ワープロ全盛期から会社にパソコンが導入されて30年ぐらいが経過しました。Word、Excelを覚え、その後、インターネットが一般に普及、今ではスマートフォンでいつでもどこでも必要な情報を手に入れ、相手と画面を見ながら会話をする時代です。

最近はカタカナも多くなり、その知識を補充するだけでも大変な時代になりました。

何となく身近になったインターネットですが、各端末(パソコンやタブレット、スマートフォン)は手順に従い設定をすると使えますが、一体どんなことをしているのか、わからずに使用している方も多いと思います。と言うか私もその中のひとりです。

WEB会議システムを理解する前にもっと初歩を知ることから始めることにしましょう。

説明に使用する専門用語については、せっかめメモで説明しますので、ひとつひとつを理解しながらゆっくりと覚えていきましょう。

1、そもそもインターネット何?

インターネットは誰でも知っている言葉ですよね。

多くの方がその恩恵を日々受けていますが、実際それを実感することはないと思いますが、今やインターネットの無い社会は考えることはできません。

インターネットとはコンピューターなどの情報機器を接続するネットワークのことです。

総務省ホームページ

情報機器にはサーバー、端末(デバイス)に限らず防犯カメラ、インターフォン、いろいろな設備、製造装置、家電など情報を発信することができる器械であれば情報機器になります。

器械はそれぞれに情報を発信していますが、これらの機械だけでは単独で存在しているだけですが、インターネットプロバイダーに接続することでプロバイダー同士が情報通信を行い、それぞれに情報機器が接続することができます。

もっとも身近な情報機器としてはスマートフォンがあります。

「これネットにつながっている?」「ここはネット使えますか?」とよく聞きますが、これはその環境がプロバイダー契約した通信環境にあるかどうかを確認していることです。

昔は端末まで有線で接続する方法が一般的でしたが、今では各家庭とも電話回線の引込部分(モデム)までは有線ですがモデムに無線LANを装着することで離れた部屋でもインターネットを楽しむことができていると思います。(LANケーブルで接続している場合もあります。)

このようにインターネットは、今の社会では必要不可欠なインフラのひとつになりつつあります。

このような工事は各戸単位で行いますが、マンションの場合は、一括で電話回線を管理しているため、インターネットサービスも共用部(MDF)と専有部内の工事で完了します。

しかし、パソコンだけがインターネットに接続する方法ではありません。このような工事が無くてもスマートフォンはそれ自体がプロバイダー契約も含めて通信設備もすべて備えています。

わざわざ、インターネット環境を家庭内に用意しなくてもスマートフォンがあればインターネットに接続して他の端末と双方向通信(互いに意思の疎通ができる)ができることは覚えておきましょう。

デバイスって何?

パソコン(パーソナルコンピューター)やタブレット、スマートフォンやその周辺機器の総称と覚えましょう。

パソコンで突然、「デバイスが確認できません」と表示されたりしますよね。あれは、接続する機器が見つかりませんと表示していることになります。

プロバイダーとは?

インターネット接続業者のことです。

いろいろな業者がありますが、各社で優劣、評判あり一概にどこが良いとかわかりません。今では携帯電話からでもインターネットに接続できますよね。そのためドコモ、auなどの携帯会社もプロバイダーに含まれます。

PCとスマートフォンの普及率

2020年の調査結果では、インターネットの個人利用率は83.4%あります。

スマートフォンとパソコンでは、スマートフォンが68.3%、パソコンが50.4%。

15%以上の方はネット環境がないことがわかります。

2、IPアドレスを理解しよう

皆さんの自宅には全国どこからでも所在場所がわかる住所があります。

インターネットでもプロバイダーと契約をすると皆さんのインターネットの出入口に対してアドレスが決定されます。このアドレスをグローバルIPアドレスと言い、世界にひとつしかありません。

IPアドレスは発信された情報には付帯情報として発信元が含まれています。

ニュースや新聞などでインターネットへの悪質な書込みによって精神的に追い込まれ、最悪の結果になった記事を読んだり、聞いたりしたことはありませんか。

ネットでは、個人が自分の日常を時系列に記事にすることが行われ、記事を読んだ人が感想などを自由に書き込むことができるシステムがあり、多くの方が利用しています。(フェイスブックやラインなどが代表的なサービスです。)

