この章ではマンションを購入した皆さんは区分所有法の適用を受けます。区分所有法ではマンションの管理方法をどのように規定しているかを確認します。

併せて管理組合員の皆さんの管理規約(初めに貰った管理規約)とどのように関係しているのかを再確認して頂きます。

何期も運営経験のある方にはご存じの内容ばかりになりますが、新しく理事になった方、これから分譲マンションを購入する予定の方には役立つ情報です。

1、マンション管理の基本は全員管理

管理組合が管理する部分は区分所有者が共用で利用する土地、施設、設備のすべてです。専有部以外のすべての部分の管理です。

専有部には皆さんの排他的所有権(独占的に)が認められていますが、それ以外の部分は区分所有者の全員の共有物です。

この部分を共用部と言います。共用部の管理は区分所有者全員で行うことが原理原則です。

これはとても重要で「俺には関係ない」は決して許されません。

分譲マンションの所有者になると管理組合に所属することが法律(区分所有法」で規定しています。

「俺は加入しない!!」は通用しません。

これらのことは、「区分所有法」と言う法律に定められています。

しかし、実際問題、複数の区分所有者が全員で管理を行うと何かひとつのことを決める度に全員が集まり決める必要があります。これは容易ではありません。そこで区分所有法では「管理者」の存在を規定しています。

区分所有者の過半数以上の賛成で管理者を決め、その人に管理を任せる制度です。法的に管理を任せる契約は民法で規定してる「委任契約」に属します。(口約束でも成立します。)

1-1、管理者は誰がなるのか?

誰が管理者になるか?誰でもなれます。法的には区分所有者に限定していません。

下記のグラフをご覧ください。国土交通省が公表している「マンション管理の現状に関する」資料の一部です。管理者を誰が行うことにしていますか?と質問した結果です。

国土交通省調査(マンション管理の現状ついて」出典

管理者を置かないことも可能ですが、現在の法整備の状況ではむずかしいと思います。(実際には1.6%程度あるようですけど)

もっとも多くの管理組合は管理者に理事長を選択する制度を用いていることがわかります。

管理会社が管理者になる割合は全体の5%程度、購入時に継承した管理委託契約の相手である管理会社が管理者に就任しているケースです。

理事長とは別に管理人を設置しているケースも少数あるようです。

ほとんどの管理組合は理事長が管理者に就任していることがわかります。

ところで「理事長」って誰?と思いますよね。理事長は国土交通省が公表しているマンション管理の指針で区分所有法とは異なり実際に運用する時の詳細な方法が示されている標準管理規約内で規定されている役職になります。

区分所有法は法律です。絶対に守らなければいけない制度です。これに対して標準管理規約は区分所有法のルールを厳守した上でもマンションを管理する方法を実用性を重視した導入例として国土交通省は公表している指針です。この違いは覚えてください。

管理者の決め方には大きく2つあり、特定の人物(個人名)や組織を登録する方法と役職を登録する方法です。

いずれも規約に規定します。

両者では大きく異なる点があり、理事長を管理者にした場合、理事長を変えればその地位は継承される為、規約の変更は必要ありませんが、個人や組織を規定した場合は規約の変更をしないと管理者の変更ができません。運用上の簡便性を考慮して理事長を登録する例がほとんどです。

管理者は区分所有法で決めたマンション共用部分の管理を行う人、理事長は標準管理規約で規定したマンション共用部分の管理を行う役職で「管理者」と「理事長」の関係は同じと考えて良いでしょう。表現の違いと理解してください。

アンケート結果に合ったように実際はこの他にも管理者の選任方法はいくつかありますが、いずれの場合も初期の管理規約に定めています。

管理者の選任方法備考
管理規約に特定の個人、組織を規定管理会社や分譲会社、マンション管理士などが就任
解任には規約の変更が必要になる
理事長を規約に規定立候補制、輪番制などで理事長を決める
複数の理事長の選出も可能
一般的に任期は2年
まったく記載がない誰が管理しているのでしょうか???(不明)
法人管理組合になった場合会社法の規則に従う
この場合、管理者は会社組織になります
管理者の主な規定方法

ここで覚えて頂きたいのは、区分所有法では共用部の管理は「管理者」、実用的には多くの管理組合で「理事長」が「管理者」の立場で運用を行っていることです。

1-2、理事長はどうやって決めるか?

