管理計画認定の取得は誰のアドバイスを受けるのが良いか?

管理計画認定は、かなりハードルの高い16項目の要件に適合していることが必要になります。
16項目は多岐に渡り、マンション管理を勉強しているマンション管理士でも審査は難しいと言われます。
これを理事会メンバーで判断するには、それなりの知識を身に付ける必要があります。
そこで、理事会に必要な戦力が専門家です。
今回は管理計画認定の取得を検討する際に誰に相談すると良いのかについて説明します。
認定制度の申請までの大まかな流れ
認定取得までには大きく3つの流れがあります。
1、申請への合意形成
認定制度の取得は管理組合全体の利益向上になります。
また、申請には総会で認定制度への申請を承認する必要もあります。
費用発生もあるため、理事会だけで決めることは出来ず、総会承認が絶対的に必要です。
そのためにも認定制度への理解を深め、組合員の合意形成が必要です。

2、認定取得の準備・不備の改善
認定取得は16項目の要件すべてを満たす必要があります。
簡単な要件から難しい要件までありますが、一つでも不備があれば「改善要請」が求められます。
ただし、認定制度は落とすことを目的にした制度ではなく、申請を行うことで国交省が求める適正な管理を満たすことを目的にした制度です。
そのため、申請データに要件を満たさない項目があれば、不合格ではなく「改善・修正要請」が行われ、組合はその指示に従い改善・修正したデータを提出することで認定を取得することが出来ます。
ただし、規約の不備や長期修繕計画の不備は総会議決が必要になり、申請からあまりにも改善・修正がされるまでの期間が長いと一度申請を取り下げることになります。
その際の費用は返還されません。
申請時には要件を満たしたデータの提出が求められます。
理事会によっては管理を管理会社に委託、任せっきりにしている組合もあります。
元々、管理会社のフロントがしっかりとした管理を行っていれば、そのまま認定制度の取得は容易なはずですが、それが出来ていない組合が多く、適正化を確認したら杜撰な管理が表面化することもあります。
認定取得の準備・不備の改善を行う時に誰に相談するかは、スムーズな認定の取得には非常に重要なことになります。
3、認定取得の申請
管理計画認定の取得方法は幾つかあります。
詳しくはこちらをご覧ください。
管理の現状を正しく把握する
管理計画認定の取得を組合として考えた時、現在の管理状況が認定取得が出来る状況なのかを知る必要があります。
正しい専門家を選ぶことが重要
マンション管理の専門家と言えばマンション管理士、管理業務主任者(以下フロントと言う)を思い浮かべますが、マンション管理士や管理業務主任者の資格だけでは管理計画認定制度のアドバイスを行うには知識不足です。
管理計画認定の審査を行うには次のような資格が必要になります。

フロントは、国家資格である管理業務主任者を取得していますが、それだけでは認定制度の審査ができる資格はなく、必ずマンション管理士の資格が必要になります。
フロントにはマンション管理士の資格も持っている方もいますが、その際は、事前確認講習を受け、合格しているかを確認する必要があります。
また、国家資格であるマンション管理士の資格をもっているだけでも不十分で事前確認講習を受け、事前確認の審査が出来る講習を受け、効果確認(試験)に合格したマンション管理士だけが事前確認の審査を行うことが出来ます。
マンション管理組合の役員の皆さんには、事前確認講習に合格しているマンション管理士にアドバイスを求めることをお薦めします。
事前確認の審査を経験しているマンション管理士
現時点で事前確認の審査を受けたマンション管理組合は全国で100程度。
言い換えると事前確認の講習を受けても事前確認の審査を経験しているマンション管理士は僅かと言えます。
今後、審査を経験したマンション管理士は増えると思いますが、審査を経験した者は、取得に必要なポイントをしっかりと把握したアドバイスを行うことが出来ます。
マンション管理組合の役員の皆さんには、事前確認の審査を経験したマンション管理士にアドバイスを求めることをお薦めします。
管理会社に委託しているマンション
マンション管理会社に管理を委託している管理組合の皆さんはアドバイスを求める先には幾つかの選択肢があります。
先ほども述べましたが、マンション管理会社にも事前確認の審査ができ、管理業務主任者、マンション管理士の両方の資格を取得している方がいます。
また、マンション管理業協会が行っている「管理計画評価制度」を通して事前確認の審査を経験した方もいます。
是非、マンション管理会社に管理計画認定の取得のアドバイスを求める時は、フロントに「事前確認の審査を経験しているマンション管理士に相談したい」と伝えてください。
管理会社に協力を求める時は、事前確認の審査を経験したマンション管理士の存在を確認することをお薦めします。
フロントと言ってもスキルには幅があり、認定制度のアドバイスができない方もいます。
特に中小規模の管理会社では、マンション管理士が少なく、会社自体も管理計画認定制度や管理計画評価制度を積極的に管理組合へ紹介しない管理会社もあります。
マンション管理組合の皆さんは、管理計画認定制度に興味があれば、次のことをフロントに聞いてください。
1、マンション管理計画評価制度の経験はあるか?
2、管理計画認定制度で認定を取得した管理組合はあるか?
3、マンション管理センターの「事前確認」審査の講習に合格した人はいるか?
いずれにも「No」の場合、管理会社に頼って認定取得を目指すことは難しいと判断した方が良いと思います。
そんな時は、マンション管理計画認定制度相談ダイヤルに連絡することも一つの方法です。

