既存マンションの排水設備のチェック方法を教えてください(4)

分譲マンションの買手の方からの相談です。
中古マンションの購入を検討しています。
特集記事を読んで排水設備の大切さはよくわかりましたが、いざ、購入したいマンションで自分で確認する自信がありません。
もっと具体的な確認方法を教えてください。
回答
今回で4回目になりますが、床の構造と配管、漏水事故のイメージがわかりましたか?
今回は漏水事故が発生した時の修繕工事について確認しましょう。
具体的にする確認する方法について構造の話(1)、給排水管の権利(2)、漏水事故(3)、追加、修繕工事(4)直床、二重床の確認方法(5)、メンテナンスの話(6)、に分けてお答えしますが、今回はその(4)です。
急遽、修繕行為を追加しました。
直床・スラブ下配管の漏水事故の修繕工事
直床・スラブ下配管で漏水が発生した時のイメージはこれでした。

では、水漏れが発生している箇所を修繕する場合の時はどうなるでしょう。
自宅から配管を修理するためにはコンクリートスラブを破壊する必要があることがわかります。
そのため、この場合の修繕は漏水被害が発生している下階から修繕工事を行うことになります。

下階の人にとっては迷惑な話です。
責任の所在は横菅ですから上階の区分所有者になります。
当然、漏水で受けた被害は損害賠償の対象になります。
万が一全配管の交換が必要な場合、下階は天井をすべて剥がす工事の現場になります。
その工事期間は居住が出来ないためその費用も当然負担することになります。
スラブ下配管のマンションにはこのリスクがあります。
直床・スラブ中配管の漏水事故の修繕工事
スラブ中配管はもっと悲惨です。
直床・スラブ中配管で漏水が発生した時のイメージはこれでした。

配管は硬いコンクリートの中です。
この配管部分を修理する必要があります。
その上、漏水箇所は目視で確認できないため、ある程度の広範囲の破壊が必要になることも理解できると思います。

コンクリートの破壊は大変な作業です。
*コンクリートの一部を破壊することを「はつり」と言います。
工事中は専有部分も広範囲が一定期間使用できません。
多くの場合、この期間の仮住まいの準備が必要になります。
はつりには大きな音、多量の粉塵の発生があり周辺住民への影響も大きく、特に下階への影響は甚大と言えます。
運よく漏水箇所が見つかっても配管の交換が必要であれば、スラブの破壊範囲は広範囲になります。
また、下階の天井の確認作業と黒カビや染みがある場合は交換作業が伴います。
スラブ中配管のマンションにはこのリスクがあります。
二重床・スラブ上配管の漏水事故の修繕工事
これに対してスラブ上配管の修繕工事はどうでしょうか。
二重床・スラブ上配管で漏水が発生した時のイメージはこれでした。

配管系統は自分の専有部分の床材の下にあります。
さらにその下には厚いコンクリートスラブがあります。
修繕工事は自室の床材を剥がして行うことが出来ます。
修繕工事で下階の住民に迷惑をかけることなく行うことも可能です。(多少の音の発生はあると思いますがリノベーションと同じです。)

全面交換の場合も自身の家族の宿泊先を確保するだけで他人には迷惑をかけずに済みます。
最悪、下階の天井材に影響が出ている場合は、天井材の交換は必要になりますが、他の配管タイプと比較すれば当事者の費用負担は軽減されることがわかります。
比較
床構造と給排水管の配置と漏水事故の際の修繕工事について説明しましたがイメージがつかめたでしょうか。
簡単に修繕工事を表にまとめました。
配管工法 | スラブ下配管 | スラブ中配管 | スラブ上配管 |
床構造 | 直床 | 直床 | 二重床 |
修繕工事の場所 | 下階専有部分 | 自身専有部分 | 自身専有部分 |
修繕工事の影響 | 下階の工事中の仮宿泊 | 周辺住民へのはつりの音、粉塵 下階の工事中の仮宿泊の可能性あり | 自身専有部分 |
工事費 | 多額 | 多額 | 他より少額 |
床構造、配管工法によって時間的な差はありますが、下階に与える被害に大きな違いはないことがわかります。
ところが、漏水発生後の修繕を行う時に大きな違いがあります。
次回は床構造、配管工法の漏水事故や老朽化に伴う修繕工事について説明します。
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