分譲マンションの省エネ補助金の対象箇所と活用

前回は東京都が行っている省エネ補助金事業の流れについて説明しました。

今回のテーマは分譲マンションに適用できる省エネ補助金の対象箇所を知ることです。

マンションが対象となる補助金・助成金

東京都の省エネ事業は対象が事業者、家庭(戸建て)、集合住宅(分譲、賃貸)と分かれ、導入設備や改修箇所によって事業も細分化されています。

一覧を確認されたい方はクール・ネット東京のホームページを確認してください。

分譲マンションも対象になっています。

事業名省エネ申請期間
充電設備導入促進事業・太陽光モジュール
・パワーコンディショナー
・蓄電池 等
令和4年度申請期間 令和4年7月15日(金)から令和5年3月31日(金)まで
集合住宅における太陽光発電システム及び
蓄電池に関する導入促進拡大事業
・高断熱窓
・高断熱ドア
令和4年度申請期間 令和4年4月1日から令和7年9月30日まで
家庭のゼロエミッション行動推進事業・エアコン
・冷蔵庫
・給湯機
・LED
2019年10月1日~2023年3月31日(当日消印有効)
マンションが関係する省エネ助成・補助金事業

これ以外にも省エネ事業はたくさんあり、お役所らしくそれぞれの事業が入り乱れている状態です。

既存のマンションが出来る省エネ改修に限定してピックアップしました。

共用部分と専有部分のどちらも対象

太陽光発電、高断熱材による省エネ改修工事ですが分譲マンションは住民が共同で使用する共用部分と専有部分がありますが、今回の補助金の対象はどちらも適用することが可能です。

太陽光発電は立地条件によって省エネ対策が難しいケースがあります。

日差しが当たりにくい場所や周辺の環境に発電の効果も異なり、コストパフォーマンスが合わないマンションもあります。

また、高断熱の導入ではマンションの構造上、省エネ改修工事が出来る箇所がない場合があります。

例えば対象事業になっている窓や玄関ドアの交換ですが、開放型廊下のマンションは共用廊下に窓がありません。

開放型共用廊下タイプのマンション

これでは窓の交換自体ができません。

このようにマンション全体で行う省エネ対策には、マンションの構造、立地、周辺環境が大きく影響することを考えた上で検討する必要があります。

共用部分の天井灯や非常灯のLED化も事業のひとつです。

LED化は多くのマンションですでに実施されている省エネ対策ですが、まだ実施していないマンションは考えるチャンスになります。

 

一方、専有部分については窓や玄関ドアはそれぞれに設置されています。

これも今回の省エネ事業の対象です。

各区分所有者が個別に行える省エネ対策ができますが、マンションの多くは窓や玄関ドアを共用部分に指定しているため区分所有者が勝手に交換をすることを規制している現実があります。

まず、分譲マンション所有者の方は省エネ改修を考える前に、次のことを確認する必要があります。

規約の定めを確認する必要がある

皆さんが入居時に配布された管理規約には、共用部分が細かく記載されています。

標準管理規約の抜粋です。

第2章 専有部分等の範囲
(専有部分の範囲)
第7条 対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。
(共用部分の範囲)
第8条 対象物件のうち共用部分の範囲は、別表第2に掲げるとおりとする。

標準管理規約に準じて作成されている場合は、窓ガラス、窓枠、玄関扉のほとんどは共用部分になります。

しかし、標準管理規約は指針であり、各マンション管理規約は皆さんの合意で作られてるため、玄関ドア、ガラスが共用部分に含まれるかを確認してください。

また、共用部分に指定されていても「窓ガラス、サッシ、玄関ドアは区分所有者が理事会の承認を得られた時には変更ができる」等の条文があれば、省エネ改修工事を個人で行うことが可能になります。

