民法の改正で法定利率が変更になりました。

皆さんは管理規約で管理費、修繕積立金の徴収を約束して分譲マンションを購入しています。

管理規約には管理費等(修繕積立金、共用施設使用料を含む)の支払に遅れたが生じた場合に延滞損害金を別途請求できることが記載されていると思います。(記載がなくとも慣例で法定金利分を上乗せして請求することが出来ます。)

債権の回収は民法で定められているため、民法の改正は債権回収(管理費等の回収)として改正された内容が適用されます。(区分所有法には、法定利率の請求についてが記載されています)

これまで法定利率は5%でしたが、改正により3%になり、3年ごとに自動的に見直しが行われることになりました。(3年ごとに変動すると覚えておくと良いでしょう。)

以下改正された内容です。

民法404条1項

利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。

民法404条2項

法定利率は、年3%とする。

民法404条3項

前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、3年を1期とし、1期ごとに、次項の規定により変動するものとする。

法定利率が3年ごとに見直されることになったため、発生時期により利率が変わる可能性があります。そこで改正では利息が発生した時の法定利率が使用されると明文化されました。

皆さんの場合は、管理規約で徴収日が記載されていると思います。その翌日が起点(利息発生一日目)となり、その時の法定利率で計算することになります。

1、規約に利率の指定がない場合

管理組合によっては管理費等の遅延に延滞損害金の項目を記載していない管理規約を使用されている場合があります。

記載が無くても延滞損害金の請求は可能です。

ただし、その際の請求額は法定利率を用いて請求することになります。

2、規約に別途利率をしている場合

一般的には法定利率ではなく、管理組合が独自に決めた約定利率を定めていると思います。大抵は年利15~20%程度ですね。

この金利は約定利率と言って当事者間で決めた利率のことです。

金貸しとは違い延滞金になり利率の上限はありませんが、一般常識から20%以上の場合は裁判で認められなかった判例があるため、最大でも20%程度と言われています。

約定利率を掲載している場合は今回の改正の影響はありません。今まで通りに規約で定めた利率で延滞損害金を請求してください。


大抵は3か月延滞から損害金を請求

延滞損害金の請求は、請求しなければならない訳ではなく、請求することができると言う点です。

管理費等は口座からの自動引落が一般的ですが、うっかりさんは残高不足で徴収されないことがしばしばあります。この場合、翌月、あるいは別途支払うまでの利息は請求していない組合が多いと思います。

請求することも可能ですが、損害金の額が少額である点、請求額の計算や帳簿の管理が大変になるなどの理由で法定手続き(内容証明の発行まで)までの利息は、暗黙の了解で請求しないことにしているようです。

また、理事会等の判断で減額することも可能です。

管理費等の債権の示談等では、利息額を減額することはよくあります。


ご自身の管理規約の内容を確認の上、法定利率、あるいは約定利率で計算して請求することになります。


目次

1章、管理組合運営への影響

 2章、配偶者居住権の影響

3章、法定金利が変わりました

4章、消滅時効の表現が変更になりました

5章、管理委託契約に係る民法の改正

6章、修繕工事契約に係る民法の改正

7章、賃貸借契約に係る改正

8章、組合運営に係る改正


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