今回の改正では単棟マンション以外にも団地マンションについても一部改正が行われ、要除却認定制度を利用した敷地分割売却事業を行う際に議決権の4/5で事業を遂行できる法律が整備されました。
この改正を理解するためには団地の成り立ちと現在の団地マンションの実情を理解する必要があります。
1、団地型マンションとは

団地と言うと広い敷地にいくつかの棟があると言うイメージですが、区分所有法で団地型マンションとは敷地を共有する人たちが一棟以上の建物に専有部を持ち、共同で敷地建物を管理運営している形態の共同住宅です。
敷地を共有していれば戸建てがあっても団地になります。この時、土地の所有権が重要になります。
もっと複雑な土地の所有関係がある場合でも一部の敷地が共有されている時も団地は成立しますが、このような場合は複数の団地管理組合が存在することになりかなり面倒な関係になります。(詳細な説明は割愛します。)
団地型マンションについては国土交通省が平成28年に東京都の団地型マンションに対して調査を行い結果を報告しています。(団地型マンション実態調査)
また、平成30年に住宅団地の再生について検討会が実施されています。(団地型マンション等の現状について)
これらの資料から現在の団地型マンションの状況を知ることが出来ます。
2、団地型マンションの実態
調査では団地型マンションの問題点をまとめています。

調査時(平成25年2013年)の団地組合数は全国に5000ほどあり、その中で2025年に築45年となるマンション数は1,551組合もあります。これらのマンションの購入時年齢を考えるとほとんどの区分所有者は65歳を超え、高齢化が進ことは明らかです。
高齢化により発生する問題として、組合員の年齢層の偏り、合意形成への影響等が懸念されるとして警鐘を促しています。また、住居としての魅力や子育て利便性の不足等により子育て世代の流入
が進まないことも年齢層の偏りを生む原因としています。
高齢化が進み、新規入居者がいない場合、マンションに多くの空き家が発生する実態も明確になり、人口数、世帯数の減少も加わり区分所有者が賃貸会社等に売却するケースも多くなっていることが確認されています。
その結果として管理組合の役員の担い手不足、修繕費不足が発生する可能性がある報告しています。
高経年マンションも建設当時は流行でしたが、現在のマンションと比較すると間取りや設置設備も時代遅れであり、魅力のある住居とは言えません。また、システムキッチン、ユニットバス等の設置は構造的に難しく、中には3階以上にも関わらずエレベーターの設置が無い団地型マンションもあります。
このような現状にある団地型マンションですが、高経年マンションは建設時の耐震基準が現在の基準とは異なり、耐震性に問題がある建物が多く存在する可能性があります。
今回の調査では高経年団地型マンションについても耐震診断の実施状況を調査しています。
この中で気になるデータは耐震診断を実施していない管理組合の数の多さです。耐震診断の実施を断念、予定なしが組合が41.6%あることです。耐震調査を受けた上で耐震不足の診断を受けた組合が20.9%、棟によって不足している一部耐震不足が18.6%と示されています。(結果は割愛します。資料を直接見てください。)

「なぜ、断念?調査しないの?不安じゃないの?」と聞きたくなりますよね。
調査では実施を断念、予定していない組合に理由を聞いています。
その結果を「耐震診断の実施状況2」に示しました。
金銭的不安を理由にする組合、結果による資産価値を心配する組合、希望的考えで安心感を自己暗示する組合と言う結果です。
金銭的な理由は生活状況によっては理解できる気もしますが、資産価値の低下については現在の不動産鑑定では耐震診断を未調査と言うだけで資産価値は下がります。このあたりの事情を知らないのでしょうね。

希望的な安心感を自己暗示する組合は、想定外の震災や事故がどれだけ起こっているかをご存じだと思うのですが、きっと金銭的問題を含めて高いハードルを越えることへの不安感を無くしたいと思う気持ちが働いているのでしょうね。
このような組合は少なくとも法定点検や外壁に発生するひびなどには十分注意する必要があるでしょう。
当然ですが12年前後毎に実施する大規模修繕工事の実施は不可欠だと考えますが、実際は築30年以上のマンションの20%強が適切な大規模修繕を実施していない可能性があることが調査で確認されています。

