同じ時期に似たような制度を実施するらしいのですが管理計画認定制度は法律、政令で定められる制度です。

一方、マンション管理適正評価制度は民間機関が自主的に行う制度です。

管理計画認定制度とマンション管理適正化評価制度の違いをしっかり理解してください。

尚、マンション適正化評価制度はマンション管理業協会がホームページ上で公開しているカタログ等の資料から情報を得ています。

1、マンション管理適正評価制度とは

マンション管理業協会は皆さんが委託している管理会社が構成する業界団体です。

平成13年に国土交通大臣から管理業務主任者の「指定試験機関」および「指定講習機関」の指定を受けています。

主にマンション管理の管理システムと管理技術等に関する調査研究を行い、皆さんがマンション生活をより快適に過ごせるように支援する機関です。

マンション管理会社は皆さんの管理組合業務を受託し、会計、設備保全、修繕、生活環境などマンション生活に必要な様々の業務を行います。

区分所有法、マンション管理適正化法をはじめに国土交通省が示す標準規約、修繕計画ガイドライン等の指針に従って実施されます。

そのため、指針に逸脱する方法による管理はすべきではないことは管理会社の共通の認識です。

今回のマンション管理適正評価制度は皆さんのマンションの資産価値を専門家が評価し、マンション管理、あるいは躯体の状況やマンション内の生活を総合評価を行い皆さん自身に確認して頂くことが目的としています。

ここで言う資産価値とは売買、流通、融資、保険等を示しています。そのため、マンションの売却、担保、火災・地震保険の評価に影響を与えることを想定して創設されていることがわかります。

マンション管理組合にとっては評価結果が低ければ改善点がわかり、マンション管理に生かせると言う訳です。資産価値を高く維持することの重要性は売買、流通、融資、保険の評価として利用することが期待できます。

評価が高ければ売却価格が高くなり、担保価値も大きく見積もられる。また毎月の火災・地震保険料は安く済むことを暗に示しています。(これについては後程、詳しく説明します。)

一般的に分譲マンションの不動産価値は、築年年数、立地(土地の利便性)、間取り、周辺の生活環境などを総合的に判断して不動産会社が決定しています。その中で欠如している点はマンション内部の状況です。

不動産会社は管理規約、総会議事録などの資料を入手することは出来ますが、それを正しく評価することが難しく、販売価格は管理組合の運営状況などを加味することができにくいと言われてきました。その結果、購入後に「管理が酷い」「住民トラブルが多い」など問題が発覚することもあります。

このような事態を避けることもできる制度と言えます。

また、耐震診断も受け耐震も確認され、設備等の修繕も適切に行われていることをアピールできれば、火災・地震保険、損害保険保険料も安くなる可能性が見込めます。(ただし、保険会社がこの評価制度をどのように受け止めるかは現時点でがわかりません。)

このようにマンション管理適正評価制度は皆さんの資産としてのマンションの価値を第三者機関(これにはいささか難あり)が正しく評価する制度であることがお分かり頂けたと思います。

しかし、気になる点は同年に実施される見込みの管理計画評価制度です。

管理計画認定制度は国が定めた法令に従い、地方自治体(市区)が実施する制度で放置すると躯体の老朽化が進み、将来的に災害や廃墟化により負の遺産になるマンションを作り出さないための政策です。

簡単な比較表を示します。

制度実施団体実施対象目的合否更新
管理計画認定制度地方自治体(市区)自治体が決定適性な修繕の実施の監視合否5年
マンション管理適正評価制度マンション管理業協会任意資産(不動産)価値の評価5段階1年
管理計画認定制度マンション管理適正評価制度の比較表

管理計画認定制度が修繕を中心にマンション管理を認定する制度ですが、マンション管理適正評価制度は資産価値としての評価を行う制度であることがわかります。

では、この制度はどのような評価項目があるのでしょうか?

2、評価項目と方法について

実施期間のパンフレッドから5つの評価項目について書かれた部分を抜粋しました。(パンフレッドの入先のURL

管理状況の評価内容は約30項目程度あり、管理組合の体制、管理組合収支、建築・設備、耐震診断、生活関連が対象なります。具体的なプレ評価シートも公開され、点数も明らかにされています。(評価シート掲載URL

