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電話相談1 第三者管理の提案を管理会社から受けた時はどうするの?

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相談内容

質問者:都内マンション、築38年、38戸、理事長
管理会社から第三者管理を導入することを提案されました。
理事会メンバーも第三者管理の意味も分からず困惑しています。
第三者管理とはどのような管理なのでしょうか。
メリット、デメリットも併せて教えて欲しい。

回答

第三者管理は役員の成り手不足を解消する方法のひとつとして近年注目されているマンション管理組合の運営方法のひとつです。
第三者管理は幾つかの方法がありますが、区分所有者以外を管理者として選任し、組合運営を任せる方法のことです。
管理者は管理会社、マンションコンサルティング会社、マンション管理士などの外部専門家を利用することが多く、イメージとしては今まで理事会、理事長が主に行ってきた管理業務を彼らに委託します。
これにより組合員から役員を選出する数を減らす、あるいは無くすことができます。

一方、国土交通省から指針として示された第三者管理方式は、管理体制の例であり、その法的制約については触れられていません。近年、管理会社が管理者になる第三者管理で組合とのトラブルとなるケースが起きはじめ、国土交通省内でワーキンググループにより第三者管理方式が検討されています。

特に問題となるケースとして、管理者を区分所有者以外とすることは可能ですが、そのためには規約にその旨を定める必要があります。管理者に管理会社がなる時には、管理会社は積極的に規約の改定を推し進めますが、運営に問題が発生し、管理者の解任をする事態になる時も規約の改定が必要になります。
しかし、管理者=管理会社の関係が成立した時点で積極的に管理者が規約の改定をすることはなく、組合員はどうすることもできない状況に陥るケースが報告されています。

管理を自在に操作できる
管理会社が管理者になるとこれまで役員の多数決で決定された事項を管理者が自由に決めることができます。
規約に定めた総会議決項目以外の管理費等の使途、業者選定などは管理会社が決めることになります。
もっとも問題視されていることは、修繕工事等の業者選定です。
管理者は理事会と同じ決定権を持ちます。
管理会社=管理者の立場は管理会社が修繕工事の施工会社、あるいはその関連会社が施行会社の場合、業者選定者と施工会社が同一となり、利益相反関係になります。
理事会が正常に機能していれば、選定時には相見積もりや値下げ交渉も可能ですが、それを行う必要もなく選定することが出来るシステムです。
特に大規模修繕工事等の施工費が高額な場合も同様で、相場より高い修繕工事費で決まる可能性が高いと言われています。また、施工会社と管理会社(管理者)で密約を結び、組合には透明性が高い選定方法とアピール、裏でリベートがあると言う話もよく聞きます。

歯止めになる監事
このような事態を招かないために機能する役職が監事です。
国土交通省の第三者管理では、この監事役を理事会とする例が紹介されています。
これを「外部管理者理事会監督型」と言います。

管理者に管理会社が就任、理事会(理事長)が監事として管理者を監督します。
これにより管理者(管理会社)に有利になる事態が生じた時は理事会が歯止め掛けることができます。しかし監事としての理事会を設置する運営方法は、結局、組合員の役員就任の必要があり役員の成り手不足により第三者管理方式を採用する組合では理事会を監事として働かせる方法を利用しないケースが多いと報告されています。

監事に外部専門家を配置
役員の成り手不足に起因する第三者管理方式導入では、組合員の負担をなくすため監事にマンション管理士、行政書士、コンサルタント等のマンション管理の専門家を配置して管理者の暴走や利益相反関係を監視する方式を採用する組合もあります。
これにより、管理者(管理会社)が組合員の利益を著しく失い事態を防ぐことができます。
ただし、この方法も監事に力量に依存するため、人選は慎重に行うべきと考えられています。
実際、管理者(管理会社)と関連があるマンション管理士、行政書士が就任したケースで監事の機能が働かない事例もあります。

法整備を待つべき
今回のご相談では管理会社から提案を受けている理事長からの相談でしたが、これまで説明した内容を踏まえて「国土交通省が現在検討している第三者管理方式の運営形態」に関するワーキンググループの最終報告と今後の法整備(区分所有法、標準管理規約への掲載)が進むまで第三者管理方式を選択することは控えるべきではないかとアドバイスしました。
また、第三者管理方式を受入れる場合でも、現在の理事会が監事として監督する方式、あるいは組合が選んだ監事を配置する方法を選択すべきです。
第三者管理方式は規約の改定を伴います。
一度第三者管理方式にすると総会の開催は管理者(管理会社)により決定され容易に臨時総会等を開催することが出来ないと考えておくべきでしょう。まして、管理者の解任などを議論する機会は容易にできません。
管理会社からの第三者管理方式の提案は、慎重におこなうべきです。

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