このシステムは有効に使えば、世界のどこからでも全く知らない人と出会えたり、仲間同士で近況を伝えあうことができます。

しかし、一方でネットは自分の身元を明らかにせずに自由に書き込める利点と欠点があります。読む相手に自分の感情をそのままぶつけることができるため、受取る方によっては精神的に追い込まれることがあります。その際に書き込んだ相手に賠償を求めるためには書き込んだ相手を特定する必要があります。

そこで相手を特定するためにはIPアドレスからプロバイダー契約者を特定することができます。

一般的にプロバイダーはこの情報を公開することはありませんが、裁判所の命令があれば公開することが必要になります。(以前はこの情報開示に非常に時間がかかり、費用も高額なため問題になり、法改正されました。)

これによって悪質な書き込みをした相手の身元を特定することができます。

なぜ、このような話をしたかと言うと、皆さんが利用するスマートフォンやインターネットは契約者ごとにアドレスが決まっていて、書込みをした時点で相手にあなたを特定する情報は残っていることは忘れないでください。

逆に言えば、貴方に悪質な書込みがあっても相手を特定することはできると言うことは覚えておきましょう。

web会議システムでもIPアドレスは記録として残ります。今後お話ししますが「なりすまし」(他人が本人を偽り賛成や反対をする)などWEB会議で注意することにもつながります。覚えておきましょう。

モデムって何?
モデム

コンピューターの信号と電話回線信号を変換する装置のことです。皆さんの電話線引込口の周辺にあると思います。激しくピカピカ点滅している機器です。

ルーターって何?
無線ルーター

複数のパソコンなどの電子機器と接続するための機器です。裏に複数に機器と接続するジャックがあります。

今は無線が多い無線LANカードで対応する家庭が多いと思います。

年齢別インターネット普及率
年齢層普及率
30代99%
40代98.3%
50代97.7%
60~65歳未満94.2%
65~70歳未満87.1%
70代74.2%
80代57.5%
2019年調査結果

3、基本はテレビ電話

携帯電話は今でも通話がメインで、互いのライブ画像を見ながら話をすることはあまり普及していませんでした。しかし、大量の情報量を一度に伝達できる技術が開発されるにつれ、音声データーと画像データを同時に送る一般でも利用できるようになりました。

また、コロナが流行したことにより対面が出来にくい状況になった時に、会いたい人と画面を通して会話をするテレビ電話がここ数年で大幅に普及しました。

もっとも普及しているテレビ電話は携帯電話(スマートフォンを含む)です。携帯電話自体、カメラ機能を持ち、PCと同等の機能を有していることもあり、PCの様にカメラ等の付属品等を購入しなくても使える点も普及した要素だと思います。

操作も至って簡単で通話する際にテレビ(ビデオ)電話を選択するだけで使うことができます。

また、通話機能を使わなくてもLINEサービスでもビデオ通信を楽しむことができますよね。

特に携帯電話が一対(自分と相手)でテレビ電話に限定されるのに対して、LINEサービスは、トークルームを利用すると複数人が同時に画面越しに会話することができ、相手の様子もリアルタイムで見ることができます。

人数等に制約がある場合もありますが、最大で500人が同時にトークルームに集まることができます。(多人数の場合の実用性にはいささか疑問があります。)

このLINEサービスは携帯電話でも、PCでも利用するサービスです。

このようなテレビ電話機能を年齢層にもよると思いますが、利用された経験がある方も多いのではないでしょうか。

WEB会議システムは基本的にはこのシステムと同じで、主催者がトークルームを提供し、そこに招待された人、参加したい人やグループ登録した人が参加する方法で行われます。

小さな規模であればLINEサービスで会議を行う企業や個人がいます。

特に新しい知識も必要なく、手順通りに行えば誰でも使うことができるほど普及していることを

4、WEB会議とは?

テレビ電話のイメージは理解できましたか?

マンション管理運営上で集会を行うケースは総会(最大で全員の区分所有者が参加)、理事会(最大で全役員が参加)があります。

これをテレビ電話やテレビ会議方式で実施することがマンション管理のWEB会議になります。

通常の理事会は理事長が開催日時と開催場所を告知した上で開催します。

これに対してWEB理事会は理事長が開催日時を連絡するのは同じですが、開催場所はネット上の開催場所であるURLを告知します。

また、その際に会場への入場権利を示すパスワードを各自に連絡します。

ネット上の会議場は有名なZOOMやスカイプなどの代表されるインターネットのサービスがあり、これを利用するのが一般的です。

各サービスで有料、無料がありますが、無料では梨状時間、参加人数等に制限があります。そのため、有料サービスを利用することをお勧めしますが、役員と組合員会員数で小規模~大企業向けまでのサービスがあり、組合の規模により組合運用経費として月2,000~3,000円程度(年間2~3万円)を支払えば自由に使用することができます。(主催者が費用を負担、参加者には負担はありません。組合の管理費として処理することができます。)

