マンション長寿命化促進税制の対象になるマンションを解説します。(管理計画認定取得)

日管連の管理計画認定制度の電話相談の仕事を始めて2日ですが、もっとも多い相談は今月から始まったマンション長寿命化促進税制です。

この制度を利用を利用すると国土交通省が指定する工事を2年以内に完了させた管理組合の区分所有者の翌年の建物の固定資産税が減額になります。

それもあって、区分所有者の皆さんは興味があるらしく、組合の理事長や役員、管理会社のフロントから問合せが寄せられています。

国土交通省のリーフレットだけでは判り難く、細かいことを確認する方が多いですね。

そこで今回は、マンション長寿命化促進税制の対象になるマンションについて説明をします。

ご興味のある方は下記の国土交通省が配布しているリーフレットをお手元に準備して頂くとわかりやすいと思います。

リーフレッド1リーフレッド2

国土交通省が発行しているリーフレッド

マンション長寿命化促進税制の適用を受ける方法

2つの方法があります。

1、管理計画認定制度の認定を取得すること

2、自治体から助言・指導及び勧告を受け、一定の改善を行うこと

どちらの方法も2022年4月に適正化法の改正に伴い制度化されています。

今回のマンション長寿命化促進税制はこの制度が適用されたマンション管理組合の区分所有者が利用できる制度です。

2つの制度は全く異なる制度です。

まずは管理計画認定制度を取得したマンションのケースについて説明します。

長寿命化促進税制を受けられるマンションとは

今回の促進税制は「不適切なマンション管理を行う組合に対してのご褒美」の意味合いが強い制度です。

大前提として、令和3年8月時点で一定額の修繕積立金に達していない管理組合が対象になります。

言い換えると適切な管理を行っている管理組合は対象外と言うことです。

では、適切か、不適切かの判断は何なのでしょうか。

国土交通省は、令和3年9月に改正適正化法を公布しました。

この中で大規模な修繕工事を実施してきた実績と将来大規模な修繕工事を行うための積立金を確保しているかことを適正化の基準に定めています。

具体的には修繕積立金の月㎡当たりの平均金額の目安が、令和3年8月時点で改正後の基準値を満たしていないことが条件です。

図に示したA管理組合は、改正長期修繕計画ガイドラインの改正以前から基準値が上記値をクリアーしています。

このような組合は減税制度の対象にはなりません。

これに対してB管理組合は、改正前のガイドラインの基準値はクリアーしていましたが、改正後の基準値を満たしていません。

ガイドラインの改正後、修繕計画を見直し、積立金の計画を改定しガイドライン基準額をクリアーした場合です。

この場合は減税制度の対象になります。

また、改定前のガイドラインの基準値をクリアーすることは要件になっていません。

長期修繕計画が5年以上更新されていない、長期修繕計画そのものがないと言った管理組合も今回の税制制度の対象になります。

令和3年8月時点で

修繕積立金平均額が新ガイドラインの基準値以下であること

以前から適正な管理を心掛けている組合の皆さんには残念ですが、対象になりません。

しかし、長寿命化促進税制の恩恵は受けられませんが、管理計画認定制度の取得をこれで止めるのは非常に勿体ないことです。

この制度は、今後のマンション行政の主体になり、今後様々な場面で、国土交通省はインセンティブを与えることになると予想しています。

また、社会的にも新築マンションの高騰により、中古マンション市場の価格も上昇傾向です。

マンションの不動産価値の見直しが進み、管理組合の運営状況が売買価格に反映する時代です。

築年数がビンテージとして評価され、運営の善し悪しが皆さんの資産の価値を決めます。

このような中で、管理計画認定制度の取得は大きなメリットになります。

是非とも、減税制度の適用の有無に関わらず、認定取得を考えてください。

管理計画認定制度の取得

上記条件をクリアーした管理組合は、管理計画認定制度を取得することで条件のひとつをクリアーすることができます。

管理計画認定制度の取得については、管理計画認定制度の事務ガイドラインに細かな要件が詳しく説明されています。(要件についてはP21~P24)

