マンション管理組合は滞納者(債務不履行者)に対して債務の支払いを求める権利があります。

この章では、法的手段に移行する前に管理組合が最初に行う督促行為についてお箸します。

出来れば、この段階で解決したいはずですが、実際はなかなかうまくいきません。

管理員として経験したこともコメントとして記載します。

1、訪問、書面による督促行為

最初に行うステップは書面による通知です。

もっとも基本になる督促方法です。

多くの管理組合は滞納者の状況は管理会社が管理しています。(月次報告で報告される。)

3か月を目途に訪問や書面による督促を依頼しているのではありませんか。

管理会社が作成した督促状を専有部のメールボックスに投函するのですが、管理人もあまり気が進む仕事ではありません。日々の業務の中でも、やはり、滞納をされている方と会うの気まずいです。相手も同じ気持ちなのでしょう、こちらの姿を見かけると足早に走り去っていきます。

督促状は定型で事前に準備します。(その都度、考えるのは面倒ですし、管理会社には事前に準備があります。)

滞納期間が3カ月を過ぎた頃から行う組合が多いと思いますが、もっと早めに行動することが重要で、1ヵ月でも滞納が発生した時点で、「管理費等の支払いのお願い」と言った定型の文面をメールボックスに投函することが重要になります。

機械的に滞納があった場合に送付、投函するシステムにします。

「理事会はあなたをチェックしています」と組合員に告げるだけで一定の抑制効果を生みます。

訪問による督促は2~3カ月から始めます。誰も借金の取立ては気持ち良いものではありません。皆さんも貸したお金の催促を友達に出来ずに、泣き寝入りしてしまう、あるいは自主返済に希望を託す経験はあるのではないでしょうか。

多くの場合はこの段階での督促業務は、管理会社との管理委託契約に含まれていますが、組合によっては理事長が行う場合もあり、その際の理事長の負担は大変なものです。

特に最近はインターフォンが玄関に設置されていることが多く、居留守や面会を断る債務者も多くなっています。

訪問による督促で注意すべき点をまとめました。

1-1、配偶者に請求できるのか?

民法761条は「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う」と定めており、この条文に適用するのではないかと考えられますが、答えは「No」です。

残念ながら賃料などと異なり、配偶者や家族に債務の請求をすることはできませんが、伝言を伝えることは可能です。ただし、子供には行うべきではありません。

区分所有権の共有者であれば直接請求することも可能です。区分所有者名簿を理事会は所有しています。この情報を見れば誰が区分所有者の権利を有しているかは確認できますよね。もし、共有者であれば理事会は本人と配偶者のどちらにも全額請求できます。(民法ではこのような関係を不可分債権と言います。)

口頭、書面で伝えることが基本になりますが、できれば直接書面で督促状を渡すことをお勧めします。

1-2、管理会社の業務の限界

管理会社は債権者ではありません。そのため回収(取立て)行為は出来ません。

あくまでも出来る範囲は、管理費等の延滞を告げ、自主的な支払いを促す行為に限定されています。

理事等の中には滞納を放置するのは管理会社の責任と思われている方も多いようですがこれは間違いです。(標準管理委託契約書に記載されています)

管理委託契約では滞納者については大きく2つの業務についての契約に限定しています。

ひとつが滞納者を理事会に報告する業務です。

もう一つが滞納者に書面や訪問により事実を伝え振込のお願い(督促)をする業務です。

これ以上のことはできません。また、管理会社が督促を行った結果、滞納が続いても管理会社に責任を追及することもできません。

このことは覚えておきましょう。

1-3、督促記録はすべて記録すること

訪問や書面で督促行為を行った場合は、必ず記録に残すことが非常に重要です。

延滞記録と併せて督促記録は裁判になった時の重要な証拠になります。これは「うっかりタイプ」「家計破綻タイプ」「確信犯タイプ」に関わらず残しましょう。 「うっかりタイプ」 がいつ 「家計破綻タイプ」「確信犯タイプ」 に変貌するかはわかりません。裁判で相手の心証は重要な判断要素になることがあります。

