不動産屋から規約や総会議事録の提出を依頼された

分譲マンションの売手の方からの相談です。
現在、専任契約でマンションの売却をお願いしていますが、先日、不動産屋から規約と総会、理事会の議事録と資料、管理会社との委託契約の重要事項説明書の資料の提出を求められました。
規約はありますが購入時の規約です。その後、何度か改定していますが改定された内容が書かれている総会議事録はありません。また理事会議事録は元々配布されていません。掲示板に貼られている内容を確認するだけでした。
重要事項説明書は破棄していたので手元にありません。
このような場合、どうすれば良いのでしょうか。
提出しない場合、不利になったり安くなったりするのでしょうか。
回答
大きな金額だけに心配になりますよね。
でも、大丈夫です。
売却について専任契約を締結しているのであれば、仲介業者が必要な資料を揃えることができます。
たぶん、資料を揃えるには「不動産取引に係る 重要事項調査報告書」を管理会社に申込む必要があり、費用が数万円程度必要になります。
その費用を削減するためにお手持ちの資料があればと考えたのではないでしょうか。
仲介業者に「不動産取引に係る 重要事項調査報告書」を申込んでください。費用は負担しますと伝えれば大丈夫です。
*ちなみにこれらの費用は売買時の費用になり、譲渡税の控除になるので安心してください。
以下、法的根拠を書きましたので読んでください。
区分所有法33条(規約の保管及び閲覧)
第33条
規約は、管理者が保管しなければならない。ただし、管理者がないときは、建物を使用している区分所有者又はその代理人で規約又は集会の決議で定めるものが保管しなければならない。
2 前項の規定により規約を保管する者は、利害関係人の請求があったときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧(規約が電磁的記録で作成されているときは、当該電磁的記録に記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したものの当該規約の保管場所における閲覧)を拒んではならない。
(解説)
法律で利害関係者に規約を閲覧させる義務があることが定められています。
これは規約に限らず、各議事録や個人情報にならない管理組合が保管する資料まで及びます。(ただし、一定の制限あり)
今回の資料であれば閲覧は可能です。(ただし、コピーを取ること等までは許可していません。理事長の判断になります。)
利害関係人とは
敷地、専有部分に対する担保権者、差押え債権者、賃借人、組合員からの媒介の依頼を受けた宅地建物取引業者等法律上の利害関係がある者をいい、単に事実上利益や不利益を受けたりする者、親族関係にあるだけの者等は対象とはなりません。
(解説)
利害関係者には宅建業者も含まれています。
相談者の方が資料を揃えることができなければ宅建業者が利害関係者(専任契約者)として請求することも可能なことがわかります。
正当な理由がある場合とは
(解説)
何ともわかるようでわからない言い回しですが、区分所有者が売却時に不動産の価値の根拠として使用するために使用する理由は正当な理由になります。
ただし、理事長も組合員になりますので、こちらの都合で〇〇月〇〇日○○時と言った時間指定はできません。
理事長の都合に合わせる必要があります。何度も閲覧を依頼することも断られる原因になります。
閲覧を申込む時は書面で、閲覧したい資料の一覧を記載した上で、理事長の指定する日時に訪問する旨を記載して理事長に提出してください。
*管理人がいる時は管理人に申込むと取り次いでくれます。

区分所有法の説明は以上ですが、平成28年の改定でコピーを取ることも可能になりました。
ただし、相談者の管理組合が改定に則した内容に規約が改定されているかどうかはわかりませんが、現在の標準管理規約では書面(コピー)による請求も可能になっています。(この件を話せば理事長もOKすると思います。)
管理会社があれば管理会社に請求すれば資料は手に入りますが、有償です。(管理会社によって金額は違いますが、数万円は必要です。)
各管理会社では不動産売買の取引に必要な情報を「不動産取引に係る 重要事項調査報告書」として有料で受付けています。
改正マンション標準管理規約64条
第64条(帳票類等の作成、保管)
1 理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を、書面又は電磁的記録により作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
2 理事長は、第32条第三号の長期修繕計画書、同条第五号の設計図書及び同条第六号の修繕等の履歴情報を、書面又は電磁的記録により保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求があったときは、これらを閲覧させなければならない。この場合において、閲覧につき、相当の日時、場所等を指定することができる。
3 理事長は、第49条第5項(第53条第4項において準用される場合を含む。)、本条第1項及び第2項並びに第72条第2項及び第4項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。
別添4
別添4は、住戸の売却予定者(組合員)から依頼を受けた宅地建物取引業者が当面必要とすると考えられる情報を提供するための様式の一 例