皆さんが気になる点は、「認定が受けられるのか?」「認定を受ける方法は?」でしょう。

素人の皆さんが事務ガイドラインを読んで、自身の管理組合が合格レベルにあるかどうかを確認するには労力も必要になります。

そこで、「認定が受けられるのか?」を確認する方法についてですが、大きく分けて3つの方法が考えられます。

1、組合で確認する方法

2、管理会社に依頼する方法

3、マンション管理士、コンサル等に依頼する方法

これについては、こちらで詳細を説明しています。

是非お読みください。

また、「認定を受ける方法は?」については、パターン1~パターン5まであります。

申請方法がいろいろあり、制度も複雑です。

迷われて当然ですが、これについてもこちらで詳細を説明したいます。

是非お読みください。

1、10戸以上、築20年が経過しているマンション

マンション長寿命化促進税制の対象は、10戸以上、築20年が経過しているマンションです。

令和7年3月31日までに修繕工事が終了することが要件になります。

現在、築19年、18年(竣工時期による)であれば対象になる可能性があります。

2、過去に3つの修繕工事を行っていること

大規模修繕工事には色々な箇所の工事がありますが、すでに3つの工事を過去に1回以上行っていることが条件になります。

築年数が20年以上のマンションが対象です。

多くのマンションは、1回目の大規模修繕工事を行っていると思われます。

1、外壁の塗装

2、共用部分の廊下等の防水工事

3、屋上防水工事

同時期に行う必要はなく、工事を実施した時期が異なっていても対象になりますが、申請にはマンション管理士、建築士から証明証書の発行を受ける必要があります。

過去に3つの長寿命化工事を行っていること

3、自治体が管理計画認定制度の条例を定めがあり、認定を取得してること

管理計画認定制度は、国土交通省が昨年4月1日から始めた制度です。

ただし、制度自体は国土交通省が法律を作りましたが、実施は自治体ごとに行うことになりました。

そのため、自治体によってスピード感が全く違います。

今年度から政令で指定した自治体は多数ありますが、まだまだその数は多くはありません。

まず、自治体に制度が制定されているかを確認する必要があります。

その上で、管理計画認定を取得してある必要があります。

自治体に制度が制定されていない地区では、促進税制の対象にはなりません。

長寿命化促進税制の申告までに管理計画認定を取得しておくこと

4、自治体が建物固定資産税の減額の条例を定めていること

今回の「長寿命化促進税制」は2022年末に決定された税制です。

実施は2023年4月1日。

固定資産税は地方税です。

そのため、減額を行う自治体がそれぞれの事情(懐具合)によって、減額の割合を決めることになります。

当然、議会を通し可決後に条例化されます。

ただし、長寿命化促進税制は2023年の国会で可決された税制改正法です。

法律で定めているため、条例の有無に関わらず、減税措置の申告は可能です。(国交省に確認済みです)

減税の割合は条例で決まりますが減税適用の申告は、長寿命化工事終了後3か月以内に行うことが出来ます。

5、長寿命化工事を行っていること

長寿命化促進税制を受けるためには、管理計画認定の取得以外にも長寿命化工事を行うことが必要になります。

長寿命化工事とは次の3つの工事にです。

1、屋上防水工事

2、外壁等塗装防水工事(軒等を含む)

3、共用部分防水工事(廊下、階段、ベランダ等)

更に、1~3の工事を一括で行う必要があります。

ここで言う一括とは、工事請負契約書に3つの工事が記載されていることです。

ただし、各工事は部分的な修繕工事でも良いとしています。

例えば、屋上防水は全面防水工事ではなく、部分的(痛みが酷い箇所に限った修繕)に行うことでも認められます。

最終的には施工会社に所属する建築士(1級、2級)が1~3の工事を一括で行った証明書を減税申告時に提出します。

長寿命化工事(3種類の工事)を一括で行うこと


以上が管理計画認定制度の認定を受けたマンション管理組合が建物の固定資産税の減額税制の適用を受けることができる要件になります。

次回は、マンション長寿命化促進税制の対象になるマンションを解説します。(助言・指導)

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