新築マンションの平均価格は値上がり続け、東京都内では9,000万円に手が届くほどの高値です。

昔から億ションと言えばお金持ちが住むマンションのイメージですが、平均価格が一億に円に近づくほどマンション価格は値上がりしています。

令和4年に不動産経済研究所が調査した結果が発表されましたが2021年度の一都三県の新築マンションは1戸あたり平均6,360円、東京23区では8,449万円でした。

マンションの価格ばかりが頭に残る報道で、このニュースを聞いた方は「無理~!」「一生賃貸だな~」と諦めた方も多いのではありませんか?

しかし、これはあくまでも平均価格であり、部屋のタイプや立地を選べば2,000万円台の分譲マンションはあります。

特にコロナ禍になり、テレワークも定着した今、在宅勤務が増え週に1、2回の出社の勤労ペースが可能であれば、都内でも比較的郊外の物件を探せばまだまだ「無理~」と簡単に諦めるべきではありません。

とは言え、数千万円ものマイホームを買った人ってどんな人なの?を皆さんに知って頂きます。

1、分譲マンションを買った人ってどんな人

いろいろな表やグラフを表示しますが、出典先は国土交通省の令和元年度住宅市場動向報告書です。調査期間が平成27年~令和元年の4年間の集計です。(実にP400にも及ぶ報告書で読むだけで一苦労です。)

調査対象は3大都市圏とそれ以外となっています。

では、まずは気になる世帯収入から見ていきましょう。

世帯収入って何?

世帯年収とは、「同一の生計を立てる世帯全員の年収」のことです。

生計とは生活に係る費用が賄われている状態のことで夫婦共働きであれば、両者でお金を出し合っている状態になります。家賃は旦那さん、生活費は奥さんと取決めていても同一生計になります。(扶養関係は関係ありません。)

注意する点は同居していることが条件ではないことです。例えば単身赴任であっても旦那さんの給与で家族が生活していれば同一生計になります。子供が離れて生活していても仕送り(生活費・学費等)していれば同一生計です。親に仕送りしていても同一生計になります。

ちなみに年収は給与明細に記された収入で税金を惹かれる前の収入のことです。可処分所得とは違います。注意してください。(交通費は含みません。)額面年収とか、税引き前年収とも言われます。

1-1、マンションを買った人の世帯年収は?

分譲マンション購入者の世帯年収(年度別)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書再編集

分譲マンションを購入した人の世帯年収は600~800万円の方がもっとも多く、その前後の年収(400~1000万円)で全体の60%を超えていることが判ります。

意外に広範囲に広がっていることがわかります。新築分譲マンション購入が富裕層に限定されているわけではことが確認できて安心ですが、一方、400~600万円の購入者が年ごとに減少している傾向も確認でき、価格の高騰による影響も読み取れます。

世帯年収が1000万円以上の高額所得者も全体の15%程度いることがわかります。

平均世帯年収は、調査年度間で100万円程度の差はありますが、概ね800万円程度と言えます。

400万円の世帯年収でも購入されている方が10%弱いることはひとつの希望でもありますが、やはり600万円以上の世帯年収がひとつの目安になるのかもしれません。

分譲マンション/調査年度平均世帯収入
平成27年751万円
平成28年835万円
平成29年798万円
平成30年840万円
令和元年798万円
分譲マンション購入者の世帯年収
分譲マンション購入者の世帯年収(年度別)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書出典

分譲住宅(戸建て)の取得者の結果も公開されています。意外なことに分譲マンションよりも世帯年収100万円程度低い結果です。都心に戸建てをそう簡単に購入はできないことから想像して首都圏の郊外に戸建てを購入した方と推測するべきでしょう。

分譲住宅(戸建て)/調査年度平均世帯収入
平成27年679万円
平成28年646万円
平成29年701万円
平成30年738万円
令和元年688万円
戸建て住宅購入者の世帯年収
分譲住宅購入者の世帯年収(年度別)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書出典

1-2、マンションを買った人の職業は?

ここからは分譲マンション購入者に限定して調査結果を確認しましょう。

分譲マンション購入者の職業(年度別)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書再編集

会社員・団体職員がもっとも多い職業ですが、調査年度の結果より年々その割合は減少する傾向にあり、サラリーマンには厳しい時代を予感させる結果を示しています。

逆に会社・団体役員が増えています。

マンション価格の高騰により、購入者が会社員でも役員クラスに限られていく傾向が顕著になっていると考えています。

また、公務員もその割合が増加する傾向にあります。

景気や社会情勢に影響を受けにくい公務員は、住宅ローンでも信用度が高く借入金が高額でも民間よりも借りやすいと言われています。高額であっても新築マンションを購入できる方が増加している理由ではないかと考えています。

自営業者は年度ごとの変動が大きいことが特徴です。景気や社会情勢の影響を受けやすいため各年の状況により購入者にばらつきが出ているのではないでしょうか。

年金受給者は年齢的に60~70歳以上の方になります。退職金もあり、老後生活を考えた買換えを含めた購入者が毎年一定数いると考えています。

残念ながら派遣社員では高額な新築マンションの購入は難しいことが結果からわかります。

1-3、マンションを買った人は何歳で買ったの?