このような現状を背景に今回の改正が実施されています。
改正以前にも国土交通省は、高経年マンションが建替え等の再生を実施しやすい環境整備を行っています。
代表的なものとしてマンション建替円滑化法で建替えを行うための方法やルールが規定されています。特に耐震不足が判れば要除却認定建築物に認定され、建替えを円滑に行うための容積率緩和特例を受けることができます。
また耐震修繕についても合意形成の行うための議決数にも1/2で行うことが出来る制度が認められています。
3、耐震不足以外にも問題がある
適時適切な大規模修繕を実施していないマンションでは、老朽化に伴い躯体や設備に様々な問題が発生します。

これは団地型マンションに限ったことではなく、団地も単棟のマンションが複数存在する形態であり、各棟単位は単棟マンションと変わりません。そのため、外壁等の劣化、排水管の劣化による漏水などの発生が予想されます。
平成25年の調査結果でも明らかであり、この状態が現在まで継続されていると考えるととても良好な住環境でのマンション生活を過ごしているとは考えに難いと思います。
今回の要除却認定の認定要因は、外壁等の剥落による周辺への危害の恐れがある躯体、火災安全性が現在の建築基準法に不適合な耐火構造である躯体、排水管の老朽化による複数の漏水が確認できる躯体、バリアフリー機能不足ですが、問題点の発生率の比較と一致している点が多く、認定要因を決定する際にこのデータ等が考慮されたことが伺える結果に成っています。
団地型マンションは単棟が2棟以上で構成されますが、単棟型マンションの高経年とどうようの問題点は変わらないと言えます。
では、なぜ改修工事を実施しないのか?と言うことです。
そこには団地型マンションならではの組合の管理体制にあります。
団地組合には、土地の所有関係で複数の管理組合が存在します。全体管理組合、棟単位管理組合を始め、一つの共用施設だけが土地を所有しているようなケースもあります。参考に資料中にある「団地敷地の共有関係」の一例を示しました。

全敷地共有パターンの場合、管理組合は敷地全体を管理する管理組合が運営を行います。一方、一部共有パターンの場合、A管理組合、B管理組合、C管理組合、全体管理組合の4つの組合が存在します。
当然、管理費、修繕積立金も各組合ごとに徴収します。
修繕工事については、各棟の管理組合の合意の他に全体管理組合の合意も必要になります。
そのため、大規模な修繕工事、建替え等の合意形成を行うには手間暇が余計に必要になります。
もうひとつの修繕等の工事が出来にくい原因に区画ごとの竣工時期の違いにあります。団地は敷地が広く一気に数棟を建てて分譲されることもありますが、各区画単位に開発時期が異なり、数年から十年の違いがあります。
このような場合、躯体の老朽化も各区画単位に異なります。当然に大規模修繕の時期も異なります。竣工直後は組合員数も建物に対する意識も高く、管理組合自体の活動もそれなりに活発なことでしょう。
しかし、月日が経過するに従い、住宅に求める機能も変わり、生活スタイル、家族構成も変化します。当時の団地型マンションの魅力も希薄になり、居住者の入居も少なくなり、管理組合の運営も徐々に形骸的な存在になっていくようです。