エクセルを利用した徴収記録

「うっかりタイプ」 であれば、この人物か支払い義務を軽んじるタイプであり、約束を守る可能性が危ういと判断されれば和解条件が厳しくなることもあります。

書面、面会等の督促記録は時系列に「いつ、誰に何を相手に伝えたか」がわかるように作成します。

督促を管理会社からの月次報告に掲載する組合も多いと思いますが、実際、裁判で使用するとなると理事会の議事録をすべて提出することになり手間です。

管理組合として別途、管理費等の徴収記録と督促記録を準備することをお勧めします。(1章で使用した徴収表を掲載します。)

徴収記録はエクセルで管理会社に作成を依頼すれば問題ありません。併せて督促記録も準備してもらいましょう。

督促行為のようなマンション管理の基本から外れる業務は出来るだけ事務的に行い、担当者の感情を入れない方が円滑に進みます。

1-4、約束事は書面でもらうこと

滞納者はいろいろな言い訳をします。多くの場合は収入の見込みがあっての話でしょうが、100%信用はできません。

なぜなら収入も相手の都合によって変更すること、またあくまでも本人の見込みであり、債権者はそれを確認できないためです。

「〇〇までに支払います。」「入金があり次第支払います。」と回答があれば、必ずその場で書面で提出して頂きましょう。

「念書」や「覚書」と言ったタイトルで書いてもらいます。

相手は嫌がります。なぜなら本人は督促されている今を逃れることに必死であり、まして口から出まかせであれば記録に残すことを嫌います。

しかし、 「念書」や「覚書」は債務者が債務を認めた証拠になり、後に重要な証拠になります。

実際、このようなことをお願いするのは精神的な苦痛も伴います。そこでこれを円滑にするには、管理組合として滞納に対する督促ルールを事前に組合全体で合意形成しておくことが重要になります。

これはぜひ、覚えておいてください。(督促ルールの概要は3章で説明します。)


協議離婚はかなり大変です。

離婚調停中は一般的に6か月~1年程度の必要とされています。その間は財産の分け方も決まりません。そのため、マンションの管理費等の負担も未払いになるケースがあります。最終的にはマンションを売却して現金を分ける方法が多いようですが、物件によっては離婚成立後、売却まで数年かかるケースもあります。

その間の管理費等は未払いになることも多く、理事会も事情を聞いているだけになかなか法的手続きに進めないケースも多いようです。このような場合は、当事者(区分所有者)に「売却代金からの支払いを行う」内容の念書等を提出させることが重要になります。


1-5、連絡が取れない場合の対処方法

区分所有者が日中働いていることは普通にあります。また、理事会への連絡先に携帯電話を登録してあっても相手が出てくれないこともあります。

さらに共働き世帯では当事者や家族と連絡を取る方法は意外に限られます。

管理会社に督促の依頼をしても管理員の勤務時間は日中であり、管理会社も夜間の督促はできません。

書面による督促が効果がない時は、やはり対面で状況を確認することがもっとも良い方法になりますが、理事長が本人の帰宅後、わざわざ訪問するのは非常に面倒です。また土日に訪問することもやはり同じ住民として心苦しく感じてしまう理事長は多くいます。

このような連絡が取れない期間が続く場合は、理事会も次の手を考える必要があります。

債務の取立てには厳格なルールがありますが、このルールの基本は正当な理由がない場合と限定されています。

正当な理由とは自宅や登録連絡先に連絡をしても相手が対応しない場合に適用されると考えられていますが、厳格な定義はありません。

法的に正当な理由が不明瞭な以上、勝手な判断はせずに一定期間(たとえば3カ月)を過ぎた時点で内容証明の送付を行うべきです。

債務者と連絡が取れている以上、債務者の事情も考慮すべきですが、連絡が取れないと言うことは誠意が認められないと判断しても良いと考え、内容証明を送付し、法的請求の準備に移行します。

1-6、区分所有者名簿を再確認

滞納者と連絡が取れないことほど厄介なことはありません。

このような場合、重要になるのが区分所有者名簿です。この名簿は、区分所有法、標準管理規約にも記載され管理組合が必ず入居者に提出を求め、変更時には速やかに更新する必要があります。災害等の緊急時には居住者の確認などのために重要な情報になります。

この名簿の書式は特に決まったルールはなく、各管理組合が独自に作成しています。

皆さんの名簿にはどのような記入項目がありますか?