マイホームを手に入れた年齢は気になりますよ。

最近の傾向は取得年齢層は30代がは40%を超えていることです。年々若い頃にマンションを購入する人の割合が増えています。ただし、平均年齢では43歳前後になります。これは30歳未満の購入者の割合が40代以上で購入する割合に比べ少なく、平均値が高くなっているためです。

いずれにして30~40代がマンション購入するタイミングと考えている方が多いことがわります。住宅ローンの年数が30年とすれば60~70代に完済、あるいは退職金で完済を見込んでいる方が多いのではと推測できます。

分譲マンション/調査年度平均年齢
平成27年43.3
平成28年43.3
平成29年44.1
平成30年42.7
令和元年43.3
分譲マンション購入者の購入年齢
分譲マンションの購入者年齢(年度別)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書出典

1-4、マンションを買った人は勤続年数で買ったの?

マンション購入者は会社入社後、何年目に購入したのでしょうか。

中古マンションの購入者の勤続年数(年度別)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書再編集

転職が普通になったため、22歳で就職後にそのまま務めているかどうかは判断できませんが、在籍中の会社に20年勤続までに購入する方が全体の7割弱をしてみていることがわかります。

平均勤続年数が15年程度であることよりも入社年齢を22歳と仮定すると30代に購入する方が多い購入年齢と一致しています。

勤続年数が10年未満の方も3割程度いることもわかります。

20代の購入者が全体の1割程度(購入者の年齢を参照)を考慮すると転職を経て現在の職に就いた方も相当割合いると思われ、30年以上勤務されて購入した方は、50~60代の卒業後に就いた会社に勤め続けている方が多いと考えられます。

新築マンションの価格は高いため、毎月の返済額を抑えるためには長期返済の必要があり、若い年齢で購入を決断する人が多いのではないかと考えています。

調査年度~10年
未満
10~20年
未満
20~30年
未満
30年以上
平成27年29.933.723.611.1
平成28年35.231.921.110.3
平成29年31.137.716.613.4
平成30年27.3422.13.610.7
令和元年33.634.416.89.8
分譲マンション購入者の購入年齢
分譲マンションの購入者の勤続年数(年度別)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書出典

1-5、マンションを買った人の家族構成は?

購入時の住居人数(家族構成)も調査されています。

年度毎の傾向にそれほどの違いはなく、令和元年のご夫婦を前提とすれば、子供が1名、ないし2名の家族が60%を超えています。

子供がいない夫婦も25%を超え、独身の方の7%以上であることがわかります。

令和元年 居住人数占有率
1人7.1%
2人26.8%
3人34.6%
4人26.8%
5人以上(無回答を含む)4.7%
分譲マンション購入者の居住人数(令和元年)
分譲マンションの購入者の居住人数(年度別)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書出

この調査では、マンション購入者に対して60歳以上、18歳未満の同居家族についても調査しています。

60歳以上の高齢者が家族にいる割合は、年度による大きな変化はなく全体の15%前後であるのに対して、18歳未満の同居者がいる家族は50%を超えています。

分譲マンションの購入者、高齢者の有無(年度別)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書出
分譲マンションの購入者、18歳未満の有無(年度別)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書出
分譲マンションの購入者、世帯内訳年齢年度別)
国土交通省令和元年度住宅市場動向報告書出

また、調査では高齢者がいると答えた方に同居する方の年代も調査しています。

その結果では50%を超える方が高齢者同士の夫婦、あるいは親との同居を示唆している高齢者のみの家族構成であると答えています。

他の世代との同居割合も4割程度あることを考えると、マンション購入年齢が15%程度あった60代以上の結果が反映していると思われます。

これらの結果から、30~50代のマンション購入者は18歳未満の子供が1~2名と同居するケースが多いのではないかと思われ、子供の成長環境を考慮してマンション購入を決断されてたことが推測できる結果でした。

2、マンション購入者の実像が見えてきた

国土交通省の令和元年度住宅市場動向報告書から見えてきたマンション購入者をまとめると?のような人でした。

いかがでしたか?

予想した人と一致、それとも意外でしたか?

あくまでも各項目の平均を基準にした結果です。

自分があてははまらなくても全然気にすることはありませし、世帯年収も400万円以下でも、年齢が60歳で購入している人はいます。

平均的な人物像として捉えてください。

次章では新築マンション購入者の自己調達について調査結果をまとめてみましょう。


目次

1章 分譲マンションを買った人とはどんな人

2章 マンション購入の資金調達はどうしたの?

3章 みんなはどんな住宅ローンなの?


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