築年数が長いマンションでは、空き家化、賃貸化の進行は徐々に増加する傾向にあります。
空き家や賃貸化が進むと役員の担い手不足や組合運営そのものに無関心である住民も増加します。これによって棟組合総会、全体組合総会自体が成立できない、あるいは必要な議決権が得られになどの事態に陥ってしまいます。
これが同じ団地内の竣工時期が早い組合から発生すると大規模修繕を始めとした適切適時の修繕が実施できないことになります。
修繕が出来なければ老朽化は加速します。増々、住民の生活環境は悪化します。修繕も進まないマンションに管理費や修繕積立金を支払うことに疑問も起きるでしょう。
住宅を売却して生活環境が整った生活を求める人も増え、空き家化、賃貸化が進む悪循環になります。
人が少なくなれば、管理費不足、修繕積立金不足となり、マンションに残った人たちの負担は増加します。
調査が実施された平成25年からすでに10年近くが経過している現在ではこの傾向はより顕著に表れていると推測できます。
順位 | 不安に感じること | 割合 |
1 | 区分所有者の高齢化 | 70%以上 |
2 | 理事の選任が困難 | 40~45% |
3 | 管理組合運営に無関心な区分所有者の増加 | 40~42% |
4 | 居住ルールを守らない組合員の増加 | 30%弱 |
5 | 修繕積立金不足 | 25%程度 |
6 | 大規模修繕の実施 | 25%程度 |
割合は棒グラフより読取り
事実、同じ調査で団地型マンションの組合員に行った「管理組合運営に対する将来の不安」では表に示した3項目が上位になり、危惧された事態を組合員も肌で感じていることがよくわかります。
このような事態を重く見た国土交通省は、今回のマンション建替円滑化法の改正に耐震不足以外に高経年マンションが抱える問題点を加え、修繕や建替えを円滑に進める施策を講じたことがお分かり頂けると思います。
また、併せて改正が行われたマンション管理の適正化法の改正により、不健全な管理運営を浮かびあがらせ、勧告を含む強い措置を行うことで無関心、他人事と考えているマンション管理組合、および区分所有者に一定の自覚を求めるように改正がされたことがわかります。
それでは、今回の改正で団地型マンションに認められた敷地分割売却事業がなぜ、有効な方法であるかを考えながら敷地分割売却事業を説明します。
4、高経年団地型マンションの資産価値
築40年以上を過ぎた団地型マンションの不動産資産価値は、躯体の老朽化、設備の老朽化、現在のライフスタイルを考えた時の間取りの不自由さ、立地などを考えた時に大きな価値を見出すことが出来ないと言えます。
特に適時適切な修繕工事を実施していない場合、大きなマイナス要因になります。また、修繕計画がない、修繕積立金不足も同じ資産価値であれば中古物件ではマイナス要因になります。
不動産資産では立地(交通の便、生活環境、学校等の周辺設備)の優位さが大きな価値になりますが、郊外に広大な土地を所有して建てられた団地型マンションでは元々の土地の価格が都市部と比較すると高値とは言えない現状があります。
このような背景を考えると高経年団地型マンションの資産価値が他のマンションと比較して優位な点はほとんど見出すことができません。そのため、現在のマンションの売却を考えても高額な価格は望めず、場合によっては売却先が見つからないことも多くあります。
その上、売却先が見つかるまでは毎月の管理費、修繕積立金、さらに毎年、固定資産税、都市計画税の支払う義務もあります。滞納した場合は最悪の場合、裁判になることもあります。
また、万が一自身が死亡した時は、相続財産として子供たちに引継ぐことになりますが、資産価値がなく市場流動性が乏しいマンションを相続しても固定資産税、都市計画税が負担になることもあり、維持管理費も考えると相続放棄を選択する方も増加傾向にあります。(貯蓄があった場合でもマンションだけを放棄することはできません。貯蓄も放棄する必要があります。)
この事態を回避する方法のひとつが建替え等のマンション再生ですが、再生自体が大変な能力、資金が必要になり、高齢化した皆さんが建替えに積極的になれない理由もわかります。
調査では建替えの実施状況についてもアンケートを実施しています。
実施状況 | 団地割合(N=113) | |
1 | 建替え決議済み | 4.4% |
2 | 建替え決議検討中 | 20.4% |
3 | 建替え決議検討済み、合意できず | 6.2% |
4 | 未検討 | 70.8% |
建替えの検討を実施していない組合が70%を超えています。また、検討したが合意形成が出来なかった組合が6.2%でした。
4.4%の組合で合意形成が出来ていることは財政的に余裕がある方が多いマンション、あるいは住民の意識の高さも大きくい影響しているのでしょう。
検討中の組合でどの程度の合意形成ができるかはわかりませんが、大きな数値割合になることを期待することはできないと推測します。
なぜ、建替え議決が困難な理由についても同時に調査が実施されています。

