一生に一の買物かもしれないマイホーム購入です。

そう簡単に「家を買おう!」と決めれるものなのでしょう。

皆さんの中にもまだ迷っている、悩んでいると言う方も少なくないのではありませんか。

また、購入者の皆さんは何を決め手にどうやって物件にであったのでしょうか。

などなどいろいろ知りたいことはあります。

そこで3章では中古マンションを購入した方のマンション購入に至った経緯を統計から知ることにします。

今回の結果も出典先は国土交通省の令和元年度住宅市場動向報告書が主になります。

1、経済的影響

マイホームを購入したいと思ってもなかなか決断できないものですが、心を決めるには大きく2つのポイントがあります。

ひとつは、経済的に買えるかどうか、もうひとつが購入する必要性があるか。

この2つが満たされた時、購入を決めることが可能になります。

洋服や家具を衝動買いするようなわけにはいきません。しっかりした今後の収入の見通しが立ち、金利や税制制度、不動産価格を踏まえた上で購入を決める必要があります。

中古マンション購入者の景気要素の影響(年度別)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書再編集

非常に見にくいグラフですが、要因としたポイントは6ポイント、従前住宅の売却価格は買換えが前提になるため、この章ではコメントしません。(買換えについては別章でまとめます)

平成19年~25年(リーマンショック以降)は各要因の変動幅が大きいことがわかります。

注目したのは金利動向と景気の先行き感です。

金利動向について、この時期は量的緩和(2001年~)がすでに実施され、短期プライムレートと連動する住宅ローンの金利も変動金利で2.475%で2021年と同じです。固定金利(10年)の金利が徐々に下がり始めた平成25年以降、金利動向が購入者に与えた影響が大きくなる傾向を示していることがわかります。

購入者の皆さんが金利に関心をもって買い時を判断していることが読み取れます。

次に景気の先行きです。アベノミクス(平成24年~)開始前後で先行き感が大きく変わったことがわかります。

先行き感は景気の実態と一致しているわけではなく、あくまでも「今後景気はよくなるではないか」と考える人が増えることで購買意欲を高める効果があります。

実際、アベノミクス以降で家計収入の見通しが良くなっていくと感じる人には大きな変動はありません。

調査時期を考えるとリーマンショックでダメージを受けた経済により購入意欲が削がれていた状況が、アベノミクスを機に購入意欲を強く持てる環境に変化していたことがわかります。

令和2年のデータも報告されています。

中古マンション購入者の景気要素の影響(年度別)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書再編集(2021)
中古マンション購入者の景気要素の影響(年度別)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書再編集(2021)

同じデータを異なるグラフで表示しています。金利傾向は依然高い影響力を与えていますが、景気の先行き感には不安を持っている方もいることがわかり、特にコロナの影響は始まった令和2年に両要因とも影響力が減少する傾向を示しています。

金利は住宅購入にはプラス材料になっているが、景気観は良い影響を与えていない環境であることがわかります。

家計収入の見通しも悪くなる傾向にあることが気になります。

新築マンション購入者の傾向

実はこの傾向は新築マンション購入者とは少し違っています。

経済的要因の影響について新築マンション購入者に調査した結果を右グラフに示しましたが、金利動向は中古マンション購入者と同じ傾向を示していますが、住宅取得時の税制等の行政施策が購入も高い影響度であることがわかり、購入を後押していることがわかります。

平成30年は消費税が10%に増税された年で、この年に住宅ローン減税1%の控除期間が10年から13年に延長が決定されています。延長期間は令和2年末までに入居した人が対象でした。(この措置はコロナの影響もあり、現在も延長しています。)

景気の先行き感、家計収入の見通しが良くなるイメージが無い状態でも金利傾向と減税期間の延長が購入決定を決める際にプラスに働いたことがわかります。

2、マンション購入で解決したい課題

suumoHPより出典
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「新築で解決したかった元の住まいの課題」をマンション購入者に向けて調査した結果です。

言い換えれば買うことを決めた理由と言えます。

良く調査されていると思いますが、項目も多く重複回答になっているため個々の項目をひとつひとつピックアップしても傾向を探すことは難しいと思います。

それぞれの項目は4つに分類できると考えました。例えば1位の「住宅費がもったいない」は経済的考え、「収納が狭い」は住宅間取り・広さ・部屋数への不満などです。

各項目のパーセントを合計後に4項目にまとめ、集計した結果は次のようになります。

sumoHPデータを再編集

やはり間取り、広さ、部屋数が36%でもっとも多く、住宅性能が25%、立地条件24%、経済的考えは15%でした。

この2つのデータから住宅費(家賃、高いローン等)が購入理由では1位で4人に1名は回答しているが、全体としては住んでいる建物や場所を理由にしている人が多いことがわかります。

「家賃がもったいないし、家にも問題があるから新居を買おうと決断された方がほとんどなのでしょう。」

各不動産リサーチ会社や賃貸仲介業者が調査した結果ともほとんど同じ傾向なので、購入の理由と言えると言って良いでしょう。

その上で、社会的な経済影響を加味して最終的に判断していると言うことになります。

3、他の選択肢は検討しなかった?

マイホームの購入を決めても住宅には分譲一戸建て、注文住宅、分譲マンション、新築、中古など様々タイプがあります。

中古マンション購入者は他にどんな物件を比較したのでしょうか。

調査期間で割合に大きな差が無かったため令和元年データを記載します。(全データを確認したい人は国土交通省の令和元年度住宅市場動向報告書をチェックしてください。)

中古マンション購入者の比較検討物件(令和元年)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書出典

マンションを検討された方が多く、戸建てや注文住宅は少ないことがわかります。

最初から購入物件をマンションに絞っていた傾向が読み取れます。

また、新築分譲マンションと中古戸建住宅が同程度いることから購入検討当初から中古物件に絞って探していた傾向も読み取れます。

ちょっと驚いたのは賃貸同士の住み替えも検討されている方が一定数いることです。住み替えを検討中に購入を決めたのでしょうか。

新築マンション購入者の傾向

実はこの傾向は新築マン

4、なぜ中古マンションにしたの?