全体の87%を占める理事長制度ですが、多数の区分所有者から1名だけに管理者の責任を押し付けることは大変です。また理事長が勝手な管理を行っても困ります。

そこで標準管理規約では複数の理事を区分所有者から選びます。その中から理事長を選ぶ方式を規定しています。これで責任の分散と互いの監視ができると考えています。

理事は立候補が好ましいのでしょうが残念ながらあまり多くはないようです。ほとんどの場合は輪番制などの区分所有者が公平に責任を負う方法を採用している組合がほとんどでしょう。

監事についてはここでは割愛します。理事のことを役員と呼ぶ方もいますが、理事で統一します。(理事に監事は含みません)

理事は総会(区分所有者の集まり)で選任されます。区分所有者が直接選びます。

選ばれた理事達は理事会を形成しその中で理事同士の選挙で理事長、副理事長、会計担当を決めます。

他の役職(広報担当や防火担当など)も決定することも可能ですが、標準管理規約等では理事長、副理事長、会計担当を決めることを理事会の職務としています。

この段階で理事会が決定した人事は案になります。最終的には区分所有者が総会で承認すると人事案が承認されたことになります。

これが理事会が形成され、理事長が決まるまでの流れです。

理事・理事長の決め方

理事長は理事が選び、理事は区分所有者から選ばれることを覚えてください。

この人事案を区分所有者が承認することで理事長が決定されます。

1-3、理事長と理事会の関係は?

理事長は理事会によって選ばれます。理事長の役割は対外的な管理組合の代表者です。

例えば、管理組合の口座の名義や修理などの契約(損害保険等も含む)の代表者などです。

理事長、理事会、区分所有者の関係

管理組合は合議制で運営されます。そのため、理事長が勝手に決めることはほとんどの場合できません。必ず理事会の承認が必要になると考えてください。

理事長の暴走を防ぐために管理業務の決定事項は理事会の賛成(1/2以上の賛成)で承認され、理事長が執行します。

理事長の意見と違っていても理事会の決定に従った業務の執行を行います。

必ず総会の承認が必要な業務については区分所有法に記載があります。

これが理事長と理事会の関係です。では、次に理事会の意志の決定方法を理解してください。

1-4、理事会、理事長に与えるられる権限は?

理事会が行う管理業務にはいろいろな仕事があります。領収書の受理などの事務管理、それ以外にも例えば小さな修理から建物の構造の変化を伴う修理・改修です。規約・使用細則の変更など共用部の管理はすべて理事会と理事長が行いますが、区分所有者に大きく影響することを理事会だけで決定する方法は区分所有者の意見を広く集約したとは言い切れない場合や理事会の暴走の危険もあります。

マンション住民が知らない間に生活に影響することを勝手に決められたら大変です。

そこで、区分所有法では理事会の権限を制限しています。方法は3つあります。

1-4-1、法律で総会議決が義務になっている行為

一般的には管理業務には意思決定が多く、組合員も出来るだけ理事会に委任したい、実務は管理会社に代行させたいと考えています。

そのため、法律で制限されている委任行為以外はほとんどの裁量権を理事会に与えています。

具体的な行為別の権限を説明します

右に示す表が主な行為です。それぞれに議決権は決められています。(せっかめメモ参照)