やはり資金的な問題、合意形成が得られなかった、その他の内容はわかりませんが、全組合で各個人の資金問題が大きなネックとなっていることは明らかです。
特に高経年マンションの場合、区分所有者が高齢化していることも大きな負担は決断が出来なかったことはよくわかります。
ただし、優位な点もあるはずでほとんどの区分所有者は購入時の住宅ローンが完済している点です。
反面、新しくローンを組むには年齢制限、収入問題もあり、子供たちへのローンリレーを含む「親子リレーローン」を組む必要もあり単独で決めることは容易ではありません。
5、高経年マンションの再生
このような調査結果を受け国土交通省は、団地型マンションの特徴である広い敷地に注目して各個人の負担を少なくする方法を考えています。建替えを行う場合に敷地の一部を売却してその費用を建替え費用に充当することで個人負担を少なくする方法です。
一般的にマンションの再生は修繕、建替え、敷地売却による第三者開発で行われていますが、修繕は別にして建替えや敷地売却は区分所有者それぞれの事情や思惑があり管理組合として合意形成が出来ないマンションが多いことはこれまでの説明でお分かり頂けたと思います。
国土交通省が団地型マンションの建替えや敷地売却として想定している方法は、3つの方法があります。(団地型マンション実態調査より)



従来の建替えでも敷地の所有権をデベロッパーに提供して全マンションを建替える方法がありますが、大幅な間取りの減少を含む所有権の変更や採算面でデベロッパーとの交渉が成立しない、また建替え後に所有権の問題で争うケースもあります。また、それ以外にも新しく入居する住民との組合運営の問題もありました。(デベロッパー土地交換建替えを参照)
その結果、建替え合意に至らず、敷地を売却して各個人が配当金を受け取り新天地で生活する選択肢を選ぶ組合もあります。(敷地売却方式を参照)この場合も転出後の生活の不安があり、高齢者の場合は慣れ親しんだ生活環境を離れることには抵抗感が強いことはアンケートからもわかります。
再開発事業は運よく自治体等の計画があれば可能ですが組合が自主的に行うことは難しい方法です。
これ以外にも広い敷地の一部を売却する方法がありますが、この場には売却する敷地を分割後、敷地の売却を行う必要があり、これらの合意形成は、民法の規定が適用され売却決議では区分所有者全員の合意が必要になります。
そこで今回の改正が実施され、団地型マンションの再生の円滑化を進める施策が実施されました。
6、分割、売却時の問題点
広い敷地を有する団地型マンションの敷地分割売却事業のイメージは次のようになります。

棟が立地する以外の土地を所有している場合、一般的には駐車場や集会場のような共用設備が存在しているケースが多いようですが、この部分を売却する方法です。
建替えではなくあくまでも敷地内の空地、建物が建っていない部分の売却になり、住民生活の影響を最低限に抑えることは可能です。
また、売却費用は所有区分者に権利に比例して分配される方法や修繕費、改修費に充当することで区分所有者の負担を軽減することが出来ます。
修繕費用不足や修繕の一時金徴収が難しい組合には有効な方法ですが、売却する土地が一定の広さがないと難しい問題もあります。
また、既存マンションは残置するため、マンションに外壁剥落危険や火災安全性などの問題がある場合には根本的な解決にはならないことも判断時の重要な要素と考える必要があります。
この計画を実施するためには団地組合が所有する敷地を分割する必要があります。売却敷地の区分所有関係を解消することを意味します。
敷地分割の議決に必要な定数は、民法の規定が適用され区分所有者全員の合意が必要であり、ひとりでも反対者がある場合は合意できません。また、敷地を分割後、売却する議決の同様で全組合員の賛成が必要になります。