*総会でも組合員全員が参加することはないでしょう。過去の参加人数などを参考に契約するサービスを選択します。

WEB会議サービスを利用すると会場に相当するURLが提供されます。

これによってインターネット上に組合員向けにホスト(領域)が提供され、アクセスするためのURL(ネット上のアクセス先)を獲得することができます。使用開始時間などの細かな設定も可能です。

同時にアクセス者が理事会の許可を得て開催場所に入室することを許すパスワードを設定することができます。

理事長は理事会開催告知としてURLとパスワードを参加役員に告知すれば準備が完了します。

WEB会議システムの実施に関する手続きは管理会社に代行を依頼することもできるため、理事長が煩雑な手続きをする必要はないと考えても良いでしょう。

WEB会議の全体的なイメージは理解できましたか?

5、WEB会議の利点と欠点

最大の利点は非接触で会議を行うため、コロナへの感染を防ぐことができる点です。

理事会に参加する時間を節約することはできませんが、その日の行動を制約される度合いは少なくなります。例えば家族と旅行や行楽に出かけていてもその時間は会議に取られますがそれ以外は自由に過ごすことができます。

また、資料もWEB上で表示できるため、管理会社の月次報告も画面で確認しながら会議に参加することも出来る点は便利です。

理事会の議事進行は理事長が行うのが一般的ですが、WEB会議の場合、管理会社に司会を任せると議事がスムーズに進みます。発言のタイミングが分からないなどの不安もあると思いますが、各議事毎に「質疑応答時間」を設けるなどの工夫をすれば問題にはなりません。

対面会議の空気感はありませんが相手の表情も確認できるため、慣れれば特に欠点を感じることはありません。

マンション内で会うことも会うメンバーで行う会議です。もちろん、どうしても顔をカメラに出したくない、あるいは家の内部を映したくない方には、アバター(絵で代用する)を用いることや背景も仮想バックを設定することができます。

皆さんが心配されることは機能的にいろいろと準備されていると思って大丈夫です。

6、準備する基材など

スマートフォンがあれば、基材等の準備も必要なく参加は可能です。

PC環境がある方はノートパソコンであればカメラもマイクも付いているはずです。

ディスクトップ型ではカメラを準備する必要があると思いますが、アマゾン等で2,000~3,000円で購入できます。

スマートフォン等の操作に不安があれば、管理会社の担当者に事前に確認すると良いと思います。(スマートフォンの場合、メールアドレス、あるいはLINE等のメールを受取ることができる環境が必要です。)

他に各理事が個人メールアドレスを提供する必要があります。これは理事会の開催告知(開催時のURLとパスワード)を伝えるために必要です。掲示による告知はURLとパスワードを第三者に向けに掲示することになり避けるべきです。(館内の掲示は組合員、その家族以外にも見ることができます。)

個人情報を心配される方もいると思いますが、管理会社は個人情報管理事業者です。区分所有者名簿の管理も委託している以上、管理を厳重に行うことを約束して伝えても問題はないでしょう。また、役員同士が互いのアドレス情報を共有する必要はありません。

7、管理会社に予行演習を頼む

いろいろ説明しましたが、習得には経験が何よりの早道です。習うより慣れろの精神です。

まずは、管理会社に無料で試せるシステムの準備(ZOOMにも無料サービスがあります。)を依頼し、数名の理事で体験することをお勧めします。参加方法は各自の環境によってスマートフォンや自宅のPC環境を利用して参加します。

スマートフォンを使って皆さんが同席の上で確認しながら行う方法もお勧めします。

管理会社はコロナ期間中にリモートワークを多用していました。担当者も恐らくいずれかのWEB会議の経験者のはずです。

実際、一度体験すれば管理会社から通知されるメールに記載されたURLとパスワードにより簡単に会議室に入室が出来、時間になれば画面に理事たちの顔が分割された画面が表示されます。

後は管理会社に司会をお願いして、定期報告、先月からの繰越案件、次月への話合いを行う仮想体験をすれば今後の理事会はスムーズにWEB会議システムで行うことができます。

