管理規約や大規模修繕工事を中心に中古マンションを購入する際に事前に確認すべきことをお話ししました。
最後はこれまで説明した以外に購入する前に確認すべきことを説明します。
1、駐車場を確認する
自動車を所有する必要がある方、あるいは将来的に所有したい希望がある方にとっては、マンションを選ぶ上で重要なポイントになります。
そのために幾つか知っておくべきことがあります。
1-1、一定の大きさのマンションは駐車場を所有する必要がある
車離れが進み、駐車場に空き区画が多くなる傾向にある東京ですが、東京都が指定した地域、商業地域、近隣商業地域において一定以上の広さ(延床面積で2000㎡)以上のマンションには附帯駐車場の設置義務があります。
延床面積が2000㎡と言われてもピンとこないと思いますが、10階建てマンションであれば1階あたり200㎡(単純に10m×20mの広さ)で、ワンルームが25㎡程度と考えると各階5~6部屋程度程度でしょうか。
また自治体よって独自の基準を設定してる場合もあります。
しかし、近年は公共交通機関の発達、若者の車離れ、高齢化社会などの影響で車の所有台数自体が減る傾向にあり、附帯義務も緩和されています。
最近建てられた小規模マンション(30戸前後以下)は駐車場を持たないケースも多くあります。
中古マンションは緩和以前に建てられているケースが多く、また今よりも比較的広い敷地に建っているマンションが多いこともあり、多くのマンションは駐車場を所有しています。
購入したいマンションに駐車場があるかないか、ある場合は駐車場の区画数、空き状態、月額費用は必ず確認してください。
1-2、区画数と戸数を確認する
分譲マンションによっては各専有部に一つ以上の駐車場を使用する権利を与えている組合もあります。
この場合、車を所有していない人はその権利を他の組合員に譲渡することになります。
駐車場は管理組合の所有物であり、利用希望者は組合から借りる契約を結び、月極の駐車場使用料を支払います。
戸数以上の駐車場区画がある場合は、駐車料金は管理組合が区分所有者の合意の上で独自に決めることが出来、近隣の駐車場料金よりもかなり安価に設定してるマンションもあり、住民にとっては非常にありがたい設備と言えます。
これに対して戸数に対して駐車場区画数が少ない場合は、抽選により利用者を決定します。(規約、使用細則で決まっている)
抽選に外れた人は近隣の駐車場を個人で借りることになります。
このような場合、マンションの駐車場料金と近隣に駐車場料金が大きく異なる設定は不公平感を生むため、同程度の価格にすることが求められます。(国土交通省、標準管理規約コメント)
駐車場を持たないマンションは、各組合員は個々に一般駐車場と契約を結ぶことになります。
駐車場がある管理組合の管理規約には共用設備として駐車場の区画数が記載されています。
また、契約方法や駐車場使用料も含め使用細則も記載されています。
購入したいマンションの管理規約、使用細則から駐車場の情報を集めることが大切になります。
空き状況等の使用状況は、売主に仲介業者を通して聞くこと必要です。

駐車場の運用ルールはマンションによって異なる
駐車場を毎年抽選するわけにはいかないため、一度決まるとその人が契約の継続を中止しない限り抽選をしない方法が一般的です。
この場合、抽選に外れた方との駐車料金の不公平感を無くすため、月額の駐車料金は近隣の駐車料金と同等に設定されています。
ただ、このルールは絶対に守らなければいけないわけではなく、それぞれの管理組合が決めることが出来、使用細則に定めています。
例えば館内の駐車料を安価にする代わりに抽選に外れた組合員に差額を管理組合が支払う、あるいは管理組合が近隣の駐車場を借りるなど様々です。
これ以外にも屋根付きと屋根なしの駐車料金に差をつけるとか、1Fは安く2Fは高いなどがあります。
1-3、駐車場の管理費は組合員全員で負担
駐車場は組合員全員の所有物です。
駐車場管理費は駐車場代が当てられ、残金は修繕積立金として積立されます。
平置きの駐車場であれば管理費はほとんど必要なく、実質、修繕積立金としての収入が見込る設備と言えます。

施設使用料を払わないと・・・
駐車場や駐輪場の使用料を払わないと、次回の抽選に参加する権利を失う規定を規約内に定めている組合もあります。(国土交通省の標準管理規約のコメントにはこのような対策も有効であると示されています。)
また、管理費等の滞納が続く場合にも共用施設の使用を制限されることがあるので注意しましょう。
1-4、機械式駐車場は管理費が高い