理事会は行為を実施するための案を作成し、総会に議案提案を行い賛否を問い業務を進めます。

これらの行為は規約・使用細則、総会議決で別途、定めても無効になります。必ず総会の議決を必要とします。

これ以外にも前述した監事、理事選出や法人化等も総会議決が必要になります。

1-4ー2、理事会が単独で意思決定できる行為

次は、理事会に委任する業務があります。委任をした項目については理事会単独で意思決定が出来ます。

また、委任された業務でも組合員の意思を確認すべきと理事会が判断すれば総会の承認を求めます。

理事会が単独で意思決定ができ主な業務は、形状・構造変化を伴わない共用部の保存行為です。所謂、修理や補修の意思決定、専有部の改修工事の承認です。これ以外に駐車場、駐輪場等の契約業務との契約(メンテナンスなど)、備品購入などの出納指示も含まれます。

これ以外に理事会が単独で決めることが出来る業務は、規約や使用細則、総会でそれぞれの管理組合が独自に決めることもできますが、ほとんどの組合は標準管理規約に示された内容を変更していません。

しかし、理事会に権限を理事会は与えられた権限以外については、総会の承認を受ける必要があり、この場合は理事会は議決案の作成だけを行い、総会で承認を受けることになります。

このように理事会も理事長も与えられた権限の範囲でしか管理業務を決定することができません。

1-4-3、理事長が単独で意思決定できる行為

これとは別に理事長は区分所有者法で規定されている管理者と同じ権利と義務を有するため、理事会の承認なしに自身の判断で執行できる管理業務があります。

いずれも区分所有者の権利や財産を守るために必要最低限の権限に限定されています。

1、損害保険の請求

2、組合員から緊急の総会の開催要請があった場合の開催する権利

3、区分所有者の財産に大きく影響する緊急性が高い業務を執行する権利

皆さんに覚えて欲しいことは、区分所有法ではマンション管理業務の中で権力が一部に集中することがないように歯止めが設定されていることです。

理事長に権限が集中していると感じる管理組合には何か運用上の問題や間違った解釈で運用されている可能性があります。

1-5、理事会の職務

理事長と理事会の役割はきちんと理解してください。

理事長に与えられた3つの権限を除き、意思決定は理事会の業務です。

これ以外に区分所有法では理事会の職務を次の3つと定めています。

1、規約・使用細則等・総会の議決により理事会に定めた権限内での業務執行の決定

2、理事の職務の執行の監督

3、理事長、副理事長、会計担当理事の選任

理事長は対外的なマンションの代表者に過ぎないことを忘れないでください。

以上、区分所有法で定めている管理業務の流れと役割について説明しましたが管理規約、使用細則、総会が重要であるは理解頂けたと思います。

確認事項

1、共用部の管理は理事会に委任することができる

2、理事会に付与、制限する権限は区分所有者全員で決定する

3、理事会に付与、制限する権限は規約に制定することでできる

4、理事会に付与、制限する権限は総会で決めることもできる

5、理事会は意思決定権と執行義務を持つ

2、分譲直後の管理状況を考える

総会や管理規約、使用細則の重要性はわかりましたが、購入直後は全体的なイメージを理解できない人も多く分譲会社の説明を鵜呑みにしてしまう方が多くいます。苦労して住宅を手に入れた喜びに包れ、これからの生活に期待する時期ですから仕方ないと思います。

実際問題、この時期に理事を決め、理事長を選出することはかなり難しく、そんな状況で区分所有法で決められたルールを守り、規約で設定された内容を実行するのはほとんど不可能です。

そこで管理会社との委託管理契約を継承した状態、あるいは管理業務の一部委任した状態を皆さんに提供することで新天地での生活を円滑に進めるための方法として導入されています。

国土交通省も分譲マンションでは入居開始後の一定期間について分譲会社や管理会社に管理者の役目を負わせることを認めています。

2-1、分譲直後の管理の状況を確認する

皆さんの規約には下記の内容を示す一文が附則、暫定措置の項目に掲載されているはずです。

管理会社により契約内容は変わりますが、ここでは代表的な2つの例を説明します。

その1

1、「区分所有者は、管理組合の役員が選任されるまで間、〇〇〇会社に指定した管理業務を行うことを承認する」

2、「区分所有者は理事長が選任されるまで間、〇〇〇会社が区分所有法第25条に定める管理者となることを承認する」

理事会、理事長制度はなく管理会社が行う業務を定めた上で管理業務を行うことと管理者制度が採用され、分譲会社、あるいは管理会社が管理者になることに承認します。(その1)

