理事長さん、管理会社から更新の拒否通知が届いたときに知っておいてほしいこと

最近、管理会社からの次回契約の更新の拒否通知を受け取った相談が増えています。

中には昨年、委託費の値上げを受け入れたにも関わらず、更新の拒否をされたケースも報告されています。

万が一、「更新をしません」と管理会社から通知があった場合、理事会はどのように対応すればよいのでしょうか。

管理会社は数年前までは安い委託費を売りに契約件数で利益を生み出す競争が盛んに行われてきましたが、管理会社の乱立による価格競争にも限界が見え、各社とも採算を重視した経営にシフトを始めています。

特に安い委託費にも関わらずフロントへの要求が多く、手間暇がかかるマンション管理組合は委託費の値上げの対象にされ、値上げに応じない場合は容赦なく切り捨てられる事態が昨年あたりから報告されています。

昨年から物価高騰、光熱費の値上げ、貸事務所の賃料アップ、人件費の負担増など管理会社にとっても委託費の値上げは必然の要求になっています。

その中で採算を重視した経営に転換、儲けが薄い管理組合は契約をやめ、利益が大きな管理組合に集中したサービスの提供を行うことで確実に利益を確保したいと考えているようです。

焦らないこと、割り切ること

3か月前に更新をしない連絡を受け取ったらまずは、フロントに理由を聞くべきでしょうね。

ただし、本当のことを教えてくれるかどうかはわかりません。

フロントが自らの意思で更新を取りやめることはなく、会社の決定と割り切るべきでしょう。

フロントを責めても結果が覆ることはありません。

採算が合わない組合だと判断されたと・・きっぱり割り切りましょう。

未練をもっても腹が立つだけです。

管理会社はほかにいくらでもあります。

さっさと次の管理会社探しを検討すべきです。

ちょっとやりすぎたかも?

とは言え、更新の拒否に心当たりがある理事さんも多いのではありませんか?

一昔前なら「委託費の値上げ?おいおい管理会社は君の所だけじゃないんだよ」と恫喝とは言いませんが、かなり強気に値上げ交渉を拒否した経験はありませんか。

世の中の流れが変わったことは事実で、物価は数年前と比較して2割はアップしています。

さらに、今春の人件費の賃上げを加味すれば3割~4割の値上げ要求は、どこの管理会社も視野に入れています。

これを拒絶すれば、採算割れになり赤字を生み出す管理組合との契約は解消されることになります。

「値上げを受け入れれば契約は更新できますか?」

「更新をしてもらうための条件は何ですか?」

何とか契約を継続してほしい気持ちはわからなくもありませんが、ここは切り替えて新しい契約を探すこと、上手く引継ぎを行うことに労力を集中させましょう。

理事長によっては、契約を断られたことを屈辱的と感じる方もいるかもしれませんが、そう思うのではあればこの機会にマンション管理組合の見直しを含め、引継ぎをきっちりと行い、更新を断ったことの重大性を相手にわからせてあげましょう。

時間的余裕

更新をしない申し入れにより3月後に委託契約は終了します。

これは委託契約書に書かれているはずです。

この3か月については、国土交通省が公開している標準管理委託契約書のコメントに「契約終了に伴う管理事務の引継等を合理的に行うのに通常必要な期間を考慮して設定している。」と記載されている。

