります。
最悪、物干し竿が下階へ落ちるケースもあります。
管理人時代に経験したことですが、7階から落下、幸い下が植栽があったため被害は出ませんでしたが、落下場所が数mずれていたら歩道でした。
台風の大小に関わらず台風が接近することが予想される場合は物干し竿は床に置いておくべきです。
植木等の室内移動
重量が重いから大丈夫と考えて植木鉢をそのまま放置する方がいますが、記憶にあると思いますが強風で車は簡単に横転します。
植木鉢など容易に飛ばします。
特に葉が多い植木は風の抵抗を受けるため危険度が増します。
段ボールにも同じことが言えます。
面倒だとは思いますが、何かあった時に困るのは皆さん自身です。
ご自身が危険と感じなくても出来る限り一時避難として室内での保管をお勧めします。
専有廊下の私物対策
次は共有廊下の私物対策です。
ベランダと違い共用廊下に物を置くことは規約で禁止されている行為です。
万が一私物が原因で第三者、あるいは躯体に損傷を与えた場合、損害賠償になる可能性が高いと言えます。
放置してはいけない場所に置いておくことはそれ自体違反ですが、それによって発生した損害は「回避することが不可能であると考えら不法行為(故意・過失)にあたらない」とは言えません。
共用廊下の対策は2つです。
傘の放置
台風が近づけば雨が降り、傘を使います。
室内に持込まず外に置くことは日常では当たり前の光景ですが、強風では危険な行為です。
傘は風により凶器に変貌します。
特に畳まずに放置した傘は風を受け、制御不能で風に煽られます。
このような事態にならないように台風や強風が吹くことが事前にわかっている時は室内に保管することを心がけてください。
私物の放置
共用廊下に私物を放置する権利はありません。
速やかに室内に移動することです。
植木や小物飾り等はベランダで説明したことと同じです。
特に重量がある物を上階で設置している場合は落下した時の被害は大きくなります。
最近は定期食糧配送サービスを利用されている家庭が増えました。
発泡スチロールやプラスチックコンテナを廊下に置いている方を見かけます。
法令剤の重量があるから大丈夫と考えることは危険です。
一時的にでも室内で保管することをお願いします。
廊下の自転車
駐輪場不足で暗黙の了解(理事会や管理組合の合意を得ていない)で自転車を廊下に停めるマンションを見ますが、自転車の転倒等により壁や廊下に傷をつけた場合は損害賠償の対象になる可能性があります。
室内に一時保管が最も良い方法ですが、紐等でしっかりと固定する方法もあります。
駐車場や駐輪場(被害者にならないための対策)

駐輪場や駐車場は管理組合が管理する施設です。
正常な管理がされてる設備が台風で被害を受け、その結果として車両に傷等が出来た場合は管理組合への損害賠償は出来ないことが一般的です。
正常な管理とは設備に不具合があった場合に速やかに修繕を行っている設備です。
被害を受ける前から不具合が指摘されている箇所等があり、知りながらも放置している現状でその箇所を原因として車両に被害が出た場合に限り損害賠償が可能です。
例えば駐車場や駐輪場の壁に薄い鉄板(トタン板)が使用され、風により鉄板が飛び車体に当り出来た傷の修理は車の持ち主の責任で行うことになりますが、鉄板を固定するネジの緩みが事故前から確認され、それを知っていながら修理しなかったような状態で同様の傷が出来た場合は相手の責任となり、修理の請求ができると言う考え方です。
この点は覚えておくと良いでしょう。
いずれにしても個人として出来ることは余りありません。
建物や設備に風の影響を受け被害が拡大するような破損等が見つかった場合は、日ごろから直ちに管理員や管理会社に連絡して修繕を行っておくべきでしょう。
まとめ
4回に渡り分譲マンションの台風対策を共用部分、専有部分について理事会、区分所有者として出来ることを説明しました。
ここ数年の異常気象は想定を超える規模で起き、発生頻度も多くなっています。
どのような災害もある日突然に起きます。
「命を守ること」を一番に考え、その上で想定される被害から未然に守る、あるいは最小限の被害に抑える準備をすることが重要です。
今回説明した内容はを頭の片隅に入れておいて頂ければ幸いです。
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