次に30項目について確認します。

評価シートの5つの項目に沿って関連法律、指針と管理計画認定制度の比較を行います。

1-管理体制

項番項目評価内容基準法律・指針管理計画認定制度
1-1管理者等の設置管理者・理事会制の設置区分所有法
標準管理規約
1-2通常総会の開催年に一度以上の定期総会を開催区分所有法
標準管理規約
1-3総会議事録総会の議事録を保管(過去分)区分所有法
標準管理規約
1-4規約原本・現に有効な規約規約原本が存在、変更内容を追認区分所有法
標準管理規約
1-5管理規約の整備状況
(国認定基準項目)
管理計画の3項目が記載されている標準管理規約
管理計画認定制度
1‐6管理規約の整備状況
(主な項目)
7項目を確認する
19条-2、21条、22条、25条、28条、36条-2、37条-2
41条、60条(重複あり)
区分所有法
標準管理規約

2-建築・整備関係

項番項目評価内容基準法律・指針管理計画認定制度
2-1建築設備管理業務法定点検(保有設備)
➡特定建築定期点検・建築設備定期点検・昇降機定期点検
➡専用、簡易専用水道
➡貯水槽定期洗浄・点検
➡浄化槽定期洗浄・点検
➡消防用設備点検
➡特定工作物定期点検
建築基準法
水道法
浄化槽法
消防法
電気電気事業法
2-2長期修繕計画の有無総会で承認を受けた長期修繕計画の存在
(総会の承認が判定要因)
長期修繕計画は10項目(管理計画認定制度の同じ項目)
の長期修繕計画であることが必要
区分所有法
標準管理規約
長期修繕計画ガイドライン
2-3修繕履歴過去5年分
工事概要・金額・実施時期
(工事発生無も評価)
区分所有法
標準管理規約
長期修繕計画ガイドライン

3-管理組合収支関係

項番項目評価内容基準法律・指針管理計画認定制度
3-1管理費と修繕積立金の区分経理管理費と修繕積立金を区分経理を実施している区分所有法
修繕積立金ガイドライン
3-2会計費会計収支修繕積立金からの流用がない区分所有法
標準管理規約
3-3修繕積立金会計収支積立方法(均等、階段、一時金)、修繕計画予定額より
現状の状況がプラス(予定通りを含む)、
マイナスにより算出する
*10段階で評価し、該当項目に0~12ポイントを加点
区分所有法
標準管理規約
3-4管理費滞納額滞納戸数、滞納期間、滞納率を評価
10%以上で減点ポイント(-4)を加算
区分所有法
標準管理規約
3-5修繕積立滞納額計画額に対する滞納率が20%以上で
減点ポイント(-4)を加算
修繕計画ガイドライン
修繕積立金ガイドライン
3‐6修繕積立金の額国土交通省、修繕積立金ガイドラインの数式を利用
平均値2/3から判定する
修繕計画ガイドライン
修繕積立金ガイドライン

4-耐震診断

項番項目評価内容基準法律・指針管理計画認定制度
4-1耐震性
(耐震診断の実施の有無)
昭和56年5月以前に建築確認の建物について
耐震診断の結果と改修済みで判定
未改修の場合、改修の総会議決の有無で判定
4段階、0~10ポイントを配点
建築基準法
マンション建替え円滑化法

5-生活関連

項番項目評価内容基準法律・指針管理計画認定制度
5-1緊急対応設備の発報時の対応
24時間、有人体制
ホームセキュリティー
緊急時の電話対応
警備法
5-2消防訓練の実施状況年に1度以上の訓練の実施消防法
5-3名簿の整備状況区分所有者名簿と住民名簿の両者があること管理計画認定制度
5-4防災対策防火管理者の選任
災害時の避難場所の周知
災害マニュアルの作成・周知
ハザードマップ等の災害情報の情報収集・周知
非常時の道具・備品・食料備蓄
高齢者対応の防災用名簿の作成
災害時の住民の安否確認体制の整備
災害発生時の被害状況・復旧見通しの情報収集体制
以上8項目で採点
災害対策基本法
消防法

管理計画認定制度と重複する評価項目が多いと思いますが耐震診断や防災など独自の評価視点もある内容です。

防災対策については東京都が平成31年に制定した「マンションの適性な管理の促進に関する条例」に幾つかの項目が追加された内容が採用されています。

以上5項目に関する評価についてです。

それぞれの項目の配点等は左に示しました。(第二回マンション管理適正評価研究会資料より)

各項目をポイント制で評価、合計点によりS~Dランクに分類されます。

区分所有法、マンション管理適正化法、国土交通省が示す標準管理規約、修繕計画・修繕資金ガイドラインに準じた運営を実施していても防災関連の項目はハードルが高く、100点は難しくなりますが、ほとんどの管理組合は90点前後のS~Aランクに分類されるのではないかと考えています。

ポイントの比重が大きく設定されている修繕計画の有無、修繕工事の記録の保管、耐震診断は耐震改修を実施はそれぞれ最大で‐10ポイントになります。それでも70ポイント以上の評価は得られるため、例えAランクと評価されていてもマンション管理の適正な運営には大きな差が含まれていることはわかります。

では、マンション管理適正評価制度は誰が評価するのでしょうか。

3、誰が評価するのか?