相談ダイヤルでは各自治体ごとに審査が出来るマンション管理士に相談を引継ぐ業務を行っています。
自治体ごとに異なる認定基準や申請方法もわかりやすいく説明してくれます。
認定制度は落とす制度ではない
管理計画認定制度は試験のように落とすことを目的にした制度ではありません。
認定を取ることで適正な管理の実施を行うことが目的です。
そのため、申請後、審査段階で不適合の項目が見つけると改善依頼の連絡があります。
「この部分のここが要件に適合していません。早急に改善して再提出をお願いします。」
と言った具合に審査側から指摘、助言があり、最終的に認定を取得できるような制度です。
しかし、指摘後、改善に数カ月も必要な場合は一度審査を中止して再度お申込になるケースもあります。
*この場合、システム利用費や審査費は返還されませんので注意が必要です。
認定制度は落とすことを目的にした制度ではなく、認定の取得の過程で適正な管理に導く制度である
自主管理組合にお勧めの申請は申請パターン1
費用はかかりますが、認定を確実に取得する方法がパターン1です。
認定制度の審査が出来る資格を持つマンション管理士と顧問契約を結び、顧問契約をしたマンション管理士が事前確認を行い、結果を報告する方法です。
認定要件に不適合な項目があれば、顧問契約の中で適合するように改善を指導します。
不適合の要件によって必要な時間がかわりますが、臨時総会が必要になるケースでは、改善に数カ月が必要になり、顧問契約も長くなりますが確実に認定の取得はできます。
すでにすべての認定要件に適合している組合であれば、審査が出来る資格を持つマンション管理士に事前確認審査を依頼することで認定は得られます。
後はマンション管理センターの支援サービスを利用して結果を登録することになります。
認定を急いでいる組合にお勧めの申請は申請パターン1
長寿命化促進税制の申告期限やマンションすまい、る際の申込の期限前に事前確認を受ける必要がある場合は、信頼できるマンション管理士に事前申請を実施してもらうパターン1がお勧めです。
パターン1の特徴は、事前確認をマンション管理士が終了させ、結果をシステムに登録することでマンション管理センターに審査を申込む方法(パターン4)より大幅に認定までの期間を短縮することが出来ます。
もちろん、認定制度の要件を満たしていることは必須です。
全部委託管理組合にお勧めの申請は申請パターン2
マンション管理会社に委託管理を契約している管理組合にお勧めの認定方法はパターン2です。
マンション管理業協会が実施している「マンション管理適正診断制度」と同時に認定を取得するワンストップ申請がお勧めです。
是非、委託中の管理会社にフロントに申込を依頼してください。
ただし、パターン2ができる管理会社は大手に管理会社に限定されているようです。
フロントに「ワンストップ申請」が出来るかどうかを確認してください。
また、国土交通省が求めている認定要件はかなり高いハードルです。
これまでの管理では認定要件を満たさないケースも多々あります。
その際は、フロントと相談した上で認定までのスケジュールの提出を求め、認定要件を満たす管理状況に改善してください。
火災保険の更新が近い管理組合にお勧めの申請は申請パターン3
パターン3は日本マンション管理士会連合会が実施している「マンション管理適正化診断サービス」と同時に認定を取得するワンストップ申請です。
「マンション管理適正化診断サービス」は日新火災海上保険(株)のマンション共用部分用火災保険において割引適用制度を利用することができる点も大きな特長があります。
共用部分の火災保険の更新が近いマンション管理組合は、現在の管理状況を把握できるだけでなく評価次第(S評価を受けることが出来れば)では一気に認定を受けることも可能です。
また、S評価に至らない場合も認定要件を満たさない部分を確認できます。
これにより、計画的な認定の取得の道すじを立てることが可能になります。
管理に自信がある自主管理組合にお勧めの申請は申請パターン4
パターン4は自主的に適正な管理を行う管理組合が自ら審査を申込む方法です。
自主管理組合の役員の中にはマンション管理士と同等の知識を有している方もいます。
マンションの管理の適正化の推進に関する法律、第5条の3に基づくマンションの管理計画認定に関する事務ガイドライン
ガイドラインをご自身で確認され、資料の準備も可能であればパターン4がお勧めの方法です。
マンション管理センターに申請すると担当するマンション管理士がランダム(地域に所属する日管連のマンション管理士)に選任されます。
申請資料を確認した上で、不明な点は直接、申請者に連絡があります。
万が一、認定要件を満たさない場合は、補正資料等が要求され認定取得につなげてくれます。
元々、管理計画認定制度は不合格にする制度ではありません。
できるだけ多くの組合に認定の取得をしてもらうための制度です。
担当するマンション管理士のスキルにもよりますが、多くの組合は補正を経て認定を取得しています。
また、認定取得の費用も安価です。
システム利用料1万円、審査料1万円(長期修繕計画1当り)です。
注意点は、適当な情報で審査を依頼すると、規約や長期修繕計画の補正が必要になり、臨時総会の承認も必要になることがあります。(数カ月必要になります)
審査期間は一般的に1カ月程度です。
補正に時間がかかり過ぎると、一度申請を取り下げ、再度申請することになります。
この場合、費用が再度必要になります。注意してください。
申請内容で不明な点があれば、下記の相談をすることをお勧めします。

また、当事務所でもメールや電話による相談も行っています。
以上がマンション管理組合が管理計画認定制度の認定取得をする際に相談するべきアドバイザーについてです。

また、皆さんからのご質問や相談をお受けしています。
お気軽にお問合せください。
最後までお読み頂きありがとうざいます。
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