既存マンションの排水設備のチェック方法を教えてください(3)

分譲マンションの買手の方からの相談です。

中古マンションの購入を検討しています。

特集記事を読んで排水設備の大切さはよくわかりましたが、いざ、購入したいマンションで自分で確認する自信がありません。

もっと具体的な確認方法を教えてください。

回答

今回で3回目になりますが、床の構造と排水設備の配管は理解して頂けましたか?

では、なぜ排水設備が既存マンションでは重要になるのかを漏水が発生した時をイメージしながら確認しましょう。

具体的にする確認する方法について構造の話(1)、給排水管の権利(2)、漏水事故(3)、直床、二重床の確認方法(4)、メンテナンスの話(5)、に分けてお答えしますが、今回はその(3)です。

直床・スラブ下配管で漏水事故が起きた時

今から25~30年以前に建てられたマンションで採用されることが多かった直床構造、給排水設備はスラブ下配管をもう一度確認しましょう。(イメージがより分かり易いように廊下も入れました。)

排水管の一部から漏水が発生したとすることこんな感じになります。

上階の住民の排水が下階で生活する人に影響することは明らかです。

漏水により発生した水は薄い天井材を簡単にすり抜けます。

綺麗な水であれば少しは救われますが、もし、糞尿を含む排水だったら・・想像してください。

「・・・・」

その上、上階に住み人は漏水の事実を下階の住民からの通報で知ることになります。

直床・スラブ中配管で起きる怖い現象

もうひとつのスラブ中配管ではどうでしょう。

配管の周囲はコンクリートです。

すぐに水漏れが起きることはありませんが、コンクリートに徐々に沁み込んだ水は、徐々に周囲に広がり周辺の湿度を高めます。

その結果、下階の天井に黒カビが発生したり、染みが出来たり現象が現れます。

上階でも床材の腐食が起こり始めることになります。(木は水に弱い)

漏水の事実が発生後直ぐに発見されない点も問題ですが、排水が長時間にわたり住居環境に存在することからも問題です。

二重床・スラブ上配管で漏水事故が起きた時

最近の給配管工法の主流の二重床構造で漏水事故が発生した場合について考えてみましょう。

二重床構造の給排水管の工法のことをスラブ上配管と言います。

染み出すような漏水や少量の水漏れであれば漏水箇所の下にはコンクリートスラブがあり、下階への影響を一定程度防ぐことが可能です。

ただし、ユニットバスの水の止め忘れや給水管の破裂等の多量に発生する漏水事故の場合は、厚いスラブであっても下階とは完全に隔離されているわけではありません。

多量の水が流れ出します。

長期的には床下に湿気が溜まり、結果として知らない間に住まいの床材が腐り始め、下階の天井にも黒カビや染みが確認されることになります。

比較

床構造と給排水管の配置と漏水事故の影響について説明しましたがイメージがつかめたでしょうか。

簡単に漏水時の影響を表にまとめました。

配管工法スラブ下配管スラブ中配管スラブ上配管
床構造直床直床二重床
漏水の影響(時間)*1短時間一定期間経過後一定期間経過後
被害箇所下階の天井上階の床下
下階の天井
上階の床下
下階の天井
現象水漏れ
黒カビ
染み
水漏れ
黒カビ
染み
水漏れ
黒カビ
染み
床構造、給排水管工法の漏水時の影響
*1 多量の漏水を除く

床構造、配管工法によって時間的な差はありますが、下階に与える被害に大きな違いはないことがわかります。

ところが、漏水発生後の修繕を行う時に大きな違いがあります。

次回は床構造、配管工法の漏水事故や老朽化に伴う修繕工事について説明します。


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