また、管理委託契約書の締結と役員の選出を同時に承認することを定めるケースもあります。(その2)

その2

1、「居住する組合員(区分所有者)中から〇〇〇会社が推薦・選出した者が役員に就任することを承認する」

2、「区分所有者は管理会社と管理委託契約を承認し、理事長が選任されるまで間、〇〇〇会社が区分所有法第25条に定める管理者として職務を代行することを承認する」

分譲後の初期の管理状況 その1
分譲後の初期の管理状況 その2

暫定措置期間は管理会社によって異なりますが長くても1年でしょう。

そのまま、管理会社が執行者である管理者に就任している管理組合があることはこの章の初めに説明しましたが、初期の状謡が継続しているケースです。しかし多くの場合、区分所有者から理事を選ぶ理事会制度に移行します。

それ以降、共有部の管理が皆さんの手に委ねられることになります。

2-1、管理会社が管理者の時に注意すること

限定的な管理業務を承認する方法と管理委託契約も同時に承認する方法を示しましたが、管理会社が管理者を代行している点は共通しています。

この時に注意すべき点は、管理費等(修繕積立金、施設使用料)の管理が管理会社に委任されることです。

今でこそ滅多に起きませんが、訴訟に及んでことを受けて国が法整備を行った経緯があります。管理会社を過信過ぎずに区分所有者全員が監視する必要があります。(マンション管理適正化法の施行によって防止対策は行われていますが一定の監視は必要です。)

特に短期間ですが、管理組合の口座通帳と印鑑を同時に保有することが許される為、資産の個別管理には十分に気を付ける必要があります。

管理業務も区分所有者が管理業務に不慣れなことにつけ込み、管理会社に優位な規約の解釈を行うケースもあるようです。

管理者には区分所有者への報告義務はありますが十分に機能しない場合もあり、悪質な管理会社に管理を委託するとずさんな管理になります。

とは言え、管理組合には管理会社を選択する機会はないため、繰り返しになりますが理事会制度が導入されるまでは管理会社を正しく監視することが重要になります。また、理事会制度が導入された後も早期に管理業務のチェックを行うことをお勧めします。

管理会社の善し悪し、管理業務の執行状況をチェックするためにはその中身を知る必要があります。

せっかめメモ
不動産、マンション豆知識

管理者は絶対必要なの?

絶対ではありません。

管理者や理事長、理事を設置しない管理組合も可能です。

ただ、実際問題となると共用部の管理をすることは難しいでしょう。

規約がない組合はあるの?

大昔に建設されたマンションではあったようです。賃貸住宅との差別化もあまりできていない時代で法整備が整っていなかった頃の話ですね。

実効性があるなしは別に現在ではまずないでしょう。住民が好き勝手放題になる可能性もあり怖くて住めないと思います。

理事の数は決まっているの?

決まりはありませんが、一定の目安は国土交通省が示しています。

理事役員の数もマンションの規模によって変わってきますが、標準管理規約のコメントによれば、概ね10~15戸につき1名選出、最低3名程度、最高20名程度、という人数が目安です。

例えば50戸のマンションであれば3~5名になります。

ただし、最近は理事の成り手がいない、あるいは理事に選ばれても理事会に参加しない理事も増えているため、理事の数を少なくする流れにあるようです。また、区分所有者以外にマンション管理士等のマンション管理の専門家に理事への就任を求めるケースも増えています。

選任、互選って何が違うの?

選任は「私がやります」「この人が良い!」「この人にお願いしたい」と言った選んだ人を承認すること。

互選は役員同士で選挙をして決めることです。もっとも投票数が多かった人が選ばれます。過半数ではないことに注意です。

理事の輪番制とは何か?

誰も理事とかやりたいと思いませんよね。でもそれでは困ります。そこで区分所有者の方に公平に順番に理事になってもらう制度です。

理事を経験するとマンションの管理も具体的に理解することができます。区分所有者の方に経験をしてもらうためにも良い制度だと思います。

理事を居住者に限定できるの?