狭い敷地を有効活用する方法として利用される駐車場が機械式駐車場です。
しかし、機械駐車場は「金食い虫」と言われるほど維持管理費が高く、当然駐車場料金も高くなります。
会計も管理費、修繕積立金とは別に管理することが推奨されるほど、定期点検、部品交換が必要になる設備です。(エレベータと同程度の定期点検が必要です。)
また、機械駐車場の耐久年数も25~30年と比較的短く、交換費用も数千万円単位です。
先程も述べましたが、駐車場も組合員全員の所有物であり、原則、毎月の駐車場料金により維持管理が行われますが、交換時に費用が不足した場合、利用の有無に関わらず共用部分の持分相当の負担があることになります。
車を所有する予定がない、あるいは現在所有していない時は、機械式駐車場を所有するマンションを購入する時にはそれなりに将来の負担を理解しておくべきでしょう。
2、駐輪場を確認する

マンションに必須の設備である駐輪場ですが、意外にもマンションでは附帯義務(必ず設置する義務)はありません。
狭い土地にマンションを建てることが多い都会のマンションでは駐輪場の問題は多くの組合の悩みのひとつと言えるでしょう。
通勤、通学、子供の送り迎え、子供の遊戯具、買物など自転車の需要は高く、一家で複数台の自転車を保有することは当たり前になっています。
特に子供が小さい時は電動アシスト付き自転車が主流になり大型化をしています。
その上、子供の成長と共に自転車の購入、数年で買換えの必要もあり台数は増える一方です。
マンションの開発会社にも設計の段階で戸あたり1台以上の駐輪場を設備することが求められますが、敷地が狭く、附帯義務がないこともあり全戸分を用意することが難しい現状があります。
結果、分譲後に自転車所有者が増え、共用廊下への駐輪、あるいは敷地内外への不法な駐輪が増え、管理組合も対処に追われています。
2-1、駐輪台数を確認する
自転車一台当たりのスペースは、自転車1台あたり長さ1900mm、幅600mmがひとつの基準です。 普通自転車のサイズは道路交通法で定義されていて、長さ1900mm、幅600mmを超えないものと定められています。
最近では立体駐輪が可能になり、限られたスペースに置ける台数も増えましたが、自転車の大型化により出し入れの利便性を考えた運用が求まられています。
管理規約には共用設備として駐輪場の台数が記載されています。また、契約方法や駐輪場使用料も含め使用細則も記載されています。
購入したいマンションの管理規約、使用細則から駐輪場の情報を集めることが大切になります。
空き状況等の使用状況は、売主に仲介業者を通して聞くこと必要です。
特に今後、子供を産む計画や子供の成長により自転車購入が必要になる可能性が高い方は確認してください。
2-2、駐輪場の契約
駐輪場も駐車場と同じで希望者に割当てる方法が一般的です。戸数以上の駐輪場があればまず、一戸一区画を割当てた上で、使用、不使用に希望を取り、相手スペースを抽選します。
戸数を下回る区画数の場合は、最初から抽選になります。
利用者は管理組合と駐輪場使用契約を結び、使用細則に従い使用します。
管理組合は未契約の自転車を区別化するためにステッカーを張ることを義務とします。
利用料金は組合によってばらばらですが月500円以下がほとんどです。
また、契約台数が複数台になる場合、料金を上げるなどいろいろな工夫をされています。
とは言え、自動車と違い自転車は安易に購入が出来、空きスペースがあれば置ける手軽さがあります。
共用廊下や敷地内の空きスペースへの駐輪が横行する原因にとなっています。
当然、使用料は支払わず使うことになります。契約者にとっては不公平感もあり度々、住民トラブルに発展します。
今後はレンタサイクルの導入や不要になった自転車を廃棄する啓蒙を行うなどにより、狭い駐輪場スペースを上手く使うことをそれぞれの管理組合が考えていくことになります。