実施期間のパンフレッドから登録・申請について書かれた部分を抜粋しました。(パンフレッドの入先のURL

マンション管理組合が申請を行う前に事前評価を行い、総会で「マンション管理適正評価制度」に申請することについて同意を得る必要があるようです。

組合として登録申請の実施が決まると管理会社に申請を申し込むと書かれていますが、委託契約している管理会社はどのような働きをするのかはわかりません。(もしかすると委託先に登録申請を行うことなのでしょうか。)

申請を受理した管理会社のマンション管理士、管理業務主任者が評価を行い、この結果がマンション管理業協会で公開される流れです。

評価を実施する管理会社とマンション管理業を委託している管理会社が同一の会社の場合、評価項目のほとんどは委託業務に含まれるため自社で作業を行い、その結果を自社の社員が評価するシステムになります。

これでは公正性が保たれた制度とは思えません。

もし、評価を実施する管理会社とは委託管理会社が異なると同業者が受託管理する内容を審査することになります。管理会社同士が互いに評価することにも公正性が保立てるのか疑問です。

評価を行うマンション管理士、管理業務主任者が管理会社に在籍している以上、評価を申請するマンション管理組合は限定的になると思われます。

この辺が現在(令和3年9月)時点でははっきりしないため、誰が評価するかについては疑問が残ります。

皆さんはどう思いますか?

追記(2021年12月8日)

公正性については講習を受けたマンション管理士、管理業務主任者が実施するとのことですが、チェックシートを用い、添付資料も加えることで担保されるようですが、講習会等についてまだ何も発表されていません。

もしかするとマンション管理業協会内で発表があるのかもしれませんが、セミナー等を聞く限り令和4年4月から実施されるとのことですが、評価体制などについて不明な点が多いと感じています。

管理会社の評価(風評を含む)に利用されるような制度にはなって欲しくないと心から願いします。

4、管理計画認定制度との違い

評価シートにも記載しましたが管理計画認定制度と重複するチェック項目が多いことがわかりましたが、マンション管理適正評価制度にだけ加えられている項目を一覧にしました。(表中、管理計画認定制度は管理認定と略)

チェック項目評価分類マンション管理適正評価制度管理認定コメント
1管理規約の整備状況
(主な項目)
管理体制7項目を確認する
19条-2、21条、22条、25条、28条、
36条-2、37条-2、41条、60条
(重複あり)
対象外標準管理規約の基本事項
2建築設備管理業務建築・設備関連法定点検(保有設備)
➡特定建築定期点検・建築設備定期点検
・昇降機定期点検
➡専用、簡易専用水道
➡貯水槽定期洗浄・点検
➡浄化槽定期洗浄・点検
➡消防用設備点検
➡特定工作物定期点検
対象外法律で決められた点検業務
該当する設備がある場合に必須の
検査・点検・清掃作業
3管理費滞納額管理組合収支関係管理費の滞納状況を評価
滞納が発生後、6か月以内の対応を
組合として結滞していることが
評価のポイント
対象外修繕積立金は金額(滞納率)で評価
4耐震診断耐震診断昭和56年5月以前の建築確認建物について
耐震診断を実施の上、改修を求めている
改修を実施していない組合は0ポイント
対象外
5緊急対応生活関連マンション内で発生する設備、特に警報や
発報時の対応を求めている
対象外一般的な管理委託契約では
警備契約として行う
6消防訓練生活関連年に1度以上の訓練の実施
消防法で定めている
防火管理者の選任は特別建築物で
マンションは一定の規模であれば必須
対象外建物責任者により
防火管理者は各マンションで
任命している
7防災対策生活関連1、防火管理者の選任
2、災害時の避難場所の周知
3、災害マニュアルの作成・周知
4、ハザードマップ等の災害情報の
情報収集・周知
5、非常時の道具・備品・食料備蓄
6、高齢者対応の防災用名簿の作成
7、災害時の住民の安否確認体制の整備
8、災害発生時の被害状況・復旧見通しの
9、情報収集体制
以上8項目で採点
対象外大切なテーマであるが
マンション組合として
防災をどこまで取入れるかは課題である
東京都が実施している
マンション管理状況届制度に