可能です。投資目的や賃貸目的の区分所有者が理事になることを禁止することは管理規約に規定することで可能です。

理事はマンションの実情を知って管理する必要があります。住んでいない人は理事等の役員になれないことも規約に設定することで可能です。

「理事は専有部に居住している区分所有者に限定するものとする」(規約規定例)と規約に定めれば居住する区分所有者に限定できます。

単身赴任の旦那さんは?

特に規約に制限が無ければ理事に就任することは可能ですが、理事会などへ出席などが必要な場合もあります。(任期期間理事会に一度も出席しない理事もいます。)

奥様等の配偶者に旦那様の代理を行うことは原則できません。

そのため、理事会に事情を説明して輪番制の順番を後回しにしてもらうなど対応法はいろいろあります。また、勤め先の会社によっては理事に参加することを必要経費として認めてくれるケースもあるようです。(太っ腹の会社ですね)

共同所有者の場合はどうなるの?

共同所有者とは登記上の権利を一定の割合で持つ場合を言います。

この場合は管理組合に代表者を事前に登録します。登録された人が共同所有者の代表者になります。

途中で代表者を交代することも届を行えば簡単にできます。

集会と総会って違うの?

法律によって異なった表現を使っています。

区分所有法では「集会」、標準管理規約では「理事会」と表現していますがいずれも区分所有者の集まりのことで同じ意味です。

区分所有法で決まっている議決権の考え方

ここで是非、覚えて頂きたいことは議決権の数え方です。

区分所有者一人に付き1票の議決権があります。しかし、区分所有者一人が複数の専有部を保有していても1票しか数は増えません。それでは不公平です。

そこで、区分所有者の数と専有部の面積(敷地利用権の割合)の区別をすることが区分所有法で決められています。

そのため、議決は区分所有者の数と議決権割合の両方が一定の割合を超える必要があります。

議決には普通議決と特別議決があり、それぞれ過半数以上と3/4、あるいは4/5以上と定められています。

普通議決と特別議決はどう使い分けるの?

特別議決は区分所有法で次の議題について行うことと決まられています。

  1. 管理規約の改定(制定や変更や廃止)
  2. 管理組合法人の設立および解散
  3. 共用部分の敷地や附属の変更(階段部分をエレベーターに改造する工事など)
  4. 大規模消滅における建物の復旧
  5. 建物の建て替え
  6. 専有部分の使用禁止の請求(共同の利益に反するその恐れがある行為に対して)
  7. 区分所有権の競売の請求
  8. 占有者に対する引渡し請求

*建物の建て替えは4/5以上です。

これ以外は普通議決で決定することが出来ます。

議決割合を変更することはできるの?

出来ません。例えば普通議決で決まられる項目を特別議決に変更すること規約で定めても無効です。

ただし、区分所有者数については項目によっては過半数まで減数をすることは認めています。

間違えやすい分母の数え方

普通議決と特別議決では分母の考え方が違います。

普通議決は総会出席者の議決割合の過半数以上が必要です。(総会の成立条件は議決割合の過半数以上です。)

上記例では、議決総数は12です。総会は議決数6以上の出席(あるいは議決権執行数)すれば成立します。そのため、緑の人だけが全員出席しても総会は成立しません。

また、オレンジと青が参加すれば総会は成立します。議案にオレンジが賛成、青が反対すれば議決権は同数になり否決されます。

緑が不在では何も決定できない状況になり、少数の意思も生かされる仕組みになっていることがわかります。

特別議決は総会出席者の議決権数ではなく、総会の参加に関わらず分母は区分所有者数、および議決権総数になります。(図の例では区分所有者数6、議決権12)

無関心な組合員の影響

特別議決は議決権総数の3/4以上の同意が必要であることはお話ししましたが、それだけ重要なことを決定する時に適用されます。

しかし、組合員の中に無関心な組合員が一定数以上存在すると管理業務は滞ります。

上記の例で特別議決を可決させるには、議決権12の3/4以上の賛成が必要になります。9票の賛成が必要です。

もし、オレンジ、青のどちらかひとりが無関心な組合員になると特別議決は一切決定できないことになります。

このような事態にならないように日頃から理事会の活動に興味を持たせるような活動が必要になります。

規約・使用細則との使い分けは?

