2023年5月20日世田谷マンション交流会に参加して

2023年度1回名の世田谷マンション交流会が5月20日、世田谷産業プラザ5階 三茶しゃれなあどホ-ル スワン・ビーナスで開催されました。
今回のテーマは
テーマ:① マンション50年は大丈夫! 対策のポイント
② 管理会社を変えたマンションの事例
所感
マンション交流会の理事の方が自分のマンションの実例を通して各テーマについてお話を頂きました。
非常に興味深いお話でした。
冒頭に参加者の皆さんにお住いのマンションの築年数を聞かれたのですが、築10年未満の方から築40年を超えるマンションにお住いの方もいることがわかり、マンション躯体の維持と管理が区分所有者にとって重要であると言う認識をお持ちの方が多いことに驚きました。
講演内容は残念ですが著作権等の問題もあり画像等は紹介はできませんが、実際に組合の理事長に就任後に改革を行った経験者だけに非常に面白い内容でした。
世田谷区交流会の素晴らしいところは、行政である世田谷区が主催していることです。
世田谷区は都内でももっともマンションが多い地域で開発の歴史も古く、築年数が30年を過ぎる物件が多い特徴があり、今後のマンション行政が注目される地域です。
区としても老朽化するマンションが増えることは世田谷と言うブランドにも影響するため、積極的に関与する姿勢を明確に示しています。
講演者である平河氏は、ご自身が理事長時代に大規模修繕工事を行い、その体験の中からマンションで快適な生活を長く送るためには、適切な修繕工事と住民の意識改革が必要とお話しされています。
また、修繕工事の方法についても管理会社に依存するのではなく、管理組合が自主性を持って進めることが重要ともお話しされていました。
当事務所が日頃から顧問先でお話している「無関心は高くつく」ことを肌で体験されているだけにひとつひとつのお話に重みがあり、納得できるセミナーでした。
その後、講師が変わり、管理会社のリプレースで劇的に管理状況が改善した例について紹介がありました。
リプレースの成功例ですが、ここまで変わるか!と思えるほどの例でした。
現在の管理会社の社名は不明ですが、話を聞いて理事会が本気になれば管理会社はいい加減な対応はできないと言うことです。
「任せておけば大丈夫!」と根拠のない安心感で管理会社と接しているといずれ馴れ合いになり、結局、損をするのは管理組合(居住する皆さん)であると言う良い実例でした。
どの組合でも出来ることではありませんが、熱意がある理事長が組合をリードすることの大切さは参加された皆さんに十分に伝わったのではないかと思える講演でした。
興味深い質問
講演の最後には参加者から質問の機会があります。
今回は寄せられた質問で興味深い質問をピックアップしました。
1、突然の管理委託費の更新拒絶
最近よく聞く話で、当事務所でも現在進行形で引き受けている仕事です。
質問者は20戸未満の小規模マンション、突然、契約中の管理会社から更新の打ち切りを告げられた。
契約期限は2023年11月。組合員だけで困っている。
20戸未満の小規模マンションは大手の管理会社は相手にしてくれない。
現在管理会社の選定を行っていると言う話でした。
この質問に対してリプレースを経験している方から経験談の紹介がありましたが、個々のマンションで事情が違います。
当事者にとっては、問題を解決する糸口にはならなかったと思います。
やはり、このような時はリプレース経験があるマンション管理士等の適切な指導の元、選定をすべきだと伝えたかったですが区が主催するセミナーです。
こちらからのアプローチはしませんでした。
コメント
利益があがらない、採算が取れない管理組合に対して、委託費の値上げ請求を行い、拒否すると更新をしないと通知するケースは、ここ1年急増しています。
値上げの理由は社員の人件費と物価の高騰にあります。
皆さんは国の賃上げ政策に喜んだはずですが、社会全体が値上をすれば、皆さんの給与も上がりますが、管理会社の社員の給与も上がります。
結果として管理委託費の値上に繋がっています。
これ以外に法定検査を始め、管理会社が再委託する会社も当然従業員の値上をします。
こちらも委託費に跳ね返ります。
そして物価高騰です。
電気ガスを始め管理会社の運営費も大きな影響を受けています。
一昔前は委託費の圧縮を目的にしたリプレースは盛んに行われてきましたが、管理会社同士の価格競争が起こり、管理会社の利益は数で稼ぐ構造が出来上がりました。
新しいマンションが増えている間は、何とかその構造でも経営は成り立っていたのでしょうが、新築数が横ばいになり、さらにウクライナ問題に端を発したエネルギーの高騰、過度な円安による物品の高騰などにより、薄利多売では立ち行かない現実が起きています。
管理委託費の値上は、社会の流れの中で必然的であり、安さばかりに気を取られた管理組合にもろ刃の剣の様に降りかかっています。
採算が取れない管理組合は管理会社にとってはお荷物以外の何物でもありません。
組合員が意識を変え、一定の費用負担は受入れることが求められる時代になっています。
2、大規模修繕工事のリベート
マンションを保有する以上、一定期間に行う必要がある大規模修繕工事ですが、質問にはかなり生々しい実例の紹介と理事長の利権に関する質問がありました。
大規模修繕時に設計事務所、施工会社(管理会社)、理事長が談合して契約を決め、修繕積立金からリベートを貪る事例が関西で8割、関東で6割と過去のNHKで報道され驚いた。
実際、自分のマンションでも調査して結果、該当していたことが判明。
このような事態にならないようにするにはどうすべきか?
理事長に権限を与え過ぎないこと、施工会社、設計会社の選択を公募で行うこと、管理会社に丸投げするようなことは避けることなどの意見がありましたが、最終的には組合員が関心を持って工事会社が決まる過程をチェックすることが重要だと説明がありました。
コメント
建設業界を知らない組合員で運営されるマンションから、多額な利益を得る大規模修繕工事は管理会社や施工会社にとって魅力のある仕事です。
管理会社の中には日頃の委託費を低額で提供する代わりに、修繕工事で利益を得ようとする管理会社もあると聞きます。
このような事態を避けるためには、日々各組合員が貯える修繕積立金に対する意識を変えることが必要だと思います。
自分たちのお金を無駄に使われることへの危機感です。
その上で理事会は公募、相見積もり、信頼できる専門家の存在を選択、組合員に周知することが重要になります。
理事会が知らないうちに施行会社を決めたと言った事態は避けるべきです。
大規模な修繕工事は、10数年積立てたお金を支出する重要な工事です。
マンションの資産価値を守り、快適な生活を送るために行う必要があります。
組合員の皆さんの多くはわかならいこと、面倒なことを丸投げしてしまう傾向があります。
専門家に支払う顧問料は最大で月10万円程度、修繕工事を安く抑える効果は数百万円にも及びます。
その点を踏まえて、効果的な費用の使い方を考えることも重要だと言えます。
以上が昨日行われた世田谷マンション交流会の報告になります。

また、皆さんからのご質問や相談をお受けしています。
お気軽にお問合せください。
最後までお読み頂きありがとうざいます。
記事の内容はいかがでしたか?
「せっかめブログ」はブログ村に登録しています。
FJマンション管理士事務所/渋谷オフィスでは分譲マンションの売買時の皆さんを多方面からサポートするサービスを提供しています。
これからマンション購入を検討する方、あるいは検討中の方。
現在、住宅ローンを返済中の方。
現在のマンションの売却をお考えの方。
不動産売買アドバイスの経験者がしっかりとサポートします。
また、不動産取得時に家計のやりくり、お困りごとにも対応しています。