共用廊下に駐輪することはできません
共用廊下は火災や地震時の避難経路になっています。そのため、管理規約には共用廊下等への私物の放置や常設を禁止しています。
勝手に自己判断で駐輪していると後々、大きなペナルティーを受けることもあります。(万が一火災時の避難の妨げになったと証明されれば罪に問われることもあります。)
2-3、内見時に確認する
駐輪場の使用は住民のモラルに依存してしています。
内見時は駐輪場を確認してください。
床に書かれた区画に整列して駐輪されているか?
買い物かごにゴミが捨てられていないか?
エントランスやマンションの外周に自転車が放置されていないか?
ゴミ室と同様にマンションの住民のモラルを図る目安になります。
3、防災を確認する
近年は100年に一度の自然現象が当たり前になりました。
中古マンションの購入時にも仲介業者から重要事項説明がありますが、その中で災害危険地域に指定されている場合に伝える義務がありますが、その事実だけであり危険度等を伝えることはありません。
是非、購入マンションが立地する場所の防災について各自で契約前に確認しましょう。
3-1、公開されているハザードマップを確認する
ハザードマップは災害によって8種類ありますが、地域の特性によって自治体が必要なマップを公開しています。
確認するマップは次の項目になります。
資料の名称 | 入手先 | 確認すること |
色別標高図 | 国土地理院GISマップ | クリックすると大きな日本地図が表示されます。 購入する地域を拡大すれば色別標高図が見れます。 海抜、高低差がある土地の近く、扇状地などを色で確認することが出来ます。 |
洪水ハザードマップ | 各自治体のホームページ | 洪水は河川の氾濫と内水による洪水があります。 内水は、豪雨により下水道の排水能力を超える雨量になることで起こる洪水です。 海抜が低い、あるいは河川よりも低い位置に立地する場合は危険が高くなります。 |
高潮ハザードマップ | 各自治体のホームページ (海岸に接する都道県市町村) | 台風や発達した低気圧が通過する際に気圧により海面が上昇します。 これに満潮が重なると大きな被害を及ぼします。 海岸から近い河川にも大きな影響もあります。 |
地震に関する地域危険度測定調査 | 自治体の都市整備局 | 地震の影響を地域ごとに危険度として評価した調査です。 建物倒壊危険度と火災危険度を複合的に評価した調査になります。 町単位で危険度が表示されています。 |
液状化ハザードマップ | 各自治体のホームページ | 地震による液状化の予想図です。 液状化は建物の存続に係る問題です。 |
土砂災害ハザードマップ | 各自治体のホームページ | 豪雨や長雨により地盤が緩み発生する危険度を示しています。 特に扇状地、高台、山の斜面、台地を開発した地域、山間部などでは十分に注意する必要があります。 一見、平地の様でも開発前の地形の影響はあります。 |
地域により作成されているハザードマップは異なります。長野県のような海と接していない県では高潮ハザードマップは作成していませんが、大雨や長雨の影響による洪水ハザードマップ、土砂災害ハザードマップは作成されています。
また、市町村単位で作成しているケース、県で作成しているケースもあります。市町村などの最小単位の自治体からチェックをしてください。それで見つから無かれば県のホームページを確認することで探すことが出来ます。

平地でも必ず確認すべきです
災害の場所と被害頻度を予測し、その災害の範囲をマップ上で表した地図です。
「洪水」「内水」「高潮」「津波」「土砂災害」「火山」などの種類があります。
洪水マップや土地災害マップは皆さんも知っていると思います。特に近年の大雨を原因とする土砂災害は深刻で、一度発生すると一瞬に多くの命を奪う災害のため、高台、造成地(切土、盛土)、傾斜地に立地しているかなどに関わらず平地であったも購入前に一度確認してください。
3-2、東京区内の場合(墨田区を例に)
FJマンション管理事務所がある墨田区を例に説明します。
墨田区で気になる災害は、地震、洪水になります。
地震発生時には建物の倒壊と火災の危険性は気になります。
また、海抜0m地域が多い墨田区は墨田川、荒川に挟まれていることもあり、洪水ハザードマップは確認すべきです。
情報の入手先 | |
地震に関する地域危険度測定調査 | 東京都都市整備局 |
液状化ハザードマップ | 東京の液状化予測図 令和3年度改訂版 |
防災マップ | 墨田区ホームページ |
洪水ハザードマップ(川の氾濫) | 荒川氾濫時の浸水の深さ |
洪水ハザードマップ(内水) | 雨水内水時の浸水予想 |
高潮ハザードマップ | 高潮浸水想定区域図 墨田区高潮氾濫による浸水の深さ |
町単位の危険性が確認できます。
各区、東京都のホームページを確認すると情報は比較的簡単に入手することが出来ます。
購入する前にマンション所在地の危険性を確認することで次のポイントを考えます。
浸水の高さとマンション設備の関係
一般的にマンションの電気施設(変電室)は一階、あるいは地下に設置されていることが多く、水害で1階部分が浸水すると停電します。
停電が発生すれば給水設備、エレベーター、全館の証明は停止します。