明確な分け方があるわけではありません。規約は基本的なルール、使用細則は施設等の細かな使い方のルールを記載します。

例えば規約には利用時間や利用が出来る年齢を設定、使用細則には禁止項目などですかね。

使用細則の内容も規約に記載することもできます。ただし、規約の変更には区分所有者の3/4以上の承認が必要ですが、使用細則は1/2以上の承認で改定等を行えます。

規約の変更等に比較して使用細則は変更しやすいこともあって施設等の利用については使用細則に規定する管理組合が多いようです。

理事長は1名だけなの?

特に規定はされていません。複数の理事長で運用することも可能です。その場合は、理事長のそれぞれが代表者になります。

大きな規模の管理組合では採用する例があると聞きますが、遭遇したことはありません。

理事長同士が対立する時の決定方法などを別途定めるなど決めることが多くなるため、採用するメリットはあまりないように感じます。

監事って誰?何をする人?

監事は役員のひとりですが、理事会のメンバーではありません。監事は理事会の運営に不正がないか?あるいは怠慢な管理が行われていないか?不正にお金を使われていないか?を監視する立場です。

監事は理事とは別に総会で決められます。当然ですが監事は中立な立場でなので理事長や理事と兼務することはできません。

理事会で意見を述べることはできますが、議決に参加することはありません。あくまでも業務が正しく行われているかを確認する立場です。

不正の兆候や怪しい管理を見つけた時は、監事は臨時理事会、臨時総会の開催を理事長に要求すること、あるいは理事長に告発すること、臨時総会を独自に開催する権利も持っています。

毎年年度末の総会で管理の立場で不正等がなかったことを報告します。

監事を設置する義務はありませんが、法人化した管理組合では監事の設置は義務になります。

監事は理事会の出席するの?

必要になります。ただし、欠席しても理事会は成立します。

会計担当って何をするの?

会計担当は理事会で必須の職務です。理事会は組合員から徴収した管理費の管理を行います。

備品の購入や修理代金、共用部の光熱費の支払いなど毎月一定の取引があり、その出納記録を管理する必要があります。理事長がすべて行うには負担が大きいため会計役員が担当します。

と言ってもこれは建前で実際には管理会社が行う業務を確認することが主な業務になります。

支払等の決裁権は理事長にありますから、あくまで管理記録の確認です。

理事会って理事長だけでも成立するの?

理事会は理事の半数以上の出席が理事会の成立要件になります。(過半数ではありません)

5名の理事会であれば3名以上の出席が必要になります。6名の理事会であれば3名以上になります。また理事会は事前に議決権を用紙で提出方法や代理人を出席させることができません。

そのため、理事長は事前に出席確認を取り、成立しない場合は日程の変更などで行い成立させます。

ただし、定数上成立していない理事会でも話合いや議論をすることは規制されていません。議決を取ることができないだけです。

理事会って誰が議長?

理事長が議事進行を行います。理事長が急病等の理由で参加できない時は副理事長が変わります。

理事会って議事録は誰が作るの?

理事長が議事録を作成しますが、実際には管理会社が議事録案を作成し理事長が承認する方法が一般的です。議事録には理事長の他、参加役員(監事も含む)2名以上の署名押印が必要になります。

議事録を作成しない場合、理事長は過料を科せられる場合があります。行政罰ですね。

科料や罰金と違うことに注意です。科料や罰金は刑法罰です、そのため前科の対象になりますが、科料は行政上の罰なので前科の対象にはなりません。

管理組合は銀行口座を作れないの?