マンションに拘っている実態はわかりましたが、新築マンションではなく中古マンションを選んだ理由は気になります。特に先ほどの質問で検討当初から中古マンションと決めている方が多かったことが気になります。

紹介するデータは調査期間の各年度で大きな差が確認されなかったため、各年度の平均値で作成しました。(全データを確認したい人は国土交通省の令和元年度住宅市場動向報告書をチェックしてください。)

中古マンション購入者の中古物件を選んだ理由
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書再編集

一番の理由は「手頃な価格」でした。実に75%。3/4人が価格を重視したことがわかります。

40%程度は新築に拘らないと当初から決めての購入だったこともわかりました。

間取りや広さが気に入れば、内装や専有部内の設備(キッチンなど)は、リフォームによって好みの状態にできることが決め手になったこともわかりました。

リフォームについては次章以降で説明を加えますが、一方でリフォーム済みの物件が売買成約に効果があることもわかりますね。(*リフォーム前とリフォーム済み物件では価格に大きな違いあります。リフォームがされていない物件ではリフォーム費用も加味して購入価格を検討する必要があります。)

住みたい地域に新築物件が無ければ仕方がないですが、新築より立地条件を優先する人、入居までの期間を優先する人、アフターサービス等を決め手にした方も一定数いることは参考になります。

5、なぜ、そのマンションに決めたの?

中古物件は物件数が新築よりも多く、選択肢はいろいろあったと思いますが、購入したマンションにはどんな魅力があって、何が決め手になったのでしょうか。

紹介するデータは調査期間の各年度で大きな差が確認されなかったため、各年度の平均値で作成しました。(全データを確認したい人は国土交通省の令和元年度住宅市場動向報告書をチェックしてください。)

中古マンション購入者の物件選択理由
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書再編集

上記アンケートの項目は「住宅の選択理由」です。価格帯、建物(マンションの躯体)や立地条件について質問しています。

理由の第1位はやはり「適正な価格」でした。

中古マンション購入者が購入検討初期から希望に合う間取りや広さ、設備の中古マンションを探している実態がわかります。

「立地条件、環境」への拘りも強く、「間取り・広さ・設備」よりも重要視している方が多いこともわかりました。

意外だったのは「マンションだから」と言う回答です。戸建てを希望する人が圧倒的に多いと考えていましたが、マンションに拘る方も一定数いるこは驚きです。

「馴染みに土地や親・子との同居、近隣に住むため」が理由になっていますが、やはり土地勘がある住み馴れた地域への愛着や親族が傍にいある安心感は十分にマンションに決める要因になることも気づかされた気がします。

6、部屋のどこが気に入ったのどこ?

購入したマンションの設備等で決め手になったポイントについても調査を行っています。

紹介するデータは調査期間の各年度で大きな差が確認されなかったため、各年度の平均値で作成しました。(全データを確認したい人は国土交通省の令和元年度住宅市場動向報告書をチェックしてください。)

中古マンション購入者の物件設備等の選択理由
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書再編集

「間取り、部屋数、広さ」が決め手になった結果がはっきりとわかりました。

部屋のデザイン、台所や風呂などの水回りも購入者が重要視しているポイントであり、設備の充実以外に広さも決めになりっています。

やはり、奥さんが使いやすいキッチンやのんびりお風呂で過ごすことも新居に求める機能なのでしょうね。

バリアフリーや災害への配慮も気にしていることは将来を考えていることがわかり安心できます。

どのポイントも先程のアンケートにあった前の住居の課題が解決されたのだろうなと納得できる内容でした。

7、通勤時間は変わった?

購入前の家への課題には、駅から遠い、通勤時間と答えた方も多くいましたが、購入後はどうなったのでしょうか。

たまにマイホームのために片道2時間と言う方もいる話を聞いたことがあります。

購入前後の片道通勤時間(年度別)
国土交通省令和2年度住宅市場動向報告書再編集
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購入前後の最寄り駅までの距離(年度別)
国土交通省令和2年度住宅市場動向報告書再編集
調査開始が平成30年より
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通勤時間は45分程度ですが、調査年度に関わらず短くなっています。平均2.9分でした。

もっと短くなるかと思っていましたが、最低限の条件としてこれまでの同じ程度の通勤時間で妥協したのかもしれません。

参考までに全国平均は39.5分(片道)です。

自宅から最寄りの公共交通機関まで距離(最寄り駅からの距離ですよね)は、住み替え前は1.1~1.2㎞でしたが平均で200m程近くなっています。徒歩時間にして3分程度、短縮された計算になります。(一般的には80m/分で計算します。)

通勤時間も駅からの距離も住み替え前と同程度か、少し短くなっています。

大幅に長くなることはありませんでしたが、極端に改善されているとも言えず、現状維持が最低限の選択条件だったではないかと推測できます。


如何でしたか?

中古マンションを購入した方たちが何をポイントして今のマンションに決めたかがおわかり頂けましたか。

「予想通り!!」、「同じ!」、「まぁー普通かな」など様々な感想はあると思います。

次章ではいよいよ自己資金やローンなどについて確認しましょう。


目次

1章 中古マンションを買った人とはどんな人

2章 どんなマンションを購入したの?

3章 なぜそのマンションに決めたの?

4章 購入資金の計画は?

現在5章執筆中


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