2021年11月30日、国土交通省が「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」第5条の3に基づくマンションの缶入り計画認定制度に関する事務ガイドラインを公開をしました。
来年4月から施行される管理計画認定制度の判定項目の基準を示した内容です。このガイドラインに沿った評価がされることになります。
ほとんどの内容は事前に公開していた内容と同じでしたが、修繕積立金については大幅に内容が変更になっていました。
また、申請の書式や添付資料の詳細も示されました。
この章ではガイドラインで示された修繕積立金の変更点について説明します。
1、修繕積立金基準値が大幅アップ
ガイドラインの中で認定基準として示された修繕積立金の㎡当たりの月額を表1に示しました。また以前国土交通省が修繕積立金のガイドライン中で示した目安を合わせて図で比較しました。
5000㎡以下 | 5000以上~ 10000㎡未満 | 10000㎡以上~ 20000㎡未満 | 20000㎡以上 | 地上20階以上 | |
新ガイドライン | 235 | 170 | 200 | 190 | 240 |
旧ガイドライン | 165 | 140 | 135 | 135 | 170 |
差額(円) | 70 | 30 | 65 | 55 | 70 |
値上げ率(%) | 42.4 | 21.2 | 48.1 | 40.7 | 41.2 |

一部のマンションを除き40~50%弱の値上げ率となっていることがお分かり頂けます。
5000㎡以下のマンションが割高になることは躯体の大きさが大きい程コストが割高になることは一般的であります。
これは築年数の違い等の調査したマンションの平均値から算出されている数値ですが修繕積立費は築年数が長い程に高く傾向にあり、築年数が30、40、50年のマンションと築年数が浅いマンションを床面積だけで区分けすることには疑問が残ります。
ここまで値上げをされると今まで示されたガイドラインの値はいったい何だったと言いたくもなりますが、国土交通省が示した以上それなりの根拠があるデータに基づいて算出されたのでしょう。
それにしてもガイドラインが公開されるとマンション管理組合の4割程度が認定は現状のまま取得できると考えていたハードルが一気に跳ね上がり、1割も取得は難しいと言われています。
皆さんに値上げの実感をして頂くために都内の小規模マンションと比較的大きなマンションの例にどの程度の月額修繕積立金に影響が出るかを算出してみました。
【例1】
都内 鉄筋コンクリート、7階建て、専有部数29、3LDK(60㎡)
敷地面積約570㎡、建築延べ床面積約2000㎡
築年数14年
● 旧ガイドライン 60×165=9,900円/月
● 管理計画認定計画 60×235=14,100円/月
【例2】
都内 鉄筋コンクリート 9階建て 専有部数195 4LDK(75㎡)
敷地面積約3600㎡、建築延床面積約15300㎡
築年数16年
● 旧ガイドライン 75×135=10,125円/月
● 管理計画認定計画 75×200=15,100円/月
毎月5,000円程度、年間で60,000万円の負担増が必要になると算出できます。
今回のガイドラインで公開された内容でもっとも衝撃だった内容について簡単にまとめました。
2021/12/4追記
➡ 6章、管理計画認定制度ガイドライン公開2に続く
目次(追加分を含む目次)
5章、管理計画認定制度ガイドライン公開1 (修繕積立金の基準値変更)2021年12月6日追記
6章、管理計画認定制度ガイドライン公開2 (管理計画認定制度の申込方法)2021年12月6日追記
7章、管理計画認定制度の現状 (管理計画認定制度の申込方法)2021年12月6日追記