理事会で案件を先延ばしをすると訴えられることがあります。注意してください。

駐輪場問題、駐車場問題、耐震化、修繕工事など理事会はマンション内の様々なことを決め、共用部分の保存・維持を行う必要があります。

しかし、理事長さんのやる気?にもよりますが、案件の先延ばしはいろいろな管理組合で確認できます。

「来期の理事長さんにお願いしましょう」

そんなことで毎年、解決の目途も立たずに先伸ばされている案件はありませんか。

このような事態は、決して良い事態ではありませんが、先延ばしをしている間に大きなトラブルが発生すると理事会が責任を追及される可能性があります。

十分注意する必要があります。

幾つかの例で説明します。

壊れた個所の修理の先延ばし

屋根付き駐輪場などの敷地内の共用部分に破損があり、理事会も把握していた場合、速やかに修繕を行う必要があります。

修繕の必要を認知していながら、正当な理由もなく、修繕工事を行わない状態で台風等の災害により、その部分を原因とした区分所有者、占有者、第三者に被害を与えてしまうと被害者から責任の追及を受け、損賠賠償の請求をされることになるケースがあります。

このような事態にならないためには、理事会は修繕工事を出来るだけ早期に適切に行う必要があります。

予算の問題等で早急な対応が出来ない時は、危険を知らせる周知・告知掲示文の掲載、あるいはコーンなどで危険個所への立入禁止等の対処を行う必要があります。

理事会がこの問題に対して実施した内容については、理事会議事録に記載します。

期を跨ぐ時は総会で現状報告を行い、総会議事録に記載します。

具体的には次のよう項目は実施すべきです。

1、危険を知らせる周知・告知掲示文の掲載

2、危険個所への立入禁止等

3、修繕工事に向けた進捗状況

老朽化の修繕工事の先延ばし

破損等以外でも老朽化を放置した場合も責任を問われるケースがあります。

劣化による外壁の剥離は、国土交通省も危険を指摘しています。

そのため、法定検査に10年毎の検査と報告を義務にしています。

法定点検で不適格と指摘を受けながらその状態を放置している管理組合はあります。

その状態で、劣化が原因により区分所有者、占有者、第三者に被害を与えてしまうと被害者から責任の追及を受け、損賠賠償の請求をされるケースがあります。

このような事態にならないためには、理事会は修繕工事を出来るだけ早期に適切に行う必要があります。

ただし、外壁の修繕工事は大掛かりな工事になるため予算化、業者の選定等に一定の時間が必要になります。

そのため、工事が完了するまでは危険を知らせること、通行の禁止などを実施する必要があります。

また、理事会で検討した内容と進捗状況は理事会議事録に記載します。

期を跨ぐ時は総会で現状報告を行い、総会議事録に記載します。

具体的には次のよう項目は実施すべきです。

1、外壁の剥離、落下の危険性の告知

2、危険個所の確認

3、危険個所の通行の禁止

4、修繕工事に向けた進捗状況

天井灯の電球切れの放置

夜間のマンションで天井灯が切れたまま長期に放置されているケースがあります。

特に共用階段の天井灯は上り下りの際の足元を照らす重要な明かりで、建築基準法でも定められています。

天井灯が切れている事実を知っていながら交換をしない中で住民が階段を踏み外した結果、怪我を負ったとします。

管理会社に管理を委託している場合でもあっても自己管理のマンションであっても住民は理事会(管理組合)に対して善管注意義務違反による損害賠償請求を起こすことができます。(管理会社に対しても同様の訴えを起こすことができる)

電球の交換が済むまでは利用の制限(コーン等による通行禁止)や「蛍光灯が切れています。足元注意」と言った注意喚起を行うべきです。

実際、LED電球が切れ、取寄せを行っている間に事故が発生して管理組合の責任を問われた例があります。

この時は注意喚起がされていなかったため、管理組合が責任を負うことになりました。(自主管理)