一般には自宅の連絡先、ご本人の携帯番号などが記入項目にはありますが、その他に緊急連絡先や勤務先の項目はありますか?

もしも何が自宅に不在の時に連絡して欲しい場所の記載があるかを是非、確認してください。

誰も入居時から自分が滞納者になることは考えていません。

また、債権者から連絡を受けること自体を想定はしませんが、是非、勤め先や実家の連絡先は組合として知っておくべき項目になります。

1-7、勤め先への連絡はできるのか?

債務者と連絡が出来る限り、会社を訪問したり、連絡することはやるべきではありません。

しかし、債務者と連絡が取れない場合は、区分所有者名簿の緊急時の連絡先への記載があれば連絡は出来ます。

ただし、管理会社ではなく組合として理事長が行うべきです。

1-8、滞納者の事情を考慮するのは限定的にすべき

滞納者の事情を考慮したい気持ちはわかりますが、返済について考慮するにしても滞納者の誠意が感じられることを条件にすべきです。

ここで示す誠意とは「連絡が取れる環境であること」が絶対条件になります。さらに、約束した内容は「念書」「覚書」等の書面での提出に応じることの2点が重要です。

債務者がこの条件に適応しない場合は、滞納期間に関わらず法的手続きを開始することをマンション管理組合として事前に合意を得ておくべきでしょう。

債務回収においての言った言わない問題は、絶対避けなければいけません。

また、債務者が債務の存在を認めた時点で時効はその時点から改めて開始されます。

覚書等の書面には訪問時の日付とその時点での債務額を明記し、債務者の署名を貰うことが重要です。

1-9、延滞遅延金(利息)の請求

「うっかりタイプ」 「家計破綻タイプ」「確信犯タイプ」 のいずれも引落が出来なかった時から延滞金は発生します。しかし、実際は遅れても利息を上乗せして支払うことはしません。

利息の請求は、規約等に記載がある場合に債権者の請求権によって発生します。

自然に発生しているわけではなく、債権者(理事会、理事長)が利息を請求した時に債務者は支払う義務があります。

そのため、1~3カ月程度であれば、理事会も請求していないだけのことです。

これ以外にも債務者と理事会の話合いで、債務の分割返済や利息の(完全)端数の免除など、当事者間で債務金額の扱いを決定することもできます。

規約に定めがあれば利息の支払いを請求できることは覚えておきましょう。また、現在、規約に延滞遅延金や弁護士等の回収費用の請求権の定めがない場合は、総会による規約の改定をすることをお勧めします。


延滞遅延金の利率の設定について

よく聞かれる質問です。利率は法定金利が適当とされています。(民法の改定で法定金利は3年ごとに見直されることになりました。)

延滞遅延金の利率については法的に明確な上限の設定はありません。そのため年利30%も可能と解釈され事実判例でも認められたケースがあります。しかし、一般的には年10%、14%、14.6%、15%、18%、18.25%のいずれかを採用しているようです。

抑止効果を期待しても利率程度ではあまり期待はできません。上記のいずれかを採用するのが無難だと思います。


2、内容証明郵便とは

口頭や書面による督促の効果がないと判断すると理事会は内容証明書を送付しますが、これにはどのような意味があるのでしょうか。

督促状は債権者が一方的に債権者に送ります。そのため、債権者本人が「知りません。」「届いていません。」と言えば誰も証明することは出来ません。

これに対して、内容証明郵便とは郵便物の文書の内容ならびに差出人および名あて人を証明する特殊取扱の郵便物のことです。

簡単に言えば、誰が誰にどんな内容の文章を送り、相手がいつ受取ったかを証明してくれる郵便になります。

書留や配達証明は配達の記録を確認できますが、どのような内容で送ったかは不明です。

これに対して内容証明は内容が証明されるため、債務の督促を行った事実が記録されます。(郵便局の保存期間は5年です。)