評価項目の違いは各制度の目的に合わせて設定されていることがわかります。

管理計画認定制度は政令で実施される制度、マンション管理適正評価制度は民間の市場におけるマンション資産評価を数値化する制度です。

管理計画認定制度は修繕を円滑に実施し躯体の老朽化を防止し、周辺住民を含む都市環境の維持を監督することに重点が置かれています。

マンション管理適正評価制度はマンション管理組合の適性な運用度を測り、情報を公開することで資産価値を適正に評価することが目的です。

そのため、マンション管理適正評価制度は、適正にマンション生活環境が提供されているかを調べる項目とマンションに住む住人の安全対策も含めている点が大きな特徴と思われます。

5、評価制度を利用するメリットがある組合

公開されているパンフレッドから「マンション管理適正評価制度」を説明しましたが、この評価制度を利用するメリットがある組合とはどのような組合なのでしょうか。

ほとんどの管理組合は、組合実務の全部を管理会社に委託しています。評価方法を考えると管理会社が受託している管理組合では当然にマンション管理業協会が評価する内容に則した管理を実施しています。このように考えると管理会社にすべて委託(全委託)しているマンション管理組合が「マンション管理適正評価制度」を利用するメリットはあまりないのではないでしょうか。

では、どのような管理組合にメリットがあるのか?

一部を自主管理する一部委託管理組合、あるいは自主管理を行っている管理組合は第三者の評価を受けることは資産価値を市場にアピールする効果はあります。

自主管理はマンション管理組合内で完結するため、外部からは正しい評価を受けずらい組合です。また一部を自主管理を行っている組合も同様です。特に一部自主管理は設備メンテナンスを委託するケースが多く、管理費や修繕費を自主管理している組合があります。このような場合、管理が健全な状態で行われているかを市場にアピールすることはマンションの価値を向上させる重要な情報になります。

売買市場でも管理が正常であれば中古物件として価値を高める効果も期待できします。

次に旧建築基準法で建てられた昭和56年10月以前に建築確認を受けた建物は特にメリットは大きいでしょう。(ただし、

耐震性以外にも築年数が経過したマンションの売買価格は土地の価格(立地も含めて)に重きがおかれ、躯体の老朽化を軽んじた傾向があります。また、築年数が経ったマンションは管理組合が馴れ合いになり、高齢化も進み運営が硬直化、役員不足、修繕費不足など様々な問題を抱える組合が増える傾向にあります。

その中で自身の管理組合が健全であることを市場に公表できれば、売却(相続時売却も含めて)市場でも優位に作用すること期待できます。

このような観点から「マンション管理適正評価制度」は自主管理、一部自主管理、築年数が経過したマンション、旧建築基準法の下に建設されて管理組合にとっては有効なツールになると思われます。

これ以外にも資産投資を目的とした分譲マンション(中古マンション)を所有している方にとっては資産売買を優位に進めることが出来ると考えています。例えばリゾートマンション、今後期待される地方移住者向けのマンション、投資物件として優良な立地条件が良い高級マンション等が挙げられます。

特にリゾートマンションは、所有者が住むことが少なく別荘やセカンドハウスの目的で所有することが多く、投機的な要素も多分に含んでいます。市場売買を考えた時に適正な管理運営が行われている評価結果はプラスに働くと想像できます。

ただし、評価の申請は毎年行う必要があり、費用面についてカタログやマンション管理業協会のサイトに掲載がありませんでした。そのため費用対効果については現在は不明である点は考慮すべきでしょう。

追記(2021年12月8日)

評価費用は毎年更新もあり、5000円程度になるのではと言う話でした。

また、現在大手不動産ポータルサイトに評価結果を★★形式で掲載することができないか検討をされている最中と言うことです。また高評価のマンションに対しては損害保険料の減額等も交渉中らしいです。

これが実現すると評価制度の価値はかなり高くになります。

評価制度が自己判断による申請のため、申請を受けるインセンティブ(優位性・・ご褒美的な)が無ければ申請する組合は少ないことが想定されます。

セミナーでも話がありましたが、新築マンションに対して管理計画認定制度を導入し、住宅ローン(フラット35)の利率の優遇が近々、制度に組込まれる見込みですが、中古物件の購入時の住宅ローン金利の優遇も制度の普及には必要と考えています。この制度は中古マンションを購入する方には非常に有益な情報になることは確かです。

しかし一方、高経年マンションは終の棲家として考える区分所有者が「今さら市場で評価されて何か意味ある?」と思うはずで制度を利用した結果、固定資産税等の減税や相続税の控除などのインセンティブがあれば、区分所有者、相続人に対しても有益な制度になると思います。

6、評価制度がもたらす効果とは?