8、総会は工夫が必要

理事会のような少人数の会議と異なり総会は参加人数が多いため、準備を含めて大変です。

WEB会議は参加者が多いと通信環境によっては、スムーズに画僧と音声が連動しなくなる、あるいは中継が切れるなどの障害が起こりやすいと言われています。(実際、どの程度の人数で影響が出るなどの情報はありません。)

また、すべての組合員が参加できる環境にあるとも限りません。先ほども示しましたがネット環境を所有する方は年齢層で異なり特に高齢者になると普及率は急速に減少します。

そのため、注意点として各自のネット環境の整備状態で総会への参加機会を奪うことは区分所有法の考え方からも出来ないと考えます。

理事会は全員が参加できる機会は平等であることを確保すべきです。

また、元々WEB会議の最大の目的は大人数が長時間同じ空間に同席することによる感染の防止であることも考えることが重要です。

このようなことを配慮した上で考えられる例としては、個人参加WEB会議、グループ分散型WEB会議があります。

個人参加WEB会議は、組合員の全員がネットにつながる環境を所有している場合です。

ただし、この場合、最大参加人数により通信回路が大きな影響を受ける可能性があるため、事前に利用するシステム会社と相談する必要があります。

また、全員の顔が画面に映ることは難しいケースもあります。

WEB画面を分割表示することはできますが、顔を確認できる大きさとなると64分割程度が最大かもしれません。(画面上に入室中の中で64人分は映るがその他は見れない状態です。)

次にグループ分散型WEB会議です。総会会場を分散する方法です。

ネット環境が無い方は総会会場に参加しますが、環境がある方は会場、あるいはWEBにより参加します。(出来るだけWEB参加を推奨すべきです。)

また、開催会場を幾つかに分散すれば、感染の機会を減らすこともできると考えます。会場は特にこだわる必要はなく個人宅で数名で参加することもで考えるべきです。

代表的な例を示しましたが、組み合わせはいろいろ考えられるため管理会社と相談しながら決めると良いでしょう。

いずれにしても、実際の対面式の総会でも当日参加される方が組合員全員と言うことはほとんどないはずです。

議決権行使書や代理等により一定の不参加者(会場に来ない人)はいると思われます。その数を事前に総会出欠アンケートや議決権行使書などから大まかな参加人数を確認する必要はあります。それによって総会の規模を想定しWEB会議の準備を行うことになります。

当日の質疑応答は画面越しに発言がある方に画面を切替ながら行うことも出来ます。またコメントとして質問を文字で書き込むこともできます。(参加者の実名表示は当然ですが必須の条件になります。)

議案に対する意思表示は挙手ではなく、もっと明確に意思表示ができるようにパネルなどを事前に配布すると集計する方も楽に作業を行うことも出来ます。また、参加者一名ずつに賛否を確認する方法もあります。

このように総会は参加者が多いことで準備も大変になりますが、決して特別な機械や設備が必要なわけではなく可能であることをご理解頂ければと思います。

管理会社の中には組合員全員分のタブレットが必要になる、高齢者には操作が大変で開催は難しいとWEB会議に消極的、否定的な方も多いようですが、やらないだけで実行に移してしまえば何とかなるものです。

最初から諦めていたら何もできません。

最後にWEB会議の利点として記録できることです。会議の内容を電磁媒体に記録して保存すれば後々、理事長や理事が変わってもその記録を利用することができ、このことはマンション管理のノウハウの蓄積になり、後継者に引継ぐことができます。

最後に理事会や総会で参加者が事前の準備が必要になる項目をまとめました。

事前準備が必要な項目備考
理事会WEB会議システム(サービス会社)への入会
理事会としてメールアドレス
WEBカメラ付きPC、あるいはスマートフォン
*モニター(テレビで代用可能)
メールアドレスは理事長などの個人メールで代行可能
モニターはあると便利
組合員WEBカメラ付きPC、あるいはスマートフォン
メールアドレス
メールアドレスは管理組合に届ける必要がある
(Gmail等のフリーメールでも対応可能)
理事会、総会開催告知メールを受取るため
WEB会議の事前準備

次の章では、改定された標準管理規約に示されたWEB会議の開催についての注意点等を説明します。


目次

 1章 WEB会議システムを理解する

2章 改定標準管理規約(WEB会議編)

3章 改定標準管理規約(電磁的方法)

4章 改定標準管理規約(理事・役員解任等)

5章 改定標準管理規約(共用部の利用)

6章 改定標準管理規約(維持保全)


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