具体的には次のよう項目は実施すべきです。

1、注意喚起の掲示

2、危険個所の通行の禁止

管理会社に委託している場合は、日報等に記載します。

自主管理の場合は、理事会議事録に記載すべきです。

駐輪場のルール策定の先延ばし

駐輪場の不足は多くのマンションで問題になっています。

溢れた自転車を各専有部分玄関近くの共用廊下に放置しているマンションは少なくありません。

このような事態の改善を放置していると組合員から「業務怠慢」として善管注意義務違反を指摘されることがあります。

また、災害時に放置されて物により区分所有者、占有者、第三者に被害を与えてしまうと被害者から責任の追及を受け、損賠賠償の請求されるケースがあります。

加害者は放置した組合員ですが、同時にその状況を知っていて適切な対処を行わなかった理事会に対しても損害賠償請求が行われることもあります。

十分な注意が必要です。

このような事態にならないためには、理事会はルールの策定を出来るだけ早期に適切に行う必要があります。

具体的には次のよう項目は実施すべきです。

1、館内に共用部分への私物の放置を禁止する旨の掲示

2、個別区分所有者へ撤去の指示

3、解決策の検討

特に解決策の検討は、短期間で行うことは難しく、数期に渡り行われることが一般的です。

このような時は理事会がこの問題に対して検討した内容を理事会の議事録には必ず記載します。

期を跨ぐ時は総会で現状報告を行い、総会議事録に記載します。

耐震化工事の先延ばし

耐震診断を実施した上で耐震不足と診断された管理組合で耐震化工事の先延ばししているケースがあります。

主な理由として次のような項目が挙げられます。

◎ 先導者がいない

◎ 資金的問題

◎ 耐震への認識不足

耐震化工事は資金も多額で検査から補強までの期間は数年~10年程度かかるケースも珍しくありません。

その間も組合には理事会があり、理事長は任命されています。

当然、期を跨ぐ案件になりますが、積極的に解決をする理事長さんもいれば消極的な方もいます。

理事長にもそれぞれの事情がありますが、耐震化を進めていない事実を総会に報告せずにそのまま放置すると歴代理事長は組合員から責任を追及される可能性があります。

耐震化の目的は建物の倒壊を防ぎ、避難ができる建物にすることです。

マンションの倒壊は人命に直結することです。

最近起きたトルコの大地震でも耐震化不足の建物が死者数の増加につながったと言われています。

その危険があることを知りながら、対策を行わなかったことが責任を問われることがあると言われています。

このような事態にならないためにも組合全体で耐震化不足を承知していることと対策を行わない事実を組合全体として同意している事実は毎年確認すべきです。

具体的な回避方法です。

総会議案に「耐震化工事の進捗報告」を上程します。

◎ 耐震化工事推進委員会の設置の見送り

耐震化診断で耐震不足の指摘がありましたが、耐震化工事推進委員会の設置は行いませんでした。

来期以降の理事会に「耐震化工事推進委員会」の立上げの検討の継続検討をお願いします。

採決を取り承認を受ける。

総会議事録に結果を記載する。

検討しなかった理由などについて質問があると思いますが、「実力不足」「やり方がわからない」など正直に答えるべきでしょう。

誰かが本気でやるか、地震の被害を受入れるかは組合員が決めることです。

いずれにしても組合として「耐震化工事の進捗」の現状について合意している事実を明確しておくことが重要です。

意見や反対が多数の時は「耐震化工事」を進める動機になります。

賛成多数であれば組合員からの責任を理事会が請求される可能性は少なくなります。

まとめ

これまでにFJマンション管理士事務所で体験した内容を中心にお話ししました。

マンション管理では日々、いろいろな問題が発生します。

これに対応する理事会の皆さんのご苦労は十分理解できます。

一方で、理事の皆さんは組合員と委任契約の関係にあり、そこには善管注意義務があります。

安易な課題の先延ばしは「業務怠慢」と住民に見え、違反行為にあたると判断されてしまうことがあります。

これは理事の皆さん、組合員にとっても不幸なことです。

このような事態にならないためには、業務の進行状況を組合員に報告した上で合意しておくことが重要になります。

議題にも上げずに何もしないことは、理事達の善管注意義務違反になる得ることを理解して対応すべきです。


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