受取人は届け先住所に住んでいる人であれば受取人以外でも受取ることができます。

内容証明郵便の作成方法はネット調べればすぐにわかります。割愛します。(参考サイト:債権回収弁護士ナビ

管理会社に管理委託契約外として依頼することもできますが、この際も差出人は債権者であるマンション管理組合(理事長名でも可能)で送付する必要があります。

2-1、内容証明の意味

相手に債務の請求をしたことを証明したことになります。ただし、送付内容の真偽とは無関係であり、督促を行った事実のみが証明されます。(内容は差出人の言い分になります。)その意味では法的な効力はないと言えます。

債務者にとってかなりのプレッシャーにはなるでしょう。

内容証明を放置すると債務者は、法的請求を起こされる可能性が高くなるため、債権者に連絡をするケースが多くなり、和解や話合いの機会につながることが一般的ですが、返済したくても出来ない人の中には無視してしまう人もいます。

その場合、裁判で督促をした事実の証拠になります。一方的な督促と違い、相手が受取っていない、知らないは通用しなくなります。また、支払日(引落日)を記載することで、法的請求時の延滞金期日を確定することができます。

特に、内容証明は債務に時効が迫っている時に一時的に時効を止める効果はありますが、その場合も内容証明の有効期間(6か月)内に法的手段に移すことが必要になります。(2-3参照)

いずれにしても法的な請求を行う用意があるぞ!と債務者に支払いを勧告する意味合いが強いと覚えてください。


弁護士に依頼する必要はあるか?

内容証明は個人で出来る督促行為であり、支払督促の準備段階になります。

弁護士のホームページには、弁護士からの内容証明は、債務者へのプレッシャーの大きさが強く、支払効果が大きいとされています。確かに一般人が弁護士と関わるのは相続、離婚などで特殊な場合に限られ、受取ればそれなりの効果はあります。また、書類作成などの費用が2~3万円程度と言われ、この費用を管理組合がどのように考えるかも判断の基準でしょう。

ただし、弁護士を依頼することは相手を追いこむことになり、特に 「確信犯タイプ」では感情的になり、話し合いの機会を失うケースもあります。この辺の判断は非常に難しいですね。

言えることは必ずしも弁護士に依頼する必要はなく、内容証明だけで支払いに応じる人は一定数います。訴訟等の解決方法しか見込みが立たなくなってからでも弁護士への依頼は遅くはない気がします。(それまでに理事会ができることはたくさんあります。)


2-2、相手が受取を拒否した場合はどうなるの?

受取人が受取りを拒否することはできますが、郵便局内に保管(1週間)され、一定期間を過ぎると差出人に戻ります。ただし、送った事実は残り、それだけでも裁判では証拠になります。

そのため、事実上、内容証明の受取を拒絶することはできないと考えて良いでしょう。

差出人の言い分を読み、それにどのように対応するかどうかは受取人の自由です。

この時点までに解決したい気持ちはあるが返済する見込みがない人は、怯えるだけで放置する傾向にあります。ある意味開き直るわけです。自分で自分のことを冷静に判断できない状態です。

特に管理費等の支払いは、携帯電話の未納による使用停止などの実害がないため、債務を放置しても生活への影響は少なく、無視を続けやすく、放置している間にも債務が毎月加算されてしまいます。また、悪質な滞納者は生命保険の支払いを優先させて、管理費を滞納する人もいます。

残念ですが債務者の家計状況は理事会も管理会社も知る由もなく、債務を無視している滞納者に、民間レベルで催促する限界(方法)はこの時点となります。

次の段階は法律的な督促行為になります。

2-3、時効を防ぐ方法として利用する

時効は債務者に認められている権利で一定期間、債権者が債務の請求を行わない時に発生する権利です。

管理組合は督促を行っていてもそれは法的に証明はできません、そのため内容証明が有効になります。

管理費等の時効は5年です。管理費等は毎月徴収により集めることが一般的です。

そのため、長期的に滞納をしている場合には、滞納月から5年を経過すると債務者に「援用」を行う権利が発生します。(権利があるだけ債務が無効になるわけではない)