マンション管理適正評価制度の検討段階の資料等を見る限り、評価結果は不動産市場を対象にした制度であることがわかります。

特に管理計画認定制度の結果は市場への公開ではなく、不適格マンションへの指導、勧告の実施が目的であるため、結果の利用が限定的なこともあり、中古マンションの買手(購入予定者)が求める情報を提供することが目的であるこがわかります。

従来の中古マンション売買のトラブルのひとつに管理組合が適切な運営が出来ず、購入後に生活環境が思った状態とは違ったと言う話はよく聞く話です。

特に修繕積立金が購入後すぐに値上げになった。管理費の不足が発生し一時金を請求されたなどのトラブルもあります。

このような事態に対し国土交通省も宅建士に対する販売時の重要事項説明の義務化による管理費や修繕積立金の滞納等の情報を提供することとしましたが、マンション管理の実情を不動産担当の営業マンが適切に説明することは難しく、このような情報は買手向けの中古マンションの売買時の注意点を扱うサイト等でも広く公開されています。

実際、なかなか慣れないとマンション管理組合の総会議事録や管理規約を見ても素人には実情を正確に把握することはできません。

そこでマンション管理適正評価制度はこのような状況を解決する一つのツールとして設立されています。

特に前述した築年数が長いマンションは、市場で少しでも高く売却できる要素を増やすために重要なツールになり、リゾートマンションや投機目的のマンションは適正な管理が行われていることを示すことで市場価値を高める効果が大きいと思われます。売手にとっては活用しやすい制度と言えるでしょう。

買手にとってはこの制度の普及によって価格以外に管理適正評価のS~Dランクを確認することで一定の安心感を得ることができるでしょう。また、不動産営業マンにとってもマンションの善し悪しを判断するひとつの目安になることは間違いありません。その意味では大いに意義はあると思います。

反面、心配な面もあります。

SランクであってもAランクであっても耐震性や修繕積立金に問題を抱える組合は存在する可能性はあり、特にAランクの評価幅が広いため健全と一概に判断するには危険があります。

買手は十分に注意すべきですが、やはり、最終的にはマンション管理の実務に精通したマンション管理士や管理業務主任者の資格者の判断を得るべきでしょう。

今回のマンション管理適正評価制度が広く一般に普及し、中古マンション市場が活性化する中でひとつでも売買トラブルが減少し、買手の方がひとつの目安として正しく利用する制度になればと思います。

ちなみに、評価制度によって相続評価額、固定資産税、都市計画税などの租税には影響しません。

また、融資額や抵当権にもほとんど影響ないと思います。また、地震保険や損害保険の保険料にも安くなることはないと思います。修繕計画等が無いなどは当然に高くなります。(現時点では金融や保険等の各業界とも今回の制度にコメントはありません。)

追記(2021年12月8日)

保険料については保険会社と交渉中らしいです。減額されることを願いします。


以上が各組合でマンション管理適正評価制度の説明になります。

マンション管理適正要化制度は組合が同意をした上で申請を行う制度です。

管理計画認定制度とは異なり、有料であり、毎年更新を基本とした評価システムです。

申請・登録の目的とメリット、デメリットを十分に検討した上で判断して頂きたいと思います。

最後に、終の棲家としてマンション購入をされる方が増加傾向にあります。そんな皆さんには、市場の資産価値の向上はあまり興味がないと思いますが、今回のコロナの流行で痛感したことがあります。それはいつ社会情勢や生活スタイルの変化、転勤や病気等によりマンションの売買を強いられるかもしれないと言うことです。

一方で新築マンションはいまだ徐々に増加していますが、リノベーションを行うことで中古マンションも新しい物件として市場では活発に売買がされています。買手がいる以上は需要があります。

「うちは売るつもりないから、大丈夫!」と思っていてもマンション管理をおろそかにしていると売りたいと思った時に思わぬ落とし穴になるかもしれません。

費用対効果にもよりますが、申請登録がいつでも可能な状態を管理組合が保つこもが重要になるのではないでしょうか。



➡ 4章、管理計画認定制度が公開に続く


目次(追加分を含む目次)

1章 管理計画認定制度の中身

2章 管理計画認定制度に備える

3章 マンション管理適正評価制度とは?

4章、管理計画認定制度が公開 2021年10月追記

5章、管理計画認定制度ガイドライン公開1 (修繕積立金の基準値変更)2021年12月6日追記

6章、管理計画認定制度ガイドライン公開2 (管理計画認定制度の申込方法)2021年12月6日追記

7章、管理計画認定制度の現状 (管理計画認定制度の申込方法)2021年12月6日追記


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