この場合はリホームと同じ手順で進めることができます。

省エネ改修工事を請負う工務店を探し、「補助金事業を受ける省エネ改修をしたい」と伝えれば、申請も含めてすべて任せることができます。

ただし、あくまでも理事会に改修工事の申請を行う必要があるため、理事長に相談後に行うことをお勧めします。

特に玄関ドアの交換は、マンション全体の美観の問題もあるため、認められるのは難しいかもしれません。

共用部分に記載がある場合

個人による省エネ改修は、管理組合の考え方次第になります。

先ほども書きましたが玄関ドアはマンション全体の外観への影響が大きいため、個人が独自に変えることは非常に難しいと言われています。

一方、専有部分のサッシは外観上は問題がありません。

各家庭に裁量で行うこともできますが、管理規約の定めがハードルになります。

まずは理事会に室内のサッシの交換は可能かどうかを確認することから始めます。

当然、理事会は規約を建てに取り、出来ませんと回答すると思いますが、その場合は規約の変更を求める必要があります。

理事会に「省エネ改修の実施のための規約の変更」を請求、理事会が総会に上程するかどうかを判断します。

例え議案となっても可決されるかも不明です。

規約の変更には議決権の3/4以上の合意が必要です。

ひとりでは難しく、マンション内の相当数の賛成を得るために事前の根回しもが必要になります。

合意形成の難しさ

ガラス窓の交換は専有部内の工事になるため、各家庭の裁量で実施が出来るように思われますが、なかなか組合全体で合意形成を得ることが出来ません。

その理由のひとつが経済状況です。

自己負担(工事費)が必要になる工事のため賛成しない方もいるのは事実です。

また、共用部分は公平性が一番と考える方もいます。

共用部分は区分所有者の共同所有と利用権です。

個別にその内容の変更を認めることに拒絶感を持つ方がいます。

やるなら全戸、修繕費で行うべき。

これもひとつの意見です。

実際に規約の変更をしてでも省エネ改修を進めるためには事前に区分所有者へのアンケートを行い、省エネへの考え方を含めて意識調査を行った上で専門委員会等を立上げ、規約の変更を行う必要があります。

修繕工事に取込む

規約の変更をせず省エネ改修を進める方法のひとつとして、修繕工事として組合主導で全戸一気に実施する方法が考えられます。

この場合、玄関ドア、サッシ、ガラス等は共用部分ですから修繕工事で行うために必要な合意は総会の過半数以上の承認になります。

全戸で行う場合でも戸単位に補助金を得ることが出来るため、修繕積立金の支出を抑えることが可能です。

玄関扉やサッシの交換は35~45年程度でしょう。

これを前倒しして実行することを組合として進められれば補助金を利用した省エネ改修と修繕工事を一気に行うことが出来ます。

共用部分のLED化と合わせて行う方法も考えらます。

理事会が方向性を決めるために

マンションの省エネ改修を進めるの方法は大きく2つになります。

1、理事会が修繕工事として全戸を修繕積立金で行う。

2、理事会が規約の改定を進め、改定後各戸が省エネ改修ができるルール作りを行う。

いずれに方法を選択するにしても、居住者に省エネを理解してもらう必要があります。

理事会は、性急に結論を急がず、まずは省エネ改修とは何か、どの程度各戸の電気代を減らすことができるのか、これだけのコストパフォーマンスを得られるかを専門家から聞くことが重要になります。

そこで利用を検討して欲しい方法が、東京都マンション管理士会が行っている啓発隊、アドバイザー派遣です。

特に啓発隊は無償で派遣ができます。

東京都の省エネ改修の補助制度を詳しく説明します。

詳しくはマンションHTT推進のご案内でご確認ください。

また、その後の調査を依頼することもできます。(有償ですが補助金がでます)

その上で、理事会としてのマンションの省エネ改修に方向性を決めて遅くはありません。

 

FJマンション管理士事務所も啓蒙隊のメンバーです。

申し込みは受付けていませんが、東京都の省エネ改修についてご質問があればお答えします。

今後この施策は数年継続される予定で今回紹介した各申請の締切年月日は今期の予定です。

今からでも遅くはありません。

管理組合として省エネ改修を検討してみては如何でしょうか。


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