既存マンションの修繕積立金の安心額は?(1)

分譲マンションの買手の方からの相談です。
中古マンションの購入を検討しています。
中古マンションの修繕積立金額の大切さは特集記事を読んでよく判りました。
ありがとうございます。
ただ、良いなと思ったマンションの修繕積立金が安心な額なのかを判断できすにいます。
何か目安になる金額があれば教えてください。
*実際の質問にはマンションの情報が記載されていましたが割愛します。
回答
修繕積立金の適正についての質問は数多く頂いています。
マンション管理に不慣れな方が適正を判断することは非常に難しいことです。
例えば1億以上の積立金があったとしても500戸の団地であれば、戸当たり20万円しかありません。
積立金の絶対額ではなく、個体差(マンションの躯体)が大きく比較することに意味はありません。
では、何を基準にして考えるべきかを理解すること必要になります。
そこで修繕とは何をすることなのかを出来るだけ分かり易く説明します。
多少、説明が遠回りになりますが、修繕を理解するこで積立金の考えも理解できます。
ゆっくりと読んでください。
解説
マンションの大規模修繕の原資となる修繕積立金ですが、修繕工事とはどのような工事のことなのでしょうか。
特に12年前後と言われる大規模修繕工事ですが、なぜ、すべてのマンションが同じ時期に修繕工事をすることになるのでしょうか。
これを理解する第一歩として、マンションの個体差を知ることが重要です。
個体差の意味を理解する
マンションの外壁を例に説明します。
マンションの外壁の主流はサイディング、あるいは吹付塗装です。



サイディングは外壁のパネルをはめ込んでいると考えると判ると思います。
どんな工事かというと

外壁用のパネルを躯体の外側に貼り付ける工法です。
意外に1枚のパネルが大きいことに驚きませんか。
写真のように全面に貼り付けますが、パネルとパネルの間には隙間が開きます。
ここから雨水等が入ることは避けなければいけません。
内部に影響します。
そこで目地(パネルとパネルの間)を防水シールします。
この作業をコーキングと言います。
コーキングには大きく分けて、変成シリコーン系、ポリウレタン系、シリコーン系といった3種類があります。

さらに、一般的にはサイディング材の保護のために防水塗装をします。(実施しないケースもあります。)

こうやって皆さんの外壁は建設されています。
と言う訳で、マンションの外壁の建設方法がわかったところで、大規模修繕工事とはこの外壁の何を修繕するのでしょうか。
次の写真を見てください。


コーキングが劣化して隙間が出来てしまっています。
また、サイディング材に割れが生じています、
竣工後、15年前後で外壁にはこのような劣化が確認されます。
このまま放置するとヒビや隙間から水が入り、中のコンクリートまで影響する可能性があり修繕する必要があります。
サィディング材自体の耐久性は15年以上(30年程度あると言われる)あり、サィディング材の全面交換をするマンションはありません。
劣化はコーキング材の劣化や外圧等によって発生するヒビや割れが修繕の対象になります。
でも、この劣化はすべてのマンションで同じ程度起きるのでしょうか。
答えはNoです。
劣化はコーキング材の材質や放置される環境によって違います。
特にコーキング材は紫外線に弱く、寒暖差によっても劣化速度は変わります。
例えば日差しが強く当たる西側と日が当たりにくい北側では劣化の状況は違います。
周辺にマンションがたくさんあり日当たりの悪いマンションでは劣化は遅いかもしれません。
寒冷地では劣化が激しいとも言われています。
海に近い立地では激しいとも言われています。
これ以外に竣工時の建材の品質、職人の腕も大きく関わってきます。
結果としてマンションの個体はひとつひとつ劣化の状況が異なることになります。
マンションの個体差の意味が少しわかりましたか。
サイディングを例に説明しましたが、吹付塗装とサイディングでもまったく異なります。
次回は吹付塗装を例に個体差を説明します。
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