こんにちは、せっかめです。

先月は「管理計画認定制度」について紹介しました。今月は2021年改定されたもうひとつの制度である建替え法から波及した制度である「要除却認定制度」について紹介します。

除却とは穏やかではない言葉ですが、これは現在の建築基準法に照らした時にマンションの建物が倒壊する可能性が高く、住んでいる住民の生命に危険が及ぶ可能性が高いマンションの建てなおしや売却を促進するために導入された制度で認定された名称です。


ちなみに、「除却」(”じょきゃく”と読みます)

*有形固定資産の事業を中止、帳簿から除く処理のことを示す言葉です。元来は減価償却に由来する言葉の様ですね。


この制度は以前から耐震不足のマンションに対して建替円滑化法のひとつとしてありました。

耐震診断を受け、耐震不足が明確に示されると管理組合は3つの選択肢から合意形成を作り上げる必要があります。

修繕により耐震補強を行う場合、組合員議決権の1/2以上の賛成により実施することが出来ます。この際、容積率の緩和特例を受けることも可能です。

建替えを選択した場合は、現存する管理組合以外に建替え組合を設立し事業を起こします。事業計画の完成した段階で組合員に建替え議決を成立させます。この際も、容積率の緩和特例を受けることが出来ます。

敷地売却については組合員議決権、及び敷地の所有権のいずれも4/5以上の合意が必要になります。組合として敷地売却事業を立ち上げます。

以上のことを行うためにはマンションが所在する自治体に「要除却認定申請」を行います。

簡単に改定前の建替え円滑化法について説明しましたが、これまでの法律は耐震性に関する項目に限定されていました。

特に建築基準法が現在の耐震基準になる以前に建築されたマンションを円滑に耐震化工事、あるいは建替えを促すための法律でした。

しかし、耐震化はされているマンションの中には、管理組合が適切に運用されず必要な修繕工事を実施しないことで老朽化が進み、この状態では修繕、建替えに見通しが立たないまま、居住者の高齢化により空室が目立ち廃墟化する可能性が高いマンションが一定数あり、今後増加する傾向にある調査結果が得られたことで国土交通省は、速やかな改善をもとめるために耐震以外の認定項目を示しました。

これが今回の建替円滑化法の趣旨になります。

詳しい内容は本編で説明しますが、築年数が比較的新しい(築30年未満)にお住いの方にはあまり関係しない内容になります。

是非、読んで頂きたい方々は現在住んでいるマンションに次の項目が当てはまる、あるいは気になる方は本編を熟読して頂きたいと思います。皆さんの将来の安全性に関わる大きな問題です。

チェック項目該当要素
1マンションの外壁に目視で確認できるひびがあり、ヒビに沿って薄茶色の着色が確認できる外壁の剥落による周辺への危害
2マンションの外壁に大きなブロック状の穴が確認できる外壁の剥落による周辺への危害
3住民に高齢者が多いにも関わらずエレベーターが設置されていないバリアフリー性能不足
4直通避難階段がない(直線的な避難が出来ない構造)火災安全性不足
5天井や壁に黒いシミ(黒カビ)の発生がおおい配管設備腐食
6水漏れがマンション内で発生する頻度が多い配管設備腐食
マンション老朽化による危険シグナル

代表的な項目をピックアップしました。

尚、団地についての敷地分割事業の承認については別途説明を加えます。


目次(該当する項目をお読みください。)

 1章、要除却認定とは何か?

2章、危険性の高いマンション外壁について

3章、火災時の安全性について

4章、排水系等の漏水(水漏れ)について

5章、高齢者、障害者にとってのバリアフリーについて

6章、団地の敷地分割売却事業とは


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