長寿命化促進税制についての相談内容 ケース1

FJマンション管理士事務所で毎月開催しているマンションの管理に関する相談会の報告です。

今回の3組みはすべて2023年4月に国土交通省が公開した「長寿命化促進税制」についての相談でした。

相談の概略です。

1、長寿命化促進税制の対象になるのかを知りたい

品川区、1棟、43戸、築34年マンション管理組合からの相談

  1、5年前に修繕積立金の値上を行っている

  2、今年7月に外壁塗装、共用部分防水、屋上防水工事を3カ月の計画である

  3、管理計画認定制度の認定は受けていない(受ける予定)

  4、機械駐車場はない

アドバイス


長寿命化促進税制の適用を受ける条件のひとつに令和3年9月以前の修繕積立金の平均額が国土交通省の修繕計画ガイドラインで示された平均額を下回っていることがあります。

令和3年9月以前は、国土交通省の考えでは、修繕積立金が不足し、不適正な状況にあったマンションが今回の税制の対象となるマンションとしています。

令和3年9月は、マンション適正化法が改正され、修繕積立金のガイドラインが施行された年月日になります。

では、今回の相談者のマンションで考えましょう。

相談者のマンションの規模(建築延床面積)は2,000㎡以下になり、ガイドラインに示された額は235円/㎡です。

この額が基準になります。

5年前の5月に修繕積立金の値上を行っていると言うことですが、これは平成31年5月になります。

令和3年9月以前に修繕積立金計画の見直しを行い。総会で承認を受けています。

これを基に計算すると・・・・241円/㎡になります。

と言うことは、令和3年9月以前に適正な管理を行っていたマンション管理組合と判断され、長寿命化促進税制の対象外となります。

適用要件相談マンション判定
築20年以上34年
10戸数以上43戸
過去に外壁塗装、共用部分防水、屋上防水の実施平成24年実施
令和3年9月以前の修繕積立金金額(2,000㎡以下)235円以下241円
令和5年修繕工事(外壁塗装、共用部分防水、屋上防水の実施)令和5年8月予定
自治体の管理計画認定制度の条例制定令和5年4月
管理計画認定制度の取得予定あり
自治体の建物固定資産税の減額の条例制定不明

結果として受けることができないと判明しました。

また、品川区の建物固定資産税の減額の条例制定については、未定と事前調査で確認しています。

相談者の声

真面目に修繕積立金の値上を行ったことがあだになるとは思わなかった。

がんばっている組合を支援しないとは、、酷い政策だ。

甚だ、残念。

管理計画認定制度の取得をがんばろうと思っていたが、焦る必要もなくなり、やる気もなくなった。

コメント

残念な結果でしたが、相談者のマンションは現状の積立金計画であれば、将来の修繕に資金面の苦労をせずに維持管理ができるレベルにあると国土交通省が認めた組合だとわかったことは事実です。

所有者にとって建物の固定資産税が1年減額されることは、魅力的ではありますが、これに腐らず、是非、管理計画認定制度の認定取得を目指して欲しいとお話ししました。

また、管理計画認定制度の認定取得によるインセンティブ(特典)は、減税だけではありません。

インセンティブにメリットを感じることも重い腰を上げるひとつのきっかけにはなりますが、マンション管理を適正に行うことの意味は将来に渡り、ご自身の資産であるマンションを維持管理することだと言うことを忘れないでください。

最後に長寿命化促進税制は、国土交通省が不適正な管理を行っているマンションに対してご褒美をあげるから適正化しなさいと言う政策だと言うことを理解すると「促進税制」の意味が理解できるのではないでしょうか。


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