次の方法は敷地を売却した費用を建替え費に充当する方法です。負担軽減を目的にしていますが、不足建築費の他に引越し費用、賃貸費、生活費等の費用を含めた工面が必要になります。
ただし、建替えのメリットは大きく、間取りや施設が新しくなり、トレンドを活かした設計も可能になり資産価格が大幅にアップが見込めるため、完成後、売却、賃貸物件としての利用も容易になり、相続財産としても魅力ある存在になります。
既存マンションが費用の発生がないのに対し、建設費や建設中の生活費の負担があるため、区分所有者だけで決定することは出来ず、家族を含む決断を求められる方も多くなりますが、近年のマンションの高騰などを考えると相続財産として子供たちも前向きな検討が出来やすいとも言えます。
この計画を実施するためには先ほどと同様に団地組合が所有する敷地を分割する必要があります。売却敷地の区分所有関係を解消することを意味します。
敷地分割の議決に必要な定数も同様で民法の規定が適用され区分所有者全員の合意が必要であり、ひとりでも反対者がある場合は合意できません。また、敷地を分割後、売却する議決の同様で全組合員の賛成が必要になります。
2つの例を国土交通省は想定しているようですが、建替えに多くの賛同者がいたとしても全員合意はかなり難しいことです。特に高経年マンションの場合、空き家化や賃貸化が進んでいるため同意を得られない、あるいは区分所有者の所在が不明であるケースも多くなり、全員合意はほぼ無理と言えます。
そこで今回の改正が実施されました。
7、分割、売却の議決定数の改正
改正によって変更になった点を表に示しました。
改定前 | 改正後 | 備考 | |
建替え | 全体の4/5 かつ各棟の2/3 | 全体の4/5 かつ各棟の2/3 | 区分所有法 変更なし |
マンション敷地売却 | 全員同意【区分所有法】 | 特定要除却認定を受けた場合4/5 【マンション建替円滑化法】 | 改正 |
団地の敷地分割 | 全員同意【区分所有法】 | 特定要除却認定を受けた場合4/5 【マンション建替円滑化法】 | 改正 |
特定要除却認定を受けた場合、区分所有法(民法)の全員合意が4/5以上になることがマンション建替円滑化法の改定になりました。
今回の改定によって、敷地売却事業の合意形成時の大きなハードルが低くなり、認定要件を満たす可能性が高い高経年マンションの再生が円滑に進む入口が広がったと言えるでしょう。
特定要除却認定は、外壁剥落の危険性、火災安全性のあるマンションになります。築年数が40年を超える場合、建築基準法の改定等の影響で該当する可能性が高く、また、様々な理由で適時適切な修繕工事を実施していないマンションも該当する可能性が大きくなります。
また、団地型マンションの一部棟の建替えについては従来通りのマンション建替円滑法により実施が出来ます。
各認定についての詳細な説明は本特集の各章で説明しています。
尚、建替え時の容積率の緩和特例については、特定要除却認定の他に排水管の老朽化に伴う衛生上の問題、バリアフリー機能不足が認定要件になりますが、特定要除却認定を受け、建替える時も容積率の緩和特例を受けることが出来ます。
8、認定の申請前に総会の承認が必要
要除却認定制度による敷地分割事業、敷地売却事業は各議決が総会で承認された上で各自治体に申請します。

手順は自治体により多少異なりますが、フローに示したように進めます。
いずれにしても何かを始める前に自治体に相談することから始めます。
自治体から専門家が派遣され、住民へのヒアリングや修繕履歴、現地調査などが実施され評定機関等を紹介されます。
その結果を受け、組合は各事業を立ち上げることになります。
実際には合意形成のため、各検討会を先に立ち上げる組合もありますが、どちらでも構いません。もっとも時間を要するのは組合員の合意形成になります。特に築年数が50年を超えるマンションは住民の高齢化も進んでいます。
工事費等の資金面、建替え中の生活の確保など各組合ごとに事情が異なり、自分だけで決めることが出来ないケースも多く、子供たちを交えて相談することになるでしょう。
高経年マンションの問題は単棟型、団地型マンションに関わらず現行建築基準法への対応が出来ていないこと、躯体の老朽化が進んでいること、マンション管理の法整備が戸との以前に運用を進めたことによる歪や不適化運営の慢性化など様々な問題があります。
この状態を放置することは都市の維持と言う点からも多くの危険性を含んでいます。
高齢であること、収入が購入時とはかなり定収入になっていることなど各個人の事情は十分に理解できますが、資産価値の再生を含めた資産の持続を考え、子供たちに喜ばれる資産継承を検討することも重要なことです。
国土交通省が実態調査、専門家の意見を集約して改定された「マンション建替円滑化法」は、これまでの閉塞的な管理組合に一筋の可能性を与えるものであり、検討する価値のある手法です。
何もせず、朽ち果てる終の棲家で暮らすよりも高齢だからこそ、豊かな老後を過ごすための検討することを考えては如何でしょうか。
目次(該当する項目をお読みください。)
➡ 特集記事に戻る