お金を支払えば管理組合から資料の提出を受けることが可能であることがわかります。
ただし、先ほども記載しましたがお金がかかります。
売主が持っていればその経費が必要ないため「持っていれば提出してください。」と言っているのでしょう。
数千万円の売買ですが、数万円の経費も少なくできればと思ってのことだ思います。
ちなみに管理組合に求めることが出来る資料の様式の一例が示されています。
ほとんどの情報は入手可能であることがわかります。
<管理情報提供様式に記載のある項目例>
1 マンション名称等
①物件名称 ②総戸数 ③物件所在地 ④対象住戸の住戸番号
2 管理体制関係
①管理組合名称 ②管理組合役員数(理事総数、監事総数) ③管理組合役員の選任方法(立候補、輪番制、その他の別) ④通常総会の開催月と決算月 ⑤理事会の年間の開催回数 ⑥管理規約原本の発効年月と変更年月 ⑦共用部分に付保している損害保険の種類 (火災保険(マンション総合保険)、地震保険など) ⑧使用細則等の規程の有無と名称
(駐車場使用細則、自転車置場使用細則、ペット飼育細則、リフォーム細則など)
3 共用部分関係
(1)基本事項
①建築年次(竣工年月)
②共用部分に関する規約等の定め
・共用部分の範囲(規定している規約条項、別表名)
・共用部分の持分(規定している規約条項、別表名)
③専用使用に関する規約等の定め(規定している規約条項、使用細則条項、別表名)
(2)駐車場
①駐車場区画数
・敷地内台数(内訳:平面自走式台数、機械式台数)
・敷地外台数(内訳:平面自走式台数、立体自走式台数、機械式台数)
②駐車場使用資格(賃借人の使用可否、規定している規約条項、使用細則条項)
③車種制限(規定している規約条項、使用細則条項、別表名)
④空き区画の有無
⑤空き区画の待機者数
⑥空き区画補充方法(抽選、先着順、その他の別)
⑦駐車場使用料
(3)自転車置場・バイク置き場・ミニバイク置場
①区画数(自転車置場、バイク置場、ミニバイク置場毎)
②空き区画の有無(自転車置場、バイク置場、ミニバイク置場毎)
③使用料の有無とその使用料(自転車置場、バイク置場、ミニバイク置場毎)
4 売却依頼主負担管理費等関係(①~⑬の項目毎に金額を記載(滞納がある場合は 滞納額も併せて記載))
①管理費 ②修繕積立金 ③修繕一時金 ④駐車場使用料 ⑤自転車置場使用料 ⑥バイク置場使用料 ⑦ミニバイク置場使用料 ⑧専用庭使用料 ⑨ルーフバルコニー使用料 ⑩トランクルーム使用料 ⑪組合費 ⑫戸別水道使用料・冷暖房料・給湯料 ⑬その他
⑭遅延損害金の有無とその額 ⑮管理費等支払方法(「翌月分(又は当月分)を当月○○日に支払い) ⑯管理費等支払手続き(口座振替(○○銀行○○支店)、自動送金(○○銀行○○ 支店)、振込、集金代行会社委託の別)
5 管理組合収支関係
(1)収支及び予算の状況
(①~⑩の項目について直近の収支報告(確定額)を記載 し、
①~③及び⑥~⑧については当年度の収支予算(予算額)も併せて記載)
①管理費会計収入総額 ②管理費会計支出総額 ③管理費会計繰越額 ④管理費会計資産総額 ⑤管理費会計負債総額 ⑥修繕積立金会計収入総額 ⑦修繕積立金会計支出総額 ⑧修繕積立金会計繰越額 ⑨修繕積立金会計資産総額 ⑩修繕積立金会計負債総額
(2)管理費等滞納及び借入の状況
①管理費滞納額 ②修繕積立金滞納額 ③借入金残高
(3)管理費等の変更予定等(①~⑬について変更予定有(平成 年 月から)、変更 予定無、検討中の別を記載) ①管理費 ②修繕積立金 ③修繕一時金 ④駐車場使用料 ⑤自転車置場使用料 ⑥バイク置場使用料 ⑦ミニバイク置場使用料 ⑧専用庭使用料 ⑨ルーフバルコニー使用料 ⑩トランクルーム使用料 ⑪組合費 ⑫戸別水道使用料・冷暖房料・給湯料 ⑬その他
(4)修繕積立金に関する規約等の定め(規定している規約条項、別表名)
(5)特定の区分所有者に対する管理費等の減免措置の有無(規定している規約条項、 別表名)
6 専有部分使用規制関係
①専有部分用途の「住宅専用」、「住宅以外も可」の別(規定している規約条項)
②専有部分使用規制関係
・ペットの飼育制限の有無(規定している使用細則条項)
・専有部分内工事の制限の有無(規定している使用細則条項)
・楽器等音に関する制限の有無(規定している使用細則条項)
7 大規模修繕計画関係
①長期修繕計画の有無(有、無、検討中の別)
②共用部分等の修繕実施状況(工事概要、実施時期(年月))
③大規模修繕工事実施予定の有無(有(平成 年 月予定、工事概要)、無、検討 中の別)
8 アスベスト使用調査の内容
①調査結果の記録の有無 ②調査実施日 ③調査機関名 ④調査内容 ⑤調査結果
9 耐震診断の内容
①耐震診断の有無 ②耐震診断の内容
10 管理形態
①マンション管理業者名 ②業登録番号 ③主たる事務所の所在地 ④委託(受託)形態(全部、一部の別)
11 管理事務所関係
①管理員勤務日 ②管理員勤務時間 ③管理事務所の電話番号 ④本物件担当事業所名
⑤本物件担当事業所電話番号 ⑥本物件担当者氏名
12 備考 共用部分における重大事故・事件があればその内容、ゴミ出しに関する情報など
また、皆さんからのご質問や相談をお受けしています。
お気軽にお問合せください。
最後までお読み頂きありがとうざいます。
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