要は引継ぎに必要な期間は3か月もあれば足りるとしているわけです。

引継ぎについては2つの考え方があります。

1、旧管理会社の契約終了までに新しい管理会社を決めてその会社に引継ぎを委託する方法

2、管理組合が引継ぎを行い、新しい管理会社は引継ぎに関わらない方法。

どちらもメリット、デメリットはありますが、FJマンション管理士事務所では後者をお奨めしています。

急いで新しい管理会社を決め、引継ぎを行うと同じ業界である会社同士です。

互いの事情に気を使いすぎて、正しい引継ぎ業務ができない可能性があります。

事実、不適切な引継ぎを行う管理会社を体験したこともあります。

このような事態にならないために、引継ぎは管理組合がきっちりと行うべきだと考えています。

引継ぎ担当はプロを任命

とは言え、理事会の皆さんは日々の仕事もあり、また、マンション管理業務に精通しているわけでもありません。

引継ぎを行う相手は、管理会社のフロントです。

自社に不都合な情報は出さずに穏便に契約を終了させたいと考えています。

そこで、マンション管理の専門家であるマンション管理士に引継ぎの担当を委託、合わせて新会社の選定にも参加してもらいます。

この方法のメリットは、管理会社のいい加減さを指摘でき、過去の管理を総括できることです。

はっきりいって引継ぎが簡単にできる管理会社は、優秀なフロントが長期にわたり管理しているケースに限定されます。

ほとんどの場合は、そう簡単に引継ぎができるとは思わないほうが良いでしょう。

これまでの経験ですが、契約の更新を断る場合、先方は簡単に引継ぎは終わると管理組合を舐めていることが多いようです。

「大丈夫、管理なんてわかってないから適当に書類を提出しておけば問題ない」と思っているフロントが多いと思いますよ。

確かに任せっきりの理事会ではそれでも何とかなるのかもしれません。

さらに、旧管理会社としては、新しい管理会社が決まる前(面倒な相手)に引継ぎを終わらせてしまいたいと思っているでしょう。

しかし、そうさせてはいけません。

そこで、マンション管理のプロであるマンション管理士が引継ぎを担当。

おそらく、委託契約の不履行事項は多数確認されることになります。

説明すると管理会社と管理組合の委託契約は単年ごとに終了しています。

期末後速やかに、帳簿、検査結果等の提出が義務になり、管理組合の管理室には過去のすべての記録が保管されていることになります。

総会議事録、勘定総元帳、収支計画書、収支報告書、法的点検記録、エレベーターメンテナンス記録、修繕記録、植栽、定期清掃記録がすべて年代分が揃っていることが必要になります。

マンション管理士は各書類を1つ1つ丁寧に確認します。

不足していれば指摘、資料の提出を要求します。

管理会社は勝手に廃棄したりする権利がなく廃棄には理事会の承諾が必要になり、承認は議事録の記載も必要になるでしょう。

万が一、紛失、破棄した場合は、組合の財産を破棄したわけですから賠償請求の対象にもなります。

鍵はもっとも重要です

共用部分の鍵は、セキュリティー上もっとも重要です。

委託契約を開始した時、管理会社へ鍵の預け入れが行われます。

管理会社がマンションの鍵を管理することになり、その後、毎月鍵の数を確認、記録に残します。

この間に鍵は増えることはあるでしょうが、勝手に破棄されることはなく(議事録等に記録が必要)、万が一数が合わない時は管理会社が全責任をとることになります。

特に出入口の鍵はセキュリティー上、重要で紛失があればマンション内の鍵を全部交換することが必要になります。

これまでのリプレースの経験でもっとも揉める件が共用部分の鍵の確認です。

引継ぎの期間は管理会社次第

管理会社が契約を切るということは、過去の管理実績を白日の下に曝すことです。

マンション管理の専門家が引継ぐとなれば、引継ぎが容易に行われることは少なく、フロントも管理会社も一定の労力を覚悟することになります。

引継ぎが想定の3か月で済むかどうかは管理会社次第と言えます。

引継ぎが終了しなければ、契約を一方的に終了することはできません。

少なくとも管理組合が納得できる引継ぎが終了するまでは短期で契約を継続することになります。

それを拒む場合、管理組合は不利益を受けたとして損害賠償を請求することもできると考えます。

新しい管理会社の選定は別な作業 

新しい管理会社はできるだけ早く決めるべきですが、焦って納得できない会社を選ぶ必要はありません。

管理会社の選定には、公募、見積提出、プレゼン、総会議決、重要事項説明書等作業が必要になります。

管理会社選定イメージ図

契約までには3か月以上は必要になります。

標準管理委託契約には引継ぎの目途を3か月としていますが、ちょっと違う気がしますね。

その上、管理会社から契約更新を断られている以上、管理組合側にも改善するべき点があることも想定されます。

総会の紛糾、合意形成に時間がかかることも想定しておくべきです。

場合によっては委託費の値上げに伴う管理費の値上げの必要性も理事会は検討すべきでしょう。

専門家を上手に利用

管理会社は大手から小さな会社までたくさんあり、それぞれに特色があります。

ネットでも評判は様々で、選ぶだけでも大変な作業になります。

さらに実際にプレゼントもなれば、どの会社も仕事を取るために、良いことを宣伝するプレゼンになることは間違いありません。

結果として委託料が安い会社を選ぶなんてことのないようにしたいものです。

多くの管理会社、フロントを見てきましたが、大手には大手の良さがあり、中小には中小の個性がありますが、会社の評判よりは担当するフロント、管理員のスキルや相性によって、評価は大きく変わるということだけでは事実のようです。

当事務所がリプレースや管理会社の選定をする時は、出来るだけ組合の事情を聞き、区分所有者の皆さんが管理会社に何を求めているのか見つけることに力を入れます。

管理会社には、それなりに人脈はあり、一般公募以外にも声掛けはしますが、決定はあくまでも組合員のみなさんにお願いします。

管理会社というよりは、どれだけマンション管理を理解しているフロントを担当に置いてくれるかを重要視していると言ってもよいでしょう。

いずれにしても上手に専門家を利用することをお奨めします。


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