組合名義で口座を作ることはできません。

個人事業主が屋号で口座を持っていますが、あれも口座の名義は個人名です。屋号はあくまでも商用的な名前として併用されているだけです。

管理組合も法的に認められている団体ですが、口座を所有することはできず、名義は理事長になります。そのため、理事長が交代するたびに名義変更が必要になります。

ただし、管理組合が法人化されると法人格となり、一般の会社と同じに法人名で口座を持つことができます。

理事会の賛否が同数だった時は?

理事会の採決は過半数以上で承認です。同数は否決と扱われます。これは総会でも同じです。

理事会の議題って事前に連絡するの?

理事会の議題内容は事前に伝える必要はありません。理事会では話合いながら迅速にひとつひとつを意思決定する必要があります。

理事会の開催は即時できるの?

理事会の開催規定は総会に準じるとされています。総会同様に2週間前の通知が必要ですが、理事全員の同意があれば5日を下回らない期間で短縮はできます。

これは区分所有法、標準管理規約に記載されています。

これを変更するためには、総会決議を経て事前に規約、使用細則への規定の追加が必要になります。「特に必要があると認める時の理事会の招集通知は開催日の前日までに発すれば足りる」と規定した上で必要性を条文に加えるなどすれば開催ケースを制約をすることもできます。

緊急に開催する必要がある場合はどうするの?

緊急の内容によります。災害などでマンションに被害が及ぶような事態が発生した時、特に住民の生命に関わる時は理事長に権限が与えられています。(理事会の開催、議決を必要としません。)

それ以外のマンション内で起きる問題で緊急性があるケースは、事前の規約・細則の準備が必要なことは記述しましたが、その準備がされていない組合では、理事同士の話合いで意志確認が出来れば良いのではないかと思います。所謂、根回しですね。

例えばコロナ禍で理事会の開催を延期している状況でメールや電話で理事同士が意志決定を話し合うことは感染対策上有効です。

緊急性があり時間的余裕がない程の緊急性があるとすれば、理事会がもっとも優先すべきことは、緊急性の回避です。正式な決定は後日行うにしても起きている現場事態を収拾する意思決定は理事会以外の方法によっても問題ないと考えています。

その後に本質的な解決は、理事会による正式な意思決定作業により行われ、後日、検証が出来る議事録の作成も必要です。

理事会は書面での議決権の執行はできないの?

できません。これは規約や細則に別途、定めても法的に認められず無効になります。

昨年からコロナの影響もあり理事会を対面で開催するリスクもあり延期や中止が相次ぎ、管理業務の滞りが発生するケースがあります。

書面による議決や非対面型の理事会、総会の必要が高まっています。

そこで、電子媒体を使用した理事会、総会の開催のルール化が進められています。早ければ来年2021年には国土交通省から法律改正や指針などが公表されるはずです。

理事会への権限の制限って具体的に何?

管理者(理事長=理事会)の権限を制限しているのは下記条文です。

「集会の決議を実行し、並びに規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。」(区分所有法第二十六条)

例えば、規約で「備品の購入には総会の議決により決定する」と決めれば、理事会、理事長はボールペン1本買うのにも総会の議決が必要になります。実際にこんなふざけた行為を規制することはありません。

逆に言えば、理事会、理事長に裁量権を与えることも可能と言うことです。

また、区分所有法では各管理組合に対して一定の選択幅を用意しています。

区分所有法の条文には「ただし、この定数は、規約で減ずることができる。」「規約で別段の定めをすることを妨げない。」と記述された項目が幾つかあります。

例としては、次に挙げるような項目です。

  • 床面積の算出方法
  • 共用部分の変更議決の区分所有者の定数
  • 共用部の保存行為の執行権限
  • 臨時総会の開催権の定数
  • 総会開催時の告知期間の短縮

自分たちに適用した使いやすい管理の仕組みを作る自由度が与えられているわけです。

次章では区分所有法で示された管理組合の運用ルールを実際の管理業務に当てはめた管理規約の内容を確認しましょう。

➡ 3章 管理組合の管理規約の重要性についてに続く