高齢者と管理組合の面白いセミナーでした

ブログでも紹介した「世田谷区マンション交流会」のセミナーが昨日開催されました。
今回のテーマは高齢者福祉と管理組合の高齢者です。
最初の講演は世田谷区の高齢福祉部高齢福祉課の方から区が独自に提供している福祉サービスが紹介されました。
国や都が行う介護サービスとは別に区が独自に行っていることです。
世田谷区にお住いの方は是非、チェックしてくださいね。
縦割り行政の弊害が質問に
質疑応答であった質問に福祉サービスの拠点は地域ごとに拠点が置かれているわけですが、利用者からすれば拠点と利用のし易さは一致しないことがはよくあります。
同じ区であっても拠点によってはバスによる移動が必要になるけど、隣の拠点なら歩いて行けるなどの例です。
質問された方は、近い拠点を利用したいと申入れしたようなのですが、
「この地区は〇〇拠点になります。こちらでサービスは受けられません」
と断られたそうです。
何度もお願いしても「地区が違う」の一点張り。
何とかなりませんか?
質問よりはお願いに近かったと思います。
区の方も困り顔で「そのようなご意見があったことを上席に伝えます」で終わりましたが、会場からは笑い声。
行政の融通の利かなさは、皆さんもご存じですよね。
高齢者は足腰が弱る方が多く、だからサービスを利用する必要があるわけです。
そこが行政は理解していない、良い例です。
管理にし易さより利用者の利便性を重視して欲しいと本当に思います。

司会者が助け舟を出す形でこの質疑は終了しましたが、質問者は次の講演を聞くこともなく、さっさとお帰りになりました。
よっぽど、区の担当者に一言、言いたかったのでしょうね。
高齢者サービスを妨げるマンション
メインのセミナーの内容は区から委託されている高齢者サービス機関がマンションに住み高齢者へサービスを広げた事例の紹介でした。
マンションはオートロックで守られたひとつの自治体のようなものです。

なかなか、部外者は自由に立入はできません。
見守り高齢者と連絡が取れなくなった高齢者サービス機関は、自宅を訪問して安否を確認しますが、マンションの自動扉を開けられず手が出ません。
インターフォンで呼び出しても応答がなければ手の出しようがありません。
そこで高齢者サービス機関の職員がその方の最近の様子などの情報を話したそうです。
管理人は事情を聞いても、そうやすやすと自動扉を開けてくれません。
こんな問題を解決するために高齢者サービス機関が奮闘した話です。
とても良い話だと思いましたが、質疑応答では・・・。
話はなるほどと思うこともありましたが、管理人がその方の最近の様子を話したことを聴衆した理事長などのマンション管理組合の役員たちが疑問に思ったことは「それ個人情報の違反だよ」でした。
結局、管理人さんの配慮で部屋を訪問することができたらしいのですが、問題は管理人さんが独自に判断したことです。
これについても「管理人の権利を超えている」と意見がありました。
何でも20年来の管理人さんでマンションの事を一番知っている方らしく、ドアを開けたらしいのです。
結果としてその方は病院に行くことで助かったらしいです。
皆さんはどう思いますか?
管理人さんは管理会社から派遣されています。
決して個人情報を漏らさないように教育もされています。
住民の方が鍵を忘れたとしても、それがどれだけ顔見知りだとしても「お部屋番号とお名前」の確認をした上で開けるように教育されています。
個人情報保護法を良く知ること
個人情報保護法は事業主は個人が特定できる情報を第三者に漏らしてはいけないと定めています。
マンション管理組合は非法人であれば事業主に相当しません。
管理会社は事業主のため、個人情報保護法の制約を受ける対象です。
皆さんもこの点は知っていますよね。
しかし、例外的に第三者に伝えることが許されるケースがあるのをご存じですか?
「生命財産に多大な影響がある、あるいは影響があると推測される場合」
これって意外と知らない人がいます。
今回のケースがこれに該当するかどうかは弁護士ではないのでわかりませんが、少なくとも自治体が委託している高齢者サービス機関の人であることが明らかな場合は、管理会社、あるいは現場の判断で自動ドアの開閉や情報の公開も認めるべきだと思っています。
当然、理事長への許可が取れるなら理事長へ連絡して承諾をえるべきでしょう。
皆さんはどう思いますか?
これについては国土交通省に質問メールを出しました。
何らかの回答があると思います。
その結果はブログにアップします。
ドアを開けた管理人さんは咎められることはなかったようです。
当然と言えば当然ですよね、ひとの命がかかっているわけですから。
見守りを希望すれば情報は共有される
今回の講演を聞いて、区に高齢者が見守りや高齢者支援サービスの利用を申込むと、関係機関にその情報は共有されるらしいです。
もちろん、本人が希望していることなので個人情報保護法には違反はしていません。
マンション住民名簿と高齢者の問題は近々、名簿の話としてアップする予定ですが、これだけマンションに高齢者が多くなっていて、その上、一人暮らしであれば本人の希望が前提だとしてもマンション管理組合も何らからの対策を事前に用意すべきだと思っています。
国土交通省のマンションに住む高齢者への考え方は次の資料で確認することが出来ます。
・高齢者サポート環境の整備および将来の解体を想定した特別会計積立金の徴収による「二つの老い」への対応
・A1 「管理組合運営サポート細則案」
・A2 「高齢者等見守り細則案」
・A3 「高齢者等見守り対象者届出書案」
・A4 「議決権行使について」
ただし、これは区分所有者、あるいはその家族が理事会に申請することを前提にした制度です。
また、皆さんからのご質問や相談をお受けしています。
お気軽にお問合せください。
最後までお読み頂きありがとうざいます。
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