国土交通省は令和2年6月に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律」が成立・公布されたことを受け、マンション管理適正化法に新たに規定される国による基本方針、地方公共団体による助言・指導等、管理計画認定制度等の新制度の施行に関して、基本方針や認定等の基準などを議論するため、有識者、関係団体等による検討会による検討会を開催しています。(国土交通省ホームページより一部抜粋)
今月は、令和4年度から制度化される「管理計画認定制度」について、皆さんのマンション管理組合へ与える影響やこれから準備することを中心にお話しします。(まだ、最終的な制度は公開されていませんが、基本方針案は作成されました)
➡この時点ではまだ正式な発表はありませんでしたが、令和3年9月28日に公表されました。
管理計画認定制度はこれまでに5回の会議が行われ、各会毎に議事録、会議資料が国土交通省のホームページで公開されています。
管理計画認定制度の骨子は、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」に則って作成されています。一方、「マンション建替え等の円滑化に関する法律」は要除去認定基準制度によって実施される予定で、並行して昨年から専門家会議が行われました。
「要除去認定基準制度」については来月以降の特集で取扱う予定でいます。

管理計画認定制度は、この制度の検討が行われる以前から自治体によっては実施されています。東京都の場合、2020年(令和2年)4月からマンション管理状況届出制度が条例により施行されました。
対象となるマンションは昭和58(1983)年12月31日以前に新築されたマンションのうち、居住の用に供する独立部分が6以上であるものを提出を求めています。築年数で言うと現在、築38年以上のマンションが対象です。また、5年ごとに届出が必要になる制度です。
対象以外のマンションは任意登録制です。対象についても努力目標であり、強制力はありません。
この制度の目的は、マンション管理の法制度が確立する前に建てられたマンションの管理組合の活動状況が正しく実施されていないケースが多く確認され、その結果、建物の老朽化、空き室の急増などにより、都心の危険建築物になる可能性がある現状を改善することが大きな目的のひとつです。
また、災害時の倒壊の危険や壁の劣化による危険度の上昇を防ぐことも目的としています。
届出の内容によって、東京都から助言や支援等を受けることが出来る制度ですが、助言に対しての強制力はなく、あくまでも支援を行い、管理組合の適性な運営を促し、耐震工事や修繕工事につなげることになります。
このような制度は東京都に限らず、各自治体で独自の取り組みとして実施されています。(実施していない自治体もあります。)
では、なぜ、このような制度があるにも関わらず、国土交通省は「管理計画認定制度」の導入を検討したか?
その理由は、予想していた以上にこれらの制度が改善につながっていないことが原因です。
要するに「マンション管理組合の意欲に任せていても改善できない」、「自治体はもっとしっかりと指導して改善させなさい」と判断したためです。

国土交通省が作成した基本方針図を示しますが、管理適正化指針のトップを国にしています。
その上で、推進計画を作成する市区と作成しない市区に分け、作成しない市区では国が直接、助言、指導、勧告を行うことが出来る制度です。
また推進計画を作成する市区についても不十分な場合(実施しない自治体)には国が助言、指導、勧告を行う仕組みになります。
また、この制度の最も大きな違いは、これまで自治体が行っていた登録制度は助言、支援等に限定されていましたが、これを「助言、指導、勧告」レベルにした点です。
助言、勧告を受けた場合でも法的義務はありませんが、管理組合には大きなプレッシャーになることは確実です。
各自治体(市区)が制度対象をどこまで広げるかは現状ではわかりません。東京のように現在の昭和56年10月以前に建築確認を受けたマンションに限定することになるのか?あるいは、すべてのマンションを対象に実施することになるかは不明ですが、制度の中身を知れば、神戸市のように全マンションを対象に実施する可能性が高いのではないかと考えています。
追記(2021年9月28日に国土交通省発表)
認定制度について正式な発表がありました。
施行は2022年4月からになります。具体的な内容については本文を再編集します。(最新情報になります。)
発表内でもっとも重要な点は行政がマンションの管理状況を踏まえて管理適正化の推進のために施策を講じる必要があると示したことです。
これにより管理が不十分と認められた管理組合には「助言、指導、勧告」が出来ることになります。
その上、この管理計画認定制度の結果は公開される予定です。
また、手続きには管理計画認定制度手続き支援システム(インターネット上の電子システム)により行うことになります。
審査等はマンション管理センターが代行し、審査は講習を受けた認定マンション管理士が行うことが決まりました。
本文でも紹介している「マンション管理適正評価制度」との同時申請も可能にする予定とされました。
結果は一般に公表することもできます。
同時に将来的には新築マンションに対しても同様に仕組みを取り込み、その結果、住宅金融支援機構のフラット35の金利引き下げ等の措置を検討するとしています。
このように令和4年から実施される「管理計画認定制度」は皆さんに大きな影響を与える可能性があります。
分かり易く、説明しています。是非、マンション管理の運営、あるいはマンションの売却、購入を考えている方にも読んで頂きたいと思います。
目次(追加分を含む目次)
5章、管理計画認定制度ガイドライン公開1 (修繕積立金の基準値変更)2021年12月6日追記
6章、管理計画認定制度ガイドライン公開2 (管理計画認定制度の申込方法)2021年12月6日追記
7章、管理計画認定制度の現状 (管理計画認定制度の申込方法)2021年12月6日追記
今後、制度が確定後に内容の更新を行います。(2021/10/10)