結果として毎月援用ができる債務が増えることになります。

管理組合も管理会社も5年を超えるまで放置していることも問題ですが、もし、そのような状況にある時は、早急に内容証明を送付し時効を中断する処置を行い、次の準備を進めるべきです。

2-4、内容証明の効果は6か月

2-1でも示しましたが、内容証明は時効を一時的に止める効果がありますが、6か月以内に裁判上の請求をしないと時効を中断を継続することはできません。その間に裁判上の請求に移行する時間稼ぎとしての意味合いが大きいと言えます。

結局、内容証明も債務者の責任感や負い目と言った気持ち次第で支払いの有無が決めることになる方法です。 「家計破綻タイプ」は支払いたくても支払えない状況があり、「確信犯タイプ」は元々支払う意志が希薄な人たちです。

このような人たちに管理組合が管理費等の滞納を自主的に解消することを求めてもあまり期待ができないと言わざる言えません。

その上、ネット等が無い時代は「援用」(時効の権利を宣言する行為)を知る人は少なかったこともあり、弁護士に相談するなど自主的な解決を模索する中でその存在を知った人も多かったようですが、近年はネットであっという間に調べることができます。

もし、債務者から内容証明で「援用」の通知をされれば、逆に時効は成立し、債務が無くなりかねません。

2-5、時効を中断するその他の方法

時効を中断する方法には4つあります。この中で管理組合が単独で行う簡易な方法としては、内容証明と債務を認めさせる手段があります。

一般的には、内容証明が主流の様ですが、管理組合として覚えておくべき方法は、滞納者に債務を認めさせる方法です。

滞納者が〇〇年〇〇月〇〇日に徴収されるべき管理費等の支払いを行っていないことを書面で認めれば、その時点で時効は中断します。(その時から新しくカウントされると考えてください。)

これは時効期間(5年)を過ぎていても有効で債務者が援用をせずに、債務を書面で認めればその時点で時効の権利は中断されます。

この書面のことを債務承諾書と言います。

ここで重要になることは、滞納期間の債務について滞納債務の総額と滞納期間を明示の上、債務者がこれを承認する旨の債務承認書を債務者から取得することで、この際は必ず書面で作成することが必要になる。

尚、債務の一部支払いが債務全体の時効の成立を中断させることができるかについては、判決で認められないとしています。そのため、債務全額の一部を支払ってもすべての債務の時効の中断はできないことは覚えておきましょう。

滞納者に少しでも良心があり、他の組合員に迷惑をかけている負い目があれば、管理費等の滞納の事実はとぼけることはできません。

内容証明を送る手間暇を考えると規約や使用細則に債務承諾書の提出を含めた滞納者の対応方法を管理組合として合意しておくことでしょう。

2-6、管理費等の滞納を防ぐ方法はない

管理費等の滞納への対応方法として管理組合ができる督促についてお話ししましたが、残念なことに民間レベルの督促では効果が限定的であり、滞納者の経済状況や気持ち(良心)に依存してします。

滞納者は専有部分の売却もせずにただ、毎月の滞納を続け、真面目に支払う組合員が負担する構造になります。

何度もお話ししていますが、管理規約に署名をしている組合では、初めから管理費等の支払いを滞納する事態を想定してはいないはずです。

滞納に至るには債務者に支払わない原因があり、それを組合が督促程度で解消するには限界があり、まして予防する手立てはないと考えるべきでしょう。

では、管理組合はどのような姿勢で滞納者に対峙する必要があるでしょうか?

次章では管理組合が行える法的措置について説明します。


⇒ 3章 滞納者(債務不履行者)への法的手段に続く

目次

1章 管理費等の滞納者とは

2章 滞納者(債務不履行者)への督促

3章 滞納者(債務不履行者)への法的手段

4章 マンション管理組合の滞納への準備

5章 少額訴訟の実施方法と有効性