また、墨田区では場所によって荒川が氾濫した場合の最悪のケースで5m程度の浸水が7日間程度を想定する必要があり、この場合、マンション階数では2階部分まで浸水することになります。
購入する部屋が2階以下の場合、この点は承知の上で購入する必要があります。
地震時の避難経路
地震で注意すべきは、火災、停電による被害です。
耐震構造のマンションの場合、建物の倒壊を心配する必要はそれ程ないと思っても良いでしょう。
停電は洪水と同じ影響になります。
墨田区は比較的、昔からの木造構造の家が密集している地域が多くあり、倒壊や火災は非常に大きな危険要素になります。
道も狭く、旧家が建つ地域は路地が多く消火活動も思ったようには進まないと考えられます。
購入するマンションの所在地の避難場所等の確認は、購入前の内見時に出来れば見ておくべきでしょう。
3-3、防災面から内見時に確認すること
防災面から内見時に確認することは2つです。
1、共用廊下、階段への私物放置の確認

共用廊下、廊下は災害時の重要な避難経路になります。
消火器や防火水栓周辺に私物等が置かれていないか、避難に妨げになるような状況はないかを確認しましょう。
2、ベランダの避難設備の確認
マンションには2か所以上の避難経路が必要になります。廊下以外にベランダに避難梯子等の設備が設置されているか?(構造により設置する必要が無い場合もあります。)
3、電気室の位置、給水設備のタイプ
水害時、地震等による停電発生時には生活用水の確保が必要になる可能性も確認してください。
万が一のことを想定してください。(災害は今起きても不思議ではありません。)
マンション管理組合が災害時支援物資を一定量所有している場合もあります。(これも確認すると良いのではないしょうか)
4、避難訓練の実施履歴
マンションには防火責任者がいます。(義務です、一般には役員が担当します。)
彼らの義務は、避難経路の確保、消火設備の維持、火の使い方の指導など様々ありますが機能していない組合が多いです。
避難訓練は町会単位で実施されますが、積極的に参加する組合もあれば、まったく参加しない組合もあります。
本来であれば組合員が日時を決めて避難訓練を行うべきなのでしょうが、これを実施している組合も少なく、災害時の避難等は各個人に任されている現状があります。
内見時に避難訓練のことも仲介業者や管理人さんに確認することも大切です。

仲介業者の義務は限定的です。
仲介業者に共用廊下、避難設備などの情報は、ハザードマップの様に購入者に知らせる義務はありません。
しかし、購入者から質問されれば答えることになります。(答えられるかどうかは担当者のスキルによります。)
一生に一度、買換えが簡単にできない不動産購入です。不安要素は購入前にひとつでも少なくしましょう。
4、方位、間取り、眺望を確認する
購入するマンションの部屋の間取りは選択ポイントでも上位項目ですが、意外に気にしていない方位、間取りの関係です。
内見時は窓を開け、風通しや外の風景はチェックしておきましょう。
特に北側に位置する部屋は湿気が籠り易く、冬場は寒い傾向にあります。
西側に窓がある場合、西日が差し込み壁紙や襖などは日焼けしやすい夏場は室温はかなり高くなります。
また、西日は日照時間が長いため、衣類などを掛けておくだけで焼けてしまいます。
このように方位と間取りは日常生活に緊密に関係しています。
また、風通しを確認することも重要です。
近年のマンションは密閉性が高く加湿器や除湿器に頼りがちですが、普段使わない北側の部屋は湿気が籠り易い等の問題が発生することがあります。
各部屋の風通し、日差しに当り方などは方位と照らして確認すべきです。
また、ベランダや部屋から近くのマンションやオフィスの内部が見えると言うことは相手側からも見えていることになります。
近隣に空地や古い住宅がある場合は、マンション等の建設の可能性も考えておくべきでしょう。
5、夜のマンションを確認する
内見は日中に行われることが一般的です。
出来れば、日中の内見以外に夜の物件の周辺を確認することをお勧めします。
エントランスの雰囲気、外灯の配置、周りの静寂さを知ることは今後の生活環境を知るためにも意外と重要なポイントになります。
マンションのセキュリティーは高いと言われます。
意外と知られていないことですが、各個人のプライバシーよりもセキュリティーが優先されます。
一例としてマンションの共用玄関のドアには必ず中を確認できる部分があります。
あれは不審者がいないことを確認するために設置されています。
これから長く住むことになる家です。
日中だけでなく、夜間の雰囲気を知っておくことも大切なことです。
最後に1~6章までお読みいただきありがとうございます。
マンション購入は一生に一度の大きな買い物です。
一度購入すると買い換えることも難しく、購入後、引っ越し後に問題に気づいても受入れて生活しかありません。
だからこそ、こんなこともと思うことでも確認をしておく必要があると考えています。
皆さんが楽しく、幸せなマンションライフを過ごすために、そして後悔しないマンション購入をして頂ける参考になれば幸いです。
*尚、購入アドバイザーはこれらのチェックポイント以外も確認します。
今回紹介した内容はあくまでも最低限